討論会2.0:企業は世界を救えるか?

「私たちは水が人間の基本的な権利だと認識している」

こういったメッセージは、世界でも評価の高い自然科学系の専門誌で良く見られるフレーズだ。実際にナショナルジオグラフィック誌の2010年4月特別号は、”水:地球の水が危ない” と題した特集号であり、地球の水の危機がどのようにコミュニティーや水資源に影響を及ぼすのかを見事に説明している。

それでは、この力強いメッセージを述べたのは誰だろう?権威ある環境記者か、社会の正義を主張する者か、それとも国連の役員だろうか?いや、その誰でもないのだ。実は、このメッセージは多国籍企業である飲料メーカーのペプシコ社が、その特集号に載せた3ページにわたる同社の広告の中で述べたものなのだ。

しかし一方では、インドの地域共同体がペプシコ社に対して抗議行動を起こしている。彼らによれば、同社は400億USドルの活動を行ったことで地域の水資源を汚染した上、住人の主張する水の権利を退けているということだ。

おそらく巨大企業ペプシコ社の悪評の歴史は、最終的に2009年の決議に行きつくのだろう。NGO団体Unitarian Universalist Service Committee (ユニタリアン・ユニヴァーサリスト奉仕委員会)(UUSC)の人権に関する指導のもとで、水の権利尊重の方針が採用されたのだ。

トゥルースアウトのブロガー、W.デイヴィッド クビアック氏によると、企業が環境保護を考慮していると世間に思わせるために偽情報を流布したり、陳情運動を行ったりするケースがこれから目立ってくるだろうということだ。10月に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10会議)に迎合するためである。

「この地球上に存在する大規模な団体は、COP10でなされる決定がいかなる意味をもつかをはっきりと理解しており、その組織の中で優位に立ち、構想や調整を有利に進めようとして、どっと押し寄せてきたのだ」

クビアック氏は、最近になって絶滅の恐れのある野生動物のリストを公表する環境保全の国際組合と日本経団連(世界第2位の経済大国である日本の大企業を代表する団体)が接触していることを指摘している。

譲歩か、追放か―あなたならどうする?

BP社の事故はさておき、あなたは多国籍企業を世界の環境問題の根源であると考えるだろうか、それとも人間の営みを持続可能社会へと導く原動力と考えるだろうか?

環境をより良く変化させることを目指す仕事をする人間として、UUSCのようなNGO団体が持つノウハウの下で、ペプシコ社のような会社と協力し合うのが賢明なのだろうか?それとも「管理する側」が改善するか、もしくはいわゆる「消費者」が働きかけることにより、企業はその社会的責任を履行して初めて、社会に参加することができるようになる方が良いのだろうか?

あるいは、まったく別の、おそらくより過激な方法が必要なのだろうか?

私たちは今週の討論会2.0で皆さんの意見を伺いたいと思う。

翻訳:伊従優子

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著者

マーク・ノタラスは2009年~2012年まで国連大学メディアセンターのOur World 2.0 のライター兼編集者であり、また国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)の研究員であった。オーストラリア国立大学とオスロのPeace Research Institute (PRIO) にて国際関係学(平和紛争分野を専攻)の修士号を取得し、2013年にはバンコクのChulalpngkorn 大学にてロータリーの平和フェローシップを修了している。現在彼は東ティモールのNGOでコミュニティーで行う農業や紛争解決のプロジェクトのアドバイザーとして活躍している。

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