外国漁船への漁業権認可に抗議

セネガルの小規模漁業に携わる人々が、外国のトロール漁船へのセネガル海域での漁業権の認可をめぐり、政府に抗議している。セネガル沿岸海域の魚類資源が激減する中、伝統的な漁法に頼る漁民たちは資源の「投げ売り」を非難している。

この抗議活動を率いるGAIPES (セネガル漁業企業および船舶所有者協会)は海事経済大臣に対し、2010年上四半期に認可された22の漁業権を取り消すように要求している。GAIPESによると、漁業権を得たのはロシア、ベリーズ、モーリシャス、ウクライナ、コモロ連合のトロール船である。

「実務担当の政府諸機関による記録もないまま海事経済大臣が署名した違法な外交文書の下で、これらの漁船が操業しているのです」とGAIPESの事務局長であるDougoutigui Coulibaly(ドゥグティギ・クーリバリー) 氏はインター・プレス・サービス(IPS)に語った。

しかし当局は、GAIPESが別々の問題を混同していると非難する。

「2010年、私たちは6隻の外国漁船との漁業協定に署名しましたが、それはモロッコとモーリタニアからセネガル沿岸へ移動してくる遊泳性あるいは回遊性の魚の捕獲に限ったものです。同協定が失効するとすぐに、漁船は漁場を離れました」と、漁業の監視と規制を統括するマタール・サンブー大佐 は説明している。

“漁業はセネガルの主要な経済活動の1つで、およそ60万人の生計を支えている。この数字は公務員の人数7万5000人の8倍以上である。”

サンブー大佐によれば、海事経済省の諮問委員会はGAIPESの苦情を受けて2010年12月、いくつかの漁業権を一時的に停止した。しかし委員会のメンバーが協定は国に経済的な利益をもたらすとの意見を示したため、同省は再び漁業権の認可を行えるようになった。

「2011年3月の初頭、私たちは11隻か12隻の漁船に2カ月間の操業を認める協定に署名しました」と彼は言う。

セネガルの漁業

漁業はセネガルの主要な経済活動の1つで、およそ60万人の生計を支えている。この数字は公務員の人数7万5000人の8倍以上である。海事経済省によると、2009年、魚はセネガルの輸出品の13パーセントを占め、漁業収益はGDPの1.7パーセントを占めたという。

セネガルの小規模漁業は単なる自給自足の手段になってしまった。なぜなら魚類資源があまりにも激減しているからだ。

「コイやヘイクのような大型の魚類は少なくなりました。現在セネガルの人々は小型の魚しか食べません。例えばイワシ、マアジ、サバなどです……」と環境団体グリーンピース・アフリカのRaoul Monsembula(ラウル・モンセンブラ)氏は言う。

「産業化された漁船に漁業権を与えたことで、いずれこの国の魚類資源は一掃されてしまうでしょう。その結果、60万人の人々が収入を失うのです」と社会学者のアマドゥ・シェリフ・ディアーニュ氏は警告する。彼 はセネガル北部のサンルイ市にある漁業の盛んな地区ゲンダール に住んでいる。

ダカールのグリーンピース支局は大規模漁業への漁業権の認可を取り消すようにセネガル政府に対して異議を申し立てた。同団体がセネガルの魚類資源の「略奪」と呼ぶ状況に終止符を打つためである。

“セネガルは魚類資源の一部を利用するという国家としての決定を下しました。国の財政を潤すために近隣諸国が行ってきたことと同じです。”

クーライシ・ティアム海事経済大臣

しかし当局は認可の正当性を主張する。「セネガルは魚類資源の一部を利用するという国家としての決定を下しました。国の財政を潤すために近隣諸国が行ってきたことと同じです」とKhouraïchi Thiam(クーライシ・ティアム)海事経済大臣 は言う。

「国はこうした外国のトロール船に対し、1トンあたり35ドルの税金を課すことができます」と彼は言い、セネガルの漁業担当の役人が漁獲量を監視するためにトロール船に同乗すると説明した。

「145万トンの遊泳性の魚がモーリタニア、カーボヴェルデ 、ギニアビサウ 、ガンビアからセネガルに向かって移動します。こうした資源を漁獲しなければ、魚は死ぬことになり、国にとって甚大な損失となるでしょう」と大臣は3月29日、私設ラジオ局に語った。

漁民たちの不満

1万5000人強の会員を持つCNPA(全国小規模漁業従事者共同体)の事務局長、Sada Fall(サダ・フォール)氏は、政府が耳を傾けないのなら直接的行動に出るとほのめかす。

「政府が漁業権を停止しないなら、私たちはトロール船を探し出し、直接対決するつもりです。どんな犠牲を払ってでも、彼らを私たちの海域から追い出します」と彼は警告する。CNPAの本部があるサンルイは、国勢調査によると2800隻の漁業用の丸木船がある場所だ。

さらにGAIPESのクーリバリー氏は次のように話した。「政府の漁業権取り消しを図るために、私たちは様々な行動を考えています。大規模漁船と小規模漁船をすべて海域から引き上げ、その結果、工場を閉鎖に追い込むことも辞さない覚悟です」

セネガルの海事法では「海洋資源は国の財産の一部です。国はセネガルの管轄海域での漁業権を、個人と法人に対し 、その国籍がセネガルであるか外国籍であるかにかかわらず認可することができます」とダカールのシェイク・アンタ・ジョップ大学の法学教授であるアラサン・ンジャイ 氏はIPSに語った。

ンジャイ氏によれば、漁業権を取得したい者は海事経済大臣にコンタクトを取らなくてはならず、同大臣は漁業権認可の可否を決定する諮問委員会の指示を仰がなくてはならないと海事法で規定されており、この手順が順守されていたのなら、問題となっている漁業権は合法だと言う。

本記事はインター・プレス・サービス(IPS)によって発表されたものです。IPSは国連開発計画、国連環境計画、世界銀行の支援を受けた特化ニュースサービスです。

翻訳:髙﨑文子

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著者

スレイマン・フェイ氏はインター・プレス・サービス(IPS)アフリカ支局の記者である。IPSアフリカ支局はおよそ50カ国からニュースを伝える100人以上の記者のネットワークを持ち、アフリカに関する主要な情報源として信頼を集めている。IPSはアフリカの知られざる物語に焦点を当て、貧困、女性の地位向上、ガバナンス、水へのアクセス、調査、貿易といった開発問題を中心に定期的な特集記事を発信している。

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