地場産業を支援するオープンソース技術

2013年05月20日 ミラ・ルナ Shareable.net

利益志向的で独占的な革新に私たちを縛り付けている足かせを解き放つために、オープンソース・ハードウエアは画期的な手段になるかもしれない。この概念は、地方分権的で経済的な小規模生産を強化することで貧困を緩和しようという発想から誕生した。参加者は世界のどこにいても、インターネットを利用して地元の製造業のためのデザインを手に入れ、改良し、改造することができ、イノベーションの速度を劇的に加速させることができる。

Open Tech Forever(オープン・テック・フォーエバー、OTF)は、研究、開発、教育を行う、労働者が経営する新しい企業だ。OTFは人々に各自のビジネスでハードウエア技術を活用する方法を教えており、オープンソース・ハードウエア開発における新たな勢力となる可能性を持つ。OTFは現在、オープンソース技術製品を生産するオープンソース型の工場を建設中で、その施設の建設費用5万USドルを集めるために、最近Indiegogoクラウドファンディング・キャンペーンを開始した。OTFは協同所有の社会事業であるため、同社の革新技術は全て、隠されることなく文書や画像や映像で記録され、クリエイティブ・コモンズのライセンスに基づいて公開される。

OTFの共同創立者アーロン・マカルク氏は、同社の使命を次のように説明する。「世界中で苦難の前線に暮らすコミュニティ同士の協力を促進することです。そうすることによって、貧困と環境破壊への永続的な解決策を築くことが可能になります」

「全く新しい経済の新開地が私たちの目の前に広がっています。そこは、ファイルをコンピューターにダウンロードするのと同じくらい簡単に、革新と富が大量生産される世界です。私たちの目標は地元のオープンソース型工場を利用して、非人間的な条件下で製造された持続不可能な製品を輸入している企業に打ち勝ち、廃業に追い込むことです。地域住民が経営するオープンソース企業を1社ずつ成功させていくのです」

同社が重要視しているのは、地元で入手できる低価格の持続可能な材料を可能な限り利用し、自作で(DIY)、簡単に製作可能な機械を作るという点であり、その点がオープンソース・ハードウエアの熱心な推進者たちの称賛を集めている。機械は初めから、ほとんど誰にでも修理できるように設計されているため、さらなる消費につながる計画的陳腐化という利益追求型の現行の慣習を退けている。

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オープンソース・エコロジーでの機械製作の様子

オープン・テック・フォーエバーはアメリカのコロラド州デンバーのダウンタウン近くの、広さ40エーカー(約16ヘクタール1)のパーマカルチャー農園に所在する。創立者は、オープンソース・ハードウエア草創期のパイオニア的組織、オープンソース・エコロジー(OSE)の中心メンバーだった人々だ。チームメンバーにはマカルク氏のほか、OSEの元開発ディレクターでティール財団のフェローであるYoonseo Kang(ユンセオ・カン)氏や、過去にウィキリークスに携わった経験を持ち、OSEの元ビデオコミュニケーション・ディレクターのトリスタン・コプリー・スミス氏がいる。

土地の所有者は土壌学の学位を持つパーマカルチャーの専門家だ。OTFはオンラインで農業訓練の手引書、つまり動画やマニュアルやビジネスモデルを含む「オープンソース・パーマカルチャー」を作る計画だ。また、機械工学者でKalki Mechanical Prototypes(カルキ・メカニカル・プロトタイプス)創業者のラーフル・ディナカラン氏もチームに参加している。同氏は3軸のコンピューター数値制御の機械や車いすなど、数々のオープンソース・ハードウエア・モデルを設計してきた。

もう1つの刺激的な展開は、OTFがCo-Openと呼ばれるオープンソースのオンライン・プラットフォームを立ち上げたことだ。このプラットフォームは今週、数千人の開発協力者が同時にオンラインで作業できるGithubで初めて利用可能になる。プロジェクトの設計段階で参加者に協力してもらえば、経費を著しく削減できるだけでなく、技術革新を改良できる。このプラットフォームでの最初の共同プロジェクトは、OTFの工場設計だ。現在アメリカとインド各地の人々が作業に取り組んでおり、その中にはOSEの元生産マネージャーで、機械・建築工学者のマーシャル・ヒルトン氏がいる。

OTF共同創立者のカン氏は次のように説明する。「現在、私たちのオンライン共同プラットフォームでは、数千人の人々がオープンソース工場を簡単に共同設計することができます。つまり、世界中の人々が自然な形で共に働くことが可能なのです。例えば、インドにいる版築の親方がコロラド・スクール・オブ・マインズのエンジニアに、どんな土の配合がレンガ作りに最適かを語る状況もあり得るということです。可能性は無限です。私たちのプラットフォームはカスタマイズと改良を重ねる余地がふんだんにあるのです。共に働くことによって、透明性があり世界中の誰でも利用できるテクノロジーを作り出すことができるのです」

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オープン・テック・フォーエバーの共同創立者、Yoonseo Kang(ユンセオ・カン)氏

オープンソース・テクノロジー運動に開かれた多くの可能性の1つは、創造した機械自体が製品を作ることができるという点だ。設計に掛かる費用をかなり削減できる上に、この分野特有のDIY精神があるため、新たなビジネスモデルが誕生しそうだ。例えば、OSloomは、クリエイティブ・コモンズのライセンスに基づいた織機を作っている。このおかげで人々は織物や、限りなくさまざまな布製品を作ることができる。オープンソース経済というパラダイムの中では、テクノロジーのあらゆる側面が公開される。つまり、織機の設計、原材料の収集に必要な技術、さらには洋服の型紙やアパレル企業のビジネスモデルまで公開されるのだ。

製造業を再び地元に根付かせることは、気候変動による不安定化に備え、柔軟性に富む自給的な経済を形成する力を地域社会に与えるために私たちが取り得る最も重要なステップの1つだ。有能で情熱に満ちたエンジニアたちと共に、革命的な使命を掲げるOTFは、刺激的なプロジェクトになるだろう。今後数年の成長と、開発の第1段階を支援するキャンペーンの行方は注目に値する4。

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本稿はクリエイティブ・コモンズのライセンスに基づき、shareable.netに掲載された初出記事に若干の変更を加えたものです。

翻訳:髙﨑文子

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著者

ミラ・ルナ

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ミラ・ルナ氏はShareable.netの企画部長およびライターである。彼女は長年にわたる社会正義や環境正義の活動家、コミュニティのまとめ役、ジャーナリストであり、オルタナティブ経済の発展に努めている。彼女は地域のオープンソース・タイムバンクであるBay Area Community Exchange、San Francisco Really Really Free Market(無料マーケット)、Just Alternative Sustainable Economics(JASecon、公正で持続可能なオルタナティブ経済)の共同創始者であり、Board of the San Francisco Community Land Trust(サンフランシスコ・コミュニティ土地信託委員会)とUS Solidarity Economy Network(アメリカ連帯経済ネットワーク、現職)で委員を務める。

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