自然資源の争奪戦はこれから

7月12日木曜日、オックスフォードで開催された会議「資源 2012(Resource 2012)」で、学術界および経済界の要人たちは、食料からエネルギー、貴金属まで、自然資源をめぐる世界の争奪戦はまだ序盤を迎えたばかりで、今後は激化して各国で大問題になるだろうと述べた。

2日間にわたった今回の会議の責任者で、かつて英国政府の主席科学顧問を務めたデビッド・キング卿はガーディアン紙に次のように語った。「最終的な影響がどうなるかはまだ予測できませんが、初期の兆候は見えています。例を挙げれば、食料価格の上昇や水の供給不足、採鉱権や肥沃な農業用地をめぐって一部の国が行っている土地の横領、エネルギーやその他、金属などの主要資源の価格の上昇などです。しかし、これらの問題が切迫した事態になる前に、私たちにはもっとやらなければならないことがあります。私たちはまだ十分にやっているとは言えません」

会議では、このような急激な変化に備えができない国はすぐに、そしておそらく挽回不可能な遅れをとり、その結果、その国の経済にも国民の生活にも深刻な打撃を与えるだろうと警告が発せられた。

ノーベル賞を受賞した経済学者のアマルティア・セン氏は、世界の資源の分配に関しては、必ずしも自由市場から最善の解決策が得られるわけではないと述べた。同氏によると、政府が介入して、人々が生活の基本物資を確実に手に入れられるようにするとともに、企業の利益や金融市場が人間の根源的なニーズを侵害するのを防ぐことが必要だ。

セン氏はこの会議で学者として重要な役割を担い、とりわけ食料について、実際に利用できる資源の量ではなく、資源の分配の仕方が食料不足や食料余剰にいかに影響を及ぼすかを示した。

“ノーベル賞を受賞した経済学者のアマルティア・セン氏は、企業の利益や金融市場が人間の根源的ニーズを侵害するのを防ぐためには政府の介入が必要だ、と述べている。”

食料・栄養安全保障に関する国連事務総長特別代表のデビッド・ナバロ氏は、先月のリオ+20の成果を擁護した。世界規模で開催されたこのサミットの目的は、資源の問題、それに公害、気候変動、生物多様性の喪失などの環境問題に対処することだった。それらの問題はいずれも連鎖反応を起こして、資源不足を深刻化させると考えられている。

多くのオブザーバーは、リオ+20に参加した各国政府が主要な環境問題について明確な目標もイニシアチブも採択できなかったことを非難し、機会を無駄にしたと不満をあらわにしている。

しかしナバロ氏は、リオ+20では重要な成果が上がったと語った。彼が評価するのは、各国政府が飢餓の撲滅、そしてより持続可能な農業に向けて取り組むことに合意した点だ。しかもそこでは、小規模農家の重視、栄養の改善(先進国と途上国の両方において)、そして現在、経済に負担をかけている資源浪費の削減に重点が置かれている。

何人かの論者もナバロ氏の議論に加わり、浪費と非効率性の問題を強調した。彼らによると、欧米を中心とするほとんどの先進諸国は過去1世紀、世界的な貿易の開放により、平和な状況の中でほぼ無制限に原材料を入手できたため、自然資源を浪費する傾向がある。

しかし、状況は急速に変化している。初期の兆候の1つは、過去10年における化石燃料エネルギーの価格高騰だ。それは経済に深刻な影響を及ぼしたが、国や企業がエネルギー効率向上のために簡単な対応を行えば、いとも容易に軽減できるものでもある。それにもかかわらず、企業、個人、政府はいずれも、控えめにすら効率を向上させておらず、近年の資源経済学者は首をかしげている。通常の経済理論では、価格が上昇すれば人々は効率を追求するものだが、今回のケースでは想定よりもずっと時間がかかっている。

“通常の経済理論では、価格が上昇すれば人々は効率を追求するものだが、今回のケースでは想定よりもずっと時間がかかっている。”

価格による信号が点灯しても行動が変わらないなら、政府の介入などの他の方法が必要かもしれない。

ルワンダのポール・カガメ大統領は富裕国に対し、開発途上の貧困国と力を合わせて自然資源の最適利用を確実にし、資源の不足が人々を苦しめている状況を改善するように強く求めた。

企業もまた、より持続可能な方法で資源を利用するためにどのような努力ができるかを議論した。ネスレ社のピーター・ブラベック・レッツマット会長は、水をさらに効率的に使用する自社の取り組みの概要を紹介した。同氏は、水はしばしば軽く見られていたり、無料の資源だと思われたりしているが、それは間違いだと述べた。彼はさらに、清潔な飲料水が容易に手に入り、同時に下水道や公衆衛生の整備が進んだことが、過去150年間において先進国の平均寿命が一気に伸び、さらにはGDPも上昇した理由であることをあらためて語った。

国際環境開発研究所のカミラ・トゥールミン氏は、資源の制約をめぐる真の問題や浪費と分配の経済学を十分に認識していない政策立案者や政治家は、この会議をきっかけに学習を始めるべきだと述べた。

「この会議はオープンユニバーシティの講義のようなもので、目の前にある問題について教育を提供しています。資本家や経済界の皆さんには、こういったことがどれほど重要で、自分たちにはどのような役割が果たせるかを、より明確に理解して、帰路についていただきたいと思っています」

この記事は2012年7月12日に guardian.co.uk で公表されたものです。

翻訳:ユニカルインターナショナル

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