職を持たないDIY生活でのラディカルな実験

2013年08月07日 ミラ・ルナ Shareable.net

ウェンディ・ジェハナラ・トレマイン氏が新著『Good Life Lab(いい生活の実験室)』を発表した。より意識的でポスト消費者生活を送り、お金を掛けずに幸せになるために彼女がパートナーと共に歩んだドゥ・イット・ユアセルフ(DIY)の精神に基づく道のりについて、私は彼女にインタビューすることにした。この刺激的な著書は、トレマイン氏とパートナーがニューヨーク市でのストレスの多い仕事を捨て、ニューメキシコ州の農村部でよりよい生活を築くようになった経緯を詳細に記している。新天地で彼らは生活に必要なものを作り、組み立て、発明し、採集し、育てた。

仕事を持たないということは、創造的になり、砂漠の真ん中にさえすでに存在する豊かさを発見する時間が増えるということだった。定収入を持たず、1万USドルという少ない予算内で、ウェンディとマイキーは古いトレイラーパークを購入し、豊富にある地元の廃棄物を再利用することで、夢の我が家を実現させた。彼らの個人的な体験談と共に、この本には実用的なアドバイスや手ほどきが満載で、より自足的な生活を送ろうとする読者の道しるべとなる。ウェンディは著書を通じて、単なる物の作り手であることを超え、根本的な意味でのアメリカンドリームを再構想した。そこには、自由、意味ある生活、自然との相互関連性や関係性に関する深遠で精神的な洞察が含まれている。

ウェンディはSwap-O-Rama-Rama(スワップ・オ・ラマ・ラマ)の創始者でもある。スワップ・オ・ラマ・ラマは、バーニング・マン(アメリカのネバダ州のブラックロック砂漠で、先鋭的な自己表現と自立性に基づいて毎年開催される芸術イベントであり、期間限定のコミュニティ)での助成金対象イベントから始まった洋服の交換会モデルで、多メーカー・フェアを含む世界100都市以上で開催されている。スワップ・オ・ラマ・ラマではさまざまなDIYワークショップも開かれ、古着のリサイクルを通じてコミュニティは創造的な再利用を探究することができる。ウェンディは、口コミで勢いよく広がったこのイベントのアイデアを、最も高値で買ってくれる企業に売るのではなく、スワップ・オ・ラマ・ラマを非営利のクリエイティブ・コモンズに基づくプロジェクトにし、誰でも無料で開催できるようにした。

ウェンディがオプンティア(ウチワサボテン)の実を収穫している。オプンティアはどこにでも自生しており、無料で手に入り、おいしいパンチを作ったり、防水効果のためにペンキに混ぜたりする。 写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

ウェンディがオプンティア(ウチワサボテン)の実を収穫している。オプンティアはどこにでも自生しており、無料で手に入り、おいしいパンチを作ったり、防水効果のためにペンキに混ぜたりする。 写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

なぜライフスタイルを劇的に変えようと思ったのですか?

私は小学生の頃から、自分の生活が消費者志向であることに気づいていました。お金がどのように文化を形成するのかに関心があったのです。仕事をするようになると、アイデアを育て、それを利益に変えるというアメリカの規範に、ほとほと疲れてしまいました。そこで私はお金と引き替えに失っているもののリストを作り始めました。例えば時間、エネルギー、睡眠や、一見分かりにくいもの、例えば表面的なビジネス上の付き合い、従業員への嘘、そして自分が信じていなかったり、やりたくなかったりするのにやっていることなどです。そして私の一番の長所である創造性をお金と引き替えにしていることに気づいて、うんざりしたのです

最大の困難は何でしたか? そしてそれをどう乗り越えたのでしょうか。

最大の難関の1つは、魅惑的な提案にノーと言えるようになることでした。私のプロジェクトや私自身を商品化する提案を受けたのです。例えば、私は買い物に代わる選択肢を提供するためにスワップ・オ・ラマ・ラマを作りました。当時、グリーン運動は始まったばかりで、スワップ・オ・ラマ・ラマは世界中の都市で衣服に再び目的を持たせていました。自動車メーカーから電力会社までさまざまな企業が自社イメージをグリーン化するために、このプロジェクトと手を組みたがっています。10万ドル単位の現金という申し出にノーと言うのは難しく、収入源が全くない時にこういったオファーをもらったことも一度きりではありません。また一方で、私が信念を持てる仕事の申し出ももらいましたが、最終的には、私が最初に目指した目標を邪魔する結果になっていただろうと思います。

この道のりで最も楽しかったことは何ですか?

