人工木、藻を詰めた筒、白い屋根

人工木や藻を詰めた筒で建物の壁面を覆うことにより、イギリスで年間に排出されるCO2の大部分を吸収できると考えられる。技術者がまとめたこの報告は、秋の党大会で配布される予定だ。

機械技術者協会(IME)は気候変動問題における地球工学の役割を研究し、12ヶ月間にわたる調査の結果、都市部の屋根を白く塗ることもまた、至ってシンプルではあるが過剰な地球温暖化を抑制する効果的な手段になりうることをつきとめた。

地球工学とは、地球温暖化を防ぐもしくはその速度を遅らせる一連の技術を言う。例えば、宇宙に鏡を打ち上げ太陽の光を屈曲させる、海に鉄を沈めて藻の繁殖を促すなど、大気中の二酸化炭素を取り除くあらゆる試みが挙げられる。調査を進めるためIMEは最も実用的かつ、CO2や世界のエネルギー使用レベルに対して効果を即反映できる解決策を探った。

最も期待できる3つの策を形にするため、IMEは本日発行の報告書の中でイギリス政府に1,000万ポンド(16,221,000ドル)の資金提供を求めた。そしてこれを地球工学研究のための世界的基金1億ポンド(162,215,000ドル)の一部とするよう主張する。

「地球工学を用いることで時間を稼ぐことはできますが、決して問題解決の特効薬にはなりません。問題の緩和策を地球工学に置き換えるという考えではなく、緩和策や適応策と共に地球工学も導入するべきだと提案しているのです」と研究を指揮するIMEのティム フォックス氏はそう語る。

低炭素で実現でき、既存技術しか必要としない実用的解決策のトップは人工木である。コロンビア大学の科学者クラウス ラクナー氏の発明によるもので、1ユニットの大きさは標準的な運送用コンテナサイズ。大気中のCO2を直接除去することができる。

「木を10万本植えた場合、その面積はおよそ600ヘクタール。フォース湾の表面積の10%足らずですが、イギリスの電力部門以外の産業で排出されるCO2を毎年吸収できます」とフォックス氏は述べる。

現在イギリスでは1年に556メガトンのCO2を排出しおり、10万本の木があればそのおよそ60%を吸収することができる。技術者の見積もりでは、再生可能エネルギーを生命力とする人工木の森を枯渇した油田やガス田(逃げ場を失ったCO2が閉じ込められている可能性がある)の近くに造れば、同じ面積に本物の木を植えるより何千倍もの効果があるという。

人工木の製造にはエネルギーと材料が費やされるわけだが、1本を作るのに必要となるその量をCO2に換算すると、人工木が生涯で吸収するCO2の5%にすぎない。地球規模で考えた場合、500-1,000万本の人工木で、発電所を除く全ての排出元から吐き出されるCO2を吸収できるのである。

地球工学を利用したもう一つの解決策として技術者が強調するのは、藻を詰めた筒を建物の壁面に取り付けるという方法だ。

「藻は自然発生し環境にやさしいバイオマス。光合成をする際に多くのCO2を消費する傾向があります」IMEのトム ボウマン氏は言う。成長した藻は集め木炭にして埋める。そうすることにより藻が吸収したCO2は大気中にではなく地中に封じ込められる。

都市部のヒートアイランド現象を中和する策として、技術者は屋根を白く塗ることを推奨する。大都市では郊外に比べ最大で4℃も気温が高くなる可能性があるが、これは都市部でエアコンやその他空調設備の使用がより多くなっているということ。スモッグの発生を加速させる原因にもなる。IMEによると、太陽の光を反射する屋根にすれば建物のエネルギー消費を最高で60%も削減できるという。

「20年に及ぶ取り組みにもかかわらず世界の炭素排出量は増え続けている。政治家は地球工学を第二の手段と考えるのではなく、地球温暖化問題の解決に不可欠な要素の一部ととらえるべきです」

「この問題への取り組みに必要な研究を選び抜いていく上で、1,000万ポンドが我々を大きく前進させてくれるでしょう。政府は研究を見極めた時点で試作や実験的利用を検討し、展開するか否かを判断できるのです」フォックス氏は話す。

翻訳:浜井華子

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著者

アロック・ジャはガーディアン紙の科学と環境の記者でグリーンテクノロジーが専門。 ニュースや記事を書くだけではなく、サイエンスウイークリーのポッドキャストやガーディアンの科学webサイトも担当。インペリアル・カレッジ・ロンドンにて物理を学び、ガーディアンには科学部門が2003年に立ち上げられた時から勤務。

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