欧州がハチに有害な農薬を禁止

月曜日に行われた欧州委員会の投票結果を受け、ヨーロッパハチに深刻な害を及ぼす疑いのある広く使用されている殺虫剤を、大陸規模で禁止する世界初の禁止令を施行する見通しだ。

殺虫剤の使用停止は、数百万人の環境活動家たちにとって画期的な勝利である。彼らは欧州食品安全機関(EFSA)の報告に基づき、ハチの激減に懸念を示してきた。一方で今回の投票結果は、殺虫剤によって毎年巨額の利益を上げる化学薬品企業や、禁止法案に反対票を投じたイギリスの閣僚にとっては深刻な打撃である。両者とも、禁止令は食料生産に損害を与えると主張していた。

昆虫の神経に作用する化学薬品の使用停止に関する投票には、欧州連合(EU)の加盟国27カ国が参加し、15カ国が賛成票を投じたが、議決規則が定める過半数に達しなかった。最終決定は欧州委員会に委ねられ、同委員会は禁止令を採択する見通しだ。

欧州委員会の保健・消費者問題担当委員であるトニオ・ボルジ氏は次のように述べた。「我々の提案はEFSAが特定したハチの健康への複数のリスクに基づいており、(そのため)欧州委員会は近日中には提案に沿って行動を進める予定です」

フレンズ・オブ・ジ・アースのキャンペーン担当部長を務めるアンドリュー・ペンドルトン氏は次のように語った。「今回の決定は、常識と、厳しい状況に置かれたハチにとって大きな勝利です。対象となる農薬の使用規制は、非常に重要なハチの個体数回復を目指す道のりにおける歴史的な節目となるかもしれません」

前回の投票では棄権したイギリスは、月曜日の投票では一転、反対票を投じたため、痛烈な批判を受けた。

ジョーン・ウォリー下院議員は、国会の環境監視組織である環境監査委員長を務めている。環境監査委員会が行った調査は今回の禁止令を支持するもので、関係大臣らの「異常なほどの危機感の欠如」を非難していた。ウォリー議員は、今回の投票結果は正しい方向へ進むための現実的な1歩だったとしながらも、次のように語った。「関係大臣たちの責任を問うことが可能な下院での徹底的な議論が今こそ行われるべきです」

グリーンピースの主任研究員であるダグ・パー氏は次のように語った。「禁止令を支持しなかったことで、オーウェン・パターソン環境食料農村地域大臣はイギリス政府が化学薬品の大企業と産業型農業のロビー団体のいいなりであることを暴露してしまったのです」

日曜日、『オブザーバー』紙は、パターソン氏とシンジェンタ社による秘密裏に行われた激しいロビー活動を明らかにした。

これを受け、環境食料農村地域省の政務官であるLord de Mauley(ディ・モーリー卿)は次のように反論した。「健康なハチを確保することは私たちの最優先課題です。しかし、私たちの科学的証拠が提案内容を裏付けなかったため、提案に賛成しなかったのです。禁止令は農業従事者に著しい負担を強いることになるため、私たちは今後、彼らが状況に対処できるように努力していきます」

今回使用停止となった3種のネオニコチノイド系殺虫剤の1種を生産するシンジェンタ社は、次のように発表している。「今回の提案は、対象となる農薬はハチの健康に害を及ぼさないという豊富な科学的証拠を無視しています。欧州委員会は(農薬ではなく)ハチの健康劣化を引き起こす本当の原因、すなわち病気、ウイルス、生息地の喪失といった問題に取り組むべきです」

ハチやその他の昆虫は、全作物の4分の3で花粉を媒介するため、世界の食料生産にとって不可欠な存在だ。近年、送粉動物が激減している原因として、病気や生息地の喪失のほか、特にネオニコチノイド系農薬のほぼ全世界的な使用が指摘されている。

一連の著名な科学的研究はネオニコチノイド(世界で最も広く使用される殺虫剤)を、女王バチの誕生数の激減や「消えた」ハチ(採食に出かけたまま巣に戻らないハチ)の激増と結びつけている。

EFSAは1月、3種のネオニコチノイド(チアメトキサム、クロチアニジン、イミダクロプリド)がハチへの容認し難いリスクを呈していると結論付けたことを受け、欧州委員会は今回の禁止令を提案した。上記3種は2年間、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリなど、ハチが採食する花を付ける作物への使用が禁止される。

バイエル クロップサイエンス社のスポークスマンは次のように語った。「弊社は引き続き、ネオニコチノイドは責任を持って適切に使用すればハチに対して安全であると確信しております……明らかな科学的証拠が意志決定過程で後部座席に身を引いてしまったのです」

ハチ研究者であるレディング大学のサイモン・ポッツ教授は次のように語った。「送粉動物にとって今回の禁止令は朗報です。研究者たちから寄せられる証拠の重みは明らかに、ネオニコチノイドの段階的禁止の必要性を訴えています。ネオニコチノイドの使用に代わる選択肢はいくつかありますし、農業従事者は健康な送粉動物から恩恵を受けるようになります。作物の受粉作業に大きな経済的利得がもたらされるからです」

ネオニコチノイドは10年以上にわたって広く使用されており、それ以前に使われていた農薬の一部よりも有害性は低い。しかし科学的研究は、ネオニコチノイドとハチの健康被害をますます結びつけるようになってきた。

イギリス全国農業者組合を含む多くの監視団体は、EUの規制が不適切であるという見方をしている。なぜなら、EU規制はミツバチに対する検査しか行わず、植物の90パーセントを受粉する野生の送粉動物には検査を行っていないからだ。また、規定の検査は短期的影響だけを検討し、複数の農薬の複合的な影響は検討しない。化学薬品業界は、ネオニコチノイドの使用禁止は有害性の高い昔の農薬が再び使用される状況を引き起こしかねず、生産量も減少すると警告した。しかし禁止令の推進者たちは、フランスとイタリアとドイツで一時的に使用禁止となった時にそのような状況は起こらなかったと指摘し、害虫を駆除する天敵と輪作を導入すれば問題を解決できるとしている。

「ネオニコチノイドに代わる化学薬品は、ネオニコチノイドを不可とした同じ検査に合格することが絶対条件です」と、ダンディー大学のハチ研究者のクリストファー・コノリー博士は語った。「最近の研究では、より厳しい安全性検査の必要性が強調されています」

ブリュッセルでの投票において、禁止令に反対票を投じた国はイギリス、チェコ共和国、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、オーストリア、ポルトガルだった。アイルランド、リトアニア、フィンランド、ギリシャは棄権した。ベルギー、ブルガリア、デンマーク、エストニア、スペイン、フランス、キプロス、ドイツ、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、スロベニア、スウェーデンは賛成票を投じた。

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この記事は2013年4月29日、the Guardianで公表されたものです。

翻訳:髙﨑文子

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