次は太陽の出番:東京エコプロダクツ2009

コペンハーゲンでは世界の気候の運命について協議している。そんな中、東京ビックサイトのエコプロダクツ展では日本、そしてもしかしたら世界の未来像をも垣間見ることができる。その未来は太陽光だ。

COP15では各国家が温室効果ガスの削減目標について陰日向で交渉している間にも、日本は既に排出量を1990年レベルに比べて25%減らす方法を考え始めているようだ。

その上彼らはその経済効果の可能性に気づいている。私がエコプロダクツ2009で見た限り、新たなビジネスチャンスにはきりがないようだ。

ただの環境展示会ではない

エコプロダクツ2009は12月10-12日に開催された。一日6万人以上の来場者を呼ぶ日本最大級の環境展示会である。初日、会場は驚くほどポジティブな雰囲気に包まれていた。現在の景気低迷期にはなかなか見られないものだ。しかしそれ以上に重要なのは、この展示会にきて実感したのは、やっと「エコ」が主流化してきたことだ。(スライドショーを見るには記事の右上にあるギャラリーアイコンをクリック)

この展示会はもう筋金入りの環境主義者や技術おたくたちだけのものではない。活気あふれる会場は日本の多様性をそのまま反映していた。お年寄りから小学生、おしゃれな若者たちから大学教授、サラリーマンから主婦まで。

偶然にも、私がこの記事のために展示会を訪れていた時、11歳の娘も学校の社会科見学で来ていた。その夜、娘は新しい鉛筆やリサイクル紙のノート、かわいいぬいぐるみなどのお土産を袋いっぱいに貰って帰ってきた。

今は太陽が主役

もう一つ展示会で真っ先に伝わってくるメッセージは、今や太陽が中心的存在になっていることだ。シャープのブースでは既に発売されているソーラー携帯を見ることができる。携帯を陽に当てるだけでちょっとした充電ができる。私のiPhoneにこの機能が付くのはいつになるだろう?

ソニーのブースでは太陽光発電の電池充電器につながっているウォークマンがあった。中でも特に目を引かれたのは京セラの太陽光パネルを自動車の屋根に搭載した次世代のプリウス プラグインハイブリッドだ。

これらの開発はどれも漸進的なもので大規模な発電力はないものの、これらの製品を通して化石燃料の消費を抑え、太陽光の使用を徐々に増やしていく未来像が(うまくいけば)見えてくる。

東京モーターショーの記事でもお伝えしたように、これからは電気の時代だ。そして日本人はこれを元にたくさんの楽しい発想を提案している。私が特に気に入ったのは電動自転車の種類の多さと、トヨタの「Winglet(ウィングレット)」。Wingletはなんと立ち乗り型のパーソナル移動支援ロボットなのだ!

電力はあなたのもとに

また電化製品業界と大手電力会社の間ではなかなか面白い対決が見られた。電力会社は未だ電力の管理と供給を集中管理するモデルに固執している。東京電力(Tepco)のブースへ行くと、再生可能エネルギーに関しては形ばかりに触れながら原子力発電のメリットを大きくとりあげていることに気付く。

対してパナソニックのブースでは全く違った未来が描かれている。ここでのキーワードは、省エネ、創エネ、蓄エネと結合。彼らが勧めるモデルは消費者自身が電力の発電と貯蓄(燃料電池を使って)を行うものである。更に省エネ家電で電力消費量を最小限に抑え、余った電力はスマートグリッドを通して分け合うというものだ。

勝者は誰になるだろう?でもどちらでも良いのだ。両者共に重要な役割を担っており、日本が成長を続けるためには協力する必要がある。得に今のエネルギー難の世界では。

驚くべき多様性

展示会は内容が盛り沢山で全ての面白いビジネスチャンスや新商品を取り上げるのは難しい。ただその中で特に興味を引かれた展示は以下のものだ:

•   三菱の電気自動車MiEVは今では4,599,000円(もしくは米ドル52,000)。この車は数々の展示会で試作品として見てきたがやっと市場に出る。比較的高額に感じられるかもしれないがそれは現在の車の多くが環境破壊の代償を払っていないからだ。