最も素晴らしい報酬は、自然と再びつながれたことです。以前の私は、自然の知恵とは抽象的な概念だと考えていました。しかし、ペースを落とし、ものを採集し、生き物を育てながら、自然と再びつながるための時間を割いてみたところ、自然の知恵はリアルで実体のあるものだということに気づきました。なぜなら私たちは生きていて、自然の知識を直観で知ることができるからです。それは、私たちの感覚を通じて、命とつながることによって可能になります。生きているパターンや活動やサイクルにおいて、私たちは共通感覚とつながります。対照的に、商品化された世界に関する文化変容を遂げた知識(金融、通信、メディアといったもの)は自然ではありません。私たちは学校へ行き、文明の知識を学びます。この知識は私たちを生かし続けることはできませんし、絶対必要な知識ではありません。人間は世界を直観で知るようにできています。そして、直観で世界を知ることができれば、私たちは穏やかで安心できる幸せな気分になれることを私は発見しました。

スキルを共有するパーティー:ダッチオーブンを使った料理を習う。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

スキルを共有するパーティー:ダッチオーブンを使った料理を習う。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

あなたと同じ道を歩もうとする人に、何かアドバイスは?

私のライフスタイルは、以前は買っていたものを作る生活、つまり作り手になることが重要であるように見えるでしょう。しかし、本当に重要なのは物ではありません。物について熟考する生活です。何を学ぶにせよ、私たちがお金と引き替えに何を失い、何をしているかについて考えなければなりません。作り手になるということは洞察力を持つことです。なぜなら、何かを作るために私たちは材料を探し、人々から技術を習い、発見しなければなりませんが、最終的に、本当の疑問にぶつかります。つまり私たちは何者か、私たちの自然とは何か、どうしたらよりよい生き方ができるかといった疑問です。私のアドバイスは、深いところまでとことん突き詰めてみる、ということです。じっくりと考えるべき優れた疑問は、一生を掛けて解き明かす必要があります。それを味わえばいいのです! 現状の経済システムに私たちはすっかり縛られていますが、まずはただ疑問を持つことから始めればいいのです。お金に代わる選択肢とはどういったものになるのか、思いをめぐらせばいいのです。

あなたの生活の中でニーズを満たすという点で、コミュニティはどんな役割を果たしてきましたか?

他者と共有し合う自立的な人々、イコール、安定した幸せなコミュニティという公式が、最もうまくいっているように思います。

お金について、どう思いますか?

お金は豊かさを隠してしまいます。このことが見えてくるのは、商品化された世界が限られた世界であることに気づいた時です。その世界は本当の世界よりも小さいのです。例えば、文明は無限の色彩をパントン色見本に閉じ込め、果てしなく存在する形を石工の視点の範疇に狭めてしまいます。未加工の資源を製品に変えその弱体化したものを自然システム内に廃棄物として放置するために、無限の天然資源を足りなくなってしまうのです。文明が作り出すこうした人工的で模倣的な世界は、それ自体に命がないため、世界が持続していくために私たち自身の命を利用します。それを私たちは雇用と呼んでいるのです。

お金は私たちの生活を非論理的なパターンのループに変容させます。私たちはすでに持っている世界、つまり私たちが生まれながらに持つ権利(自然の世界)を、私たちを雇っている当の本人から買い戻すお金を稼ぐために仕事に行きます。私たちに売られ、製品で作られた抽象化された世界は、私たちの生活を破壊していきます。私たちが自身の創造性やエネルギーやインスピレーションを取り戻した時、自分たちが無限の存在であることに気づき、自分たちのデザインによる世界を構築できるのだと理解するのです。その世界は、命の根本的な特性に関する本当の真実、すなわち命は潤沢だという事実に基づいたものです。

ハイキング中に壊れたサンダルをユッカで修理する。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

ハイキング中に壊れたサンダルをユッカで修理する。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

宇宙を信じ、信頼することがこの選択に必要だったと思われますが、あなたの信条をお聞かせいただけますか?

