討論会2.0:気候ガバナンスの全面改革

第17回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP17)が開幕した。良い結果になるのか、後味の悪いものになるのか。異常気象の事例数上昇とともに緊急性が高まる中、具体的な政治的進展が望まれているのは明らかだ。

しかし、京都議定書のような政府間気候条約の考え方には欠陥があると、かねてから主張してきた人々がいる。2007年当時、大胆不敵な2人の科学者は、それを「はき違えたズボン 」だと称した。つまり、政治の現実に合わない方策ということである。(ちなみにこの論文のタイトルは アニメ映画に由来する。その映画では、登場人物が「テクノズボン」に操られ、行きたくもないところに連れていかれる)。

そして今では、多数の専門家が口々に、グローバル規模の環境破壊が大惨事に至るリスクを減らすには、第二次世界大戦後と同程度に大掛かりな国際ガバナンスの改革が必要だと言っている。

この科学者たち(プレスリリースによると3,000人だそうだ)は、2012年3月に「プラネット・アンダー・プレッシャー」と題する大規模な科学会議を開催し、同年6月のリオ+20地球サミットにつなげるつもりだ。南アフリカのダーバンで今週、COP17が開催されるのと時期を同じくして、「プラネット・アンダー・プレッシャー」コンソーシアムは先週水曜日、9つの政策提言のうち、最初の5つを発表した。 扱われている主要な問題は、生物多様性と生態系サービス、食料および水の安全保障などだが、すべてに共通して挙げられているのは、ローカルレベルから、果ては国連レベルに至るまでの、環境ガバナンスの改革の必要性である。

制度改革に関する政策提言は、地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画(IHDP)の地球システム・ガバナンス・プロジェクトでディレクターを務めるアムステルダム自由大学のフランク・ビルマン教授が、志をともにする29人の社会科学者およびガバナンスの専門家と協力して書き上げたものである(右欄よりダウンロードしてご覧ください)。

ビルマン教授は次のように説明する。「1940年代には、世界の大部分が荒廃していたうえに、さらなる政治対立を恐れる気持ちが蔓延していました。当時の国際システムはグローバル規模の課題に対処できませんでした。そこで意思決定者たちは、きわめて短期間のうちに新たな組織と世界水準を構築しました。つまりそれが、国連やGATT(関税および貿易に関する一般協定、後の世界貿易機関)などです」

IHDPのエグゼクティブ・ディレクター、アナンサ・ドゥライアパ氏は次のように認めている。「戦後に策定されたガバナンスのシステムは、対立を解決し、グローバル化を推し進め、未曾有の経済成長を加速させるのに役立ちました。多くの社会は過去数十年の間に発展し、同時に人間の福利は向上しました」

「ただし問題は、この状況が続きうるのか、ということです。世界がますます相互依存を強める中、新しい形態のガバナンスが必要なのです」

問題の中核に迫る方策

研究者グループが示したいくつかの提言の中には、持続可能な開発のために国際組織のシステムを強化する方策が含まれている。たとえば、次のようなものだ。

-  国連持続可能な開発委員会を国連総会の理事会に格上げし、緊急性が増している問題に対処できるようにする。緊急性のある問題には、水資源や気候変動、エネルギーと食料の安全保障、自然災害、さらにはそれらの関連性などが含まれる。

-  ナイロビを拠点とする国連環境計画を、世界保健機関や国際労働機関と同じ位置づけに引き上げる。これにより同計画はより大きな権限を持ち、より安定した資金調達が可能となり、国際規制と基準の策定と実施が促進される。

-  地球システムに関する懸念が問題となる場合の意思決定システムにおいては、特別多数投票制度を設ける。

彼らは他にも次のような提言を行っている。

- 各国の説明責任と適法性を強化する。そのためにはたとえば、各国政府や企業の持続可能性に対する取り組み実績について、入手が容易でわかりやすく、比較可能なデータの開示を義務づける。

- より環境に配慮した製品やサービスに対する投資を奨励するため、生産プロセスに基づき、国際通商法で製品間における差別化を認める。ただし、保護主義を防止するため、このような差別化は多国間協定に基づくものとする。

さて、皆さんはどう思われるだろうか? これまでは何かが欠落していたために、気候変動問題に対する行動が軌道に乗らなかったわけだが、気候ガバナンスの全面改革はそれを変えることになるだろうか? そうであれば、これらの対策で十分だろうか? そうでなければ、他に何が必要と思われるだろうか? あるいは、さらに効果的な別のシステムが果たして実現可能だろうか?

翻訳:ユニカルインターナショナル

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著者

キャロル・スミスは環境保護に強い関心を寄せるジャーナリストで、グローバル規模の問題に公平かつ持続可能なソリューションを探るうえでより多くの人たちに参加してもらうには、入手しやすい方法で前向きに情報を示すことがカギになると考えている。カナダ、モントリオール出身のキャロルは東京在住中の2008年に国連大学メディアセンターの一員となり、現在はカナダのバンクーバーから引き続き同センターの業務に協力している。

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