•    バイオプラスティックも多く見られた。生物資源(バイオマス)から製造され(通常のプラスティックとは違い)使用後は自然界に循環可能ものである。新しいバイオプラスティックのラベルも開発されている。

•    新しいラベルといえば、日本カーボンフットプリント(CFP)は商品に貼れるその原材料調達から消費、廃棄までの各段階で排出されたCO2量をグラム単位で表示するラベルの作成に力を入れている。

•   エコ化粧品のブースはプレゼンを真剣に聞きながらメモを取る女性の来場者で賑わっていた。エコ化粧品を紹介する展示会は今まで見たことがない。詳しい話を聞く時間はなかったが、エコ意識を高めるには非常に良い取り組みだと思う。

展示会の一つの大きな焦点は教育だ。特に次の世代。会場では何千人ものの小中学生が課題をこなしたり、物作りや実験を体験しているのが見受けられた。これは小さいうちから顧客を捕らえようとする大企業のとても賢い策略だ。ただ今までとは違う観点、企業のエコへの取り組み(もしくはエコ意識)に焦点を当てている。

この展示会は日本の大手企業が各社の環境保全の実績を紹介できるチャンスなのだ。もちろん、見せかけだけのものや、あまりエコとは思えないような取り組みも展示されている。しかし会場を見渡していると、巨大パズルのように複雑な低炭素型社会を作りあげるピースとなるものたちが見えてくる。

私が気に入っているアイデアは将来的に年間の炭素排出量を明細表(新しい算定基準を元に)という形で教えてくれるようなバイオプラスティックのカーボンカード(今の現金やクレジットカードの代替)を持ち歩くというものだ。そしてこれを使えばカーボンフットプリントを減らす取り組みができるようになる。これはそんな先の話ではないはずだ。

こんなもの見たことがない

日本では常に驚かされる。この展示会もそうだった。会場では本当に仰天するようなアイデアも紹介されていた。大手建設会社の清水建設は月太陽発電を使った新しいエネルギー源の開発を提案している。なんだって?

彼らは月の赤道上の全周に幅400キロにも及ぶ太陽電池の帯を作ることを提案。ここにはエネルギー伝送施設も作られそこからマイクロ波やレーザー光に変換して地球へエネルギー伝送。地上では変換施設がマイクロ波・レーザー光を電力に変換する。

この仰天するような提案は2030年には世界のエネルギー需要をまかなうこともできるかもしれない。しかしまだ私達にとっては斬新過ぎる気がする。月見茶会などの文化を持つ日本がそんな巨大ベルトで月を取り巻く計画などを提案するとは驚きだ。地上からも見えてしまうこのベルトは恐らく大きな反対を招くだろう。

しかしこれに驚いている場合ではない。同じ清水建設のもう一つの提案が環境アイランドGreen Float。これは上空1キロにそびえるタワー上にある直径1キロもある空中都市である。そしてその基盤は直径3キロもあり海上を移動して他の空中都市とつながって国を作ることができる。基盤には森があり、タワー部分には植物工場そして最上には居住区やショッピングセンター、会社などがある。

パンフレットでは「タンポポのように自然とやさしく共生することで植物質な都市が生まれる」とある。これには私も仰天してしまった。私としてはまだしばらく足を地につけたままもっと身近な問題を解決することに集中したいと思う。

翻訳:越智さき

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著者

ブレンダン・バレットは1984年からイギリス原子力発電所の環境アセスメントに従事して以来、環境分野に従事してきました。環境スペシャリスト、都市設計者でもあり、コミュニケーションや教育をはじめ環境問題の研究のため、ITを駆使しています。

博士課程を終了後、1997年から国連大学に加わり、2002年に国連大学メディアスタジオを立ち上げました。

IUCN(国際自然保護連合)教育・コミュニケーション委員会のメンバーでもあり、オーストラリア環境研究ジャーナルやサービス・リサーチ・ジャーナルの国際編集顧問委員会のメンバーとして活躍。2002年から2005年には情報社会サミットで、国連大学の中心的役割を果たしました。

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