下落する石油価格:一時的な下落か下落前の価格に戻るのか?

数ヶ月間にわたり高騰し続けてきた石油価格だが、最近になって下落している。7月には、過去最高の1バレル147ドル台まで上昇したが、その後、米国の軽質原油は100ドル台に値下がりした。この下落には多くの理由がある。ドル高、石油需要の縮小に加え、OPECが増産するとの予測もあるのだ。今後、石油価格がより下落すると見ている専門家もいる。

2008年7月に東京で開催された国連大学会議で、我々はロンドンスクール・オブ・エコノミクスのグウィン・プリンス教授と意見を交わした。会話の内容は主に気候変動についてだったが、石油価格についても尋ねてみたところ、教授の意見は次の通りだった。

教授は自ら「石油の専門家ではない」としながらも、容易に石油調達できた時代は終わったと結論付けたのは興味深い。さらに、教授の指摘通り、実際に石油価格が下落したのだ。

今後の予測

ニューヨークを拠点とする国際協力センターのアレックス・エバンズも、7月に国連大学で開催された同会議に出席した。彼は最近、グローバルダッシュボードに「石油価格はまた上昇するだろう」との予測を掲載した。また、ファイナンシャルタイムズに掲載されたニック・バトラー(元BP副社長)の記事が、現在起きている価格下落は、嵐の前の静けさだと論じていることを指摘した。

バトラーは、縮小する石油需要に対し生産が拡大したこと、加えて石油余剰の増産が価格下落を招いた原因だとし、この傾向は今後も続くと説明している。

しかし、これらはエネルギー政策決定者が直面している、長期的問題の解決にはならない。

「世界のエネルギー需要は、80%以上炭化水素に依存しているのが現状だ。石油価格が高騰したここ1年間で、その需要は石炭に移行した。その結果、炭素放出は上昇し続けている。我々消費者が、サウジアラビア、ロシア、その他の石油生産国に未だに大きく依存しているのだ。」

この石油価格の下落は一時的なものであり、下落以前の価格に安定していない現在、我々は気を緩めてはならないとバトラーは警告する。

石油価格が200ドル台に

一方、ロンドンに拠点を置く英王立国際問題研究所のポール・スティーブンスは、今後5年から10年の間に石油供給不足が起こると予測する報告書を出版した。「来る石油供給不足」というタイトルの報告書には、石油価格が200ドル台まで高騰するだろうと予測している。

その理由の一つに、増産への投資不足が指摘される。スティーブンスは、「世界の石油会社が配当金を投資家へ還元することに専念し、再投資に回していないためである」論じている。資源をめぐるナショナリズムの台頭と、自国の石油会社に投資資金を回さない政府にも原因がある。

スティーブンスは、潜在的危機を回避するため多くの提言をしている。これらの提言の中には、石油生産国が抱える「資源元凶問題」(資源が豊富な国々は、資源のない国々よりも、経済成長しない傾向にあるなどの矛盾)の解決法や、ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)の歓迎、またOPECによる国際エネルギー機関の緊急共有メカニズムの導入が挙げられる。(報告書の全文はこちらから。)

需要削減を目指すべきか?

ザ・オイルドラムに興味深い記事がある。2002年1月頃からヨーロッパでは、石油価格が高騰したり、現在のようにしばしば下落(20-30%まで価格が下落する)を繰り返しているというのだ。全体的な傾向としては、石油価格は年々高騰しつつある。

この記事の著者は、適切な需要縮小が実現できれば、石油価格を引き下げや費用節約にもつながると指摘している。一番賢明なのは、我々が石油を必要としなくなることで、そうすれば毎月または毎年のように節約できるだろう。

さらに著者は、政府が長期的展望を国民に示し、それに沿ったインフラを推し進め、すべての国民に平等なスタンダードを提起することにより、国民1人1人が適切な措置を講じることができると結んでいる。

あなたはどう考える?

石油価格下落は一時的なものだろうか?それとも今後、以前のような低価格にまで下がるのだろうか?石油価格下落の裏で何がおきているのだろうか?これで一安心なのか、それとも長期的視野を持つべきなのだろうか?最終的に、我々の将来はどうなるのか、そして我々はどう対処するべきなのだろう?近い将来、1バレル200ドル台の時代が到来するのか、そしてそれは我々の生活にどんな影響を及ぼすのだろう。

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下落する石油価格:一時的な下落か下落前の価格に戻るのか? by ブレンダン・ バレット is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License.
Based on a work at http://ourworld.unu.edu/en/falling-oil-prices-temporary-lull-or-a-return-to-normal/.

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著者

ブレンダン・バレットは1984年からイギリス原子力発電所の環境アセスメントに従事して以来、環境分野に従事してきました。環境スペシャリスト、都市設計者でもあり、コミュニケーションや教育をはじめ環境問題の研究のため、ITを駆使しています。

博士課程を終了後、1997年から国連大学に加わり、2002年に国連大学メディアスタジオを立ち上げました。

IUCN(国際自然保護連合)教育・コミュニケーション委員会のメンバーでもあり、オーストラリア環境研究ジャーナルやサービス・リサーチ・ジャーナルの国際編集顧問委員会のメンバーとして活躍。2002年から2005年には情報社会サミットで、国連大学の中心的役割を果たしました。

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