私は自分自身を宇宙として見ているので、自分を信頼しています。人類に備わった一連のユニークな感覚は、何十億年もの進化を遂げてきました。視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚といった感覚だけではなく、インスピレーション、アイデア、創造性、衝動、感情といった感覚もあります。超越にとって自由は形式であるという格言があります。私たちの持つ集合的な感覚が共通感覚を作るのだと私は想像してきました。私は世界に対する自分の反応と、共通感覚が私に訴えることを尊重します。なぜなら、それは私が利用できる唯一の本当の知識だと考えるからです。それに耳を貸さなければ、私は孤立してしまうだろうと常々感じてきました。

スワップ・オ・ラマ・ラマを商業化しないという決断についてお聞かせください。

ある時点で、豊かさに関する私の信条を行動で証明する必要を感じました。それはちょうど私がスワップ・オ・ラマ・ラマ(SORR)を立ち上げた頃でした。SORRが本当の問題を解決したのを見て、世界の人々がSORRをしやすくすることは正しいことだと分かりました。お金が絡めば、世界に広がるスピードは遅くなったでしょう。ですから、イベントが成功し始めた時、私はそれを贈り物にしなくてはならなかったのです。とてもいい気分でしたよ! もちろん、無償のイベントにした途端に、また別のいいアイデアが見つかって、いいアイデアは尽きないものだということが分かりました。

ウェンディは年4回、トゥルース・オア・コンシクエンシーズ(ニューメキシコ州の町)で無料の洋服交換会を開催する。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

ウェンディは年4回、トゥルース・オア・コンシクエンシーズ(ニューメキシコ州の町)で無料の洋服交換会を開催する。写真:ホーリースクラップのご厚意により転載

あなたは自立的に生きていくために必要なスキルをどのように学んだのでしょうか?

上手に作れる物もあれば、そこそこ上手に作れる物もありますが、大概のことは何でもやります。私が本当に得意なのは、やり方を知らないことをやることです! ありがたいことに他の人の助けがあるので、生きていけるのだと思います。

作り手/DIY運動には、どんな感銘を受けましたか?

感銘は受けましたが、運動があくまで物に関する運動で終わってしまわないか心配しています。物に関することに終始していたら世界を変えられません。流行と運動の違いはそこにあります。例えば、私は廃棄物を活用して生きていくことを誓いましたが、それは解決ではなく、問題から解放されることはありません。不当な扱いをされた人々は、私が頼りにしている廃棄物の流通上に存在する物を最大限に利用してきました。彼らは、自分たちが作った物を買う余裕がない人々です。物作りを熟慮的なものにすれば、私たちは物を超えて、意味を見いだすのです。このことの方がもっとすてきなことです。なぜなら世界が実際にどう機能し、世界を直すためには何が必要なのか、知ることができるからです。

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翻訳:髙﨑文子

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著者

ミラ・ルナ

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ミラ・ルナ氏はShareable.netの企画部長およびライターである。彼女は長年にわたる社会正義や環境正義の活動家、コミュニティのまとめ役、ジャーナリストであり、オルタナティブ経済の発展に努めている。彼女は地域のオープンソース・タイムバンクであるBay Area Community Exchange、San Francisco Really Really Free Market(無料マーケット)、Just Alternative Sustainable Economics(JASecon、公正で持続可能なオルタナティブ経済)の共同創始者であり、Board of the San Francisco Community Land Trust(サンフランシスコ・コミュニティ土地信託委員会)とUS Solidarity Economy Network(アメリカ連帯経済ネットワーク、現職)で委員を務める。

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