映画アバターのごとく、部族と資源大手の戦い

先祖代々の土地を守る数千の森林居住部族民は、何年にも渡り、彼らの土地開発をもくろむ国際鉱業会社と戦ってきた。インド最高裁での裁判を4月9日にひかえ、彼らを率いるリーダーたちの公聴会が開かれた。

ハリウッドの大ヒット映画にちなんで「実在のアバター」と呼ばれるドングリア・コンダ族が、彼らの聖なる山をロンドンの複合企業ベダンタ・リソーシズのボーキサイト鉱山開発から守ろうとする戦いは、国際的な支持を得てきた。この運動を支援する著名人の中には、映画「アバター」の監督、ジェームス・キャメロン氏、ブッカー賞受賞作家のアルンダティ・ロイ氏、また、イギリス人俳優のジョアンナ・ラムレイ氏やマイケル・ペイリン氏が名を連ねる。

“ドングリア・コンダ族が、彼らの聖なる山をロンドンの複合企業ベダンタ・リソーシズのボーキサイト鉱山開発から守ろうとする戦いは、国際的な支持を得てきた。”

インド東部オリッサ州、ニヤムギリ・ヒルズでのベダンタのボーキサイト採掘プロジェクトに対し、2010年に政府はプロジェクトの停止命令を下した。ベダンタはこの決定の再審請求を申し立て、判決は4月9日に予定されていた。

Save Niyamgiri Committee(「ニヤムギリ保護委員会」)のリンラージ・アザド委員長はドングリア・コンダ族の戦いについて、「単に一部族が伝統的な土地や居住環境に対し慣習上の権利を守ろうとしているのではなく、全世界が私たちの自然遺産の保護を訴えているのだ」と語る。

ドングリア・コンダ族を擁護するため、地元の部族は同盟を結んだ。インド先住民マジー・コンダ族のリーダー、クミティ・マジー氏は、「最高裁判所の判決の如何にかかわらず」地域社会が採掘を止めさせるだろうと言う。

写真:Rajkumar1220

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「私たち、マジー・コンダ先住民族は、私たちの兄弟であるドングリア・コンダ族が山々を守れるよう助けていく」と話している。

インドの急速な経済成長が原材料に対する大きな需要を生み、脆弱な法執行力が、鉱山開発やその他の資源開発産業による多大な環境被害を許してしまっていると、活動家たちは指摘する。

ニヤムギリ・ヒルズ近郊に建てたアルミナ精錬所で精製するボーキサイトが欲しいベダンタは、インドの森林・環境法により政府の許可を受けなければならない。すでにベダンタは仮認可を取得しているが、森林保護のための法律や地域部族民の権利を侵害しているのだ。

インド政府の報告書は、ベダンタが森林保護、部族権利、環境保護に関するオリッサ州法に違反したことを非難しており、後に森林専門家たちからも同様の告発がなされている。

当時、環境相だったジャイラム・ラメシュ氏は、「法律違反」を理由にベダンタのボーキサイト採掘を禁止した。

ベダンタの広報はこの時、部族からの承諾を得られなかったことについて否定している。「私たちは、貧しい部族民たちを社会の主流に合流させようと取り組んでいるのだ」。ベダンタ・アルミニウムの最高執行責任者ムケシュ・クマール氏は、2010年の判決が出る直前にこう語った。

以降ベダンタは、現地と国際世論を味方につけることに尽力してきた。4月9日を前に、ベダンタはロンドンの広告会社を通じノーコメントを発表した。インドのビジネスマンの多くが、自国の環境や社会から取り残された地域を犠牲にしたとしても、経済成長が優先されるべきだと考えている。それらはインドの発展において避けられない代償なのだと主張している。

数十年に渡りビジネスへの法的規制が当たり前のように無視され続ける中、初めて大企業の利益追求と戦った環境相がラメシュ氏だと考えられている。その姿勢が政府内の亀裂を招き、同氏は別の省庁へ異動させられた。

デリーにあるインド科学環境センターのチャンドラ・ブシャーン氏は、この訴訟の結末は「ビジネスを力づけるか、市民社会を力づけるか」のどちらかになるだろうと語る。

「(ニヤムギリ・ヒルズで)採鉱してはならない理由は山ほどあり、手続き上、裁判所のみがそれを阻止することが可能なのだ。そうでなければ、それは政治停滞の兆候となるだろう」と、同氏はガーディアン紙の取材に答えた。

写真:Rajkumar1220

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インド最高裁判所は今回の審判を、法律と技術の専門家を集め近年設立されたnational green tribunal(国立グリーン裁判所)に委ねる可能性がある。

先週この裁判所は、オリッサ州にあるポスコの巨大鉄鋼精練所に対し、環境上の認可の一時停止を決定している。韓国の企業から80億ポンド(127億USドル)の投資が期待されるポスコのプロジェクトは、何百もの雇用を創出し、インドの工業力を著しく高めるだろう。しかし、プロジェクトの環境影響に関する調査が、より小規模の新規事業を前提として行われたものだったため、裁判所はこの判決を下したのだ。

インド各地の発電所、ダム、工場、道路整備等のインフラ計画が、その環境上の認可が審理されているために凍結している。また、インドの至るところで、頻繁に土地を巡る衝突が起きている。イギリスの運動組織サバイバル・インターナショナルはこの2月、ベダンタのボーキサイト採掘が計画されているニヤムギリ・ヒルズで、宗教儀式の妨害と見られる検挙と暴行が起きたという報告を受けている。

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この記事は2012年4月8日にguardian.co.ukに掲載されたものである。
(注:2012年4月9日の裁判は判決に至っていない。判決は夏休みシーズン前に出るとみられている

翻訳:上杉 牧

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