家畜を活用した砂漠化対策

国連大学(UNU)高等研究所のロバート・ブラジアックは、アラン・セイボリー氏とナイロビでバスに同乗し、インタビューを行う機会に恵まれた。セイボリー氏はジンバブエ生まれの生物学者であり、農業従事者、猟獣の大農場主、政治家としても活動し、Savory Institute(セイボリー研究所)の国際コンサルタント兼共同創設者でもある。彼は1960年代に「ホリスティック・マネジメント」の枠組みを考案した人物として知られ、数十年にわたりアフリカでの砂漠化に対する取り組みをリードし続けている。彼の手法は従来のやり方とは異なり、牧草地を保護するために家畜を追い出すのではなく、むしろ家畜数を増やすという方法だ。セイボリー氏はかなり驚異的な成功を収めており、彼のアイデアは共感を呼んでいる。その結果、彼は昨年開催された国際連合砂漠化対処条約(UNCCD)のランドデーで基調演説を行ったほか、ヨハネスブルクでの最近のTED会議でもスピーチをしている。さらにセイボリー氏とセイボリー研究所は様々な賞を受賞している。

左側の土地は全体的な計画放牧(Holistic Planned Grazing)に従って管理されている。砂漠化が進む右側の土地とは対照的だ。写真:セイボリー研究所

Q: 急速な砂漠化は恐ろしい未来を予感させます。多くの人は砂漠化の主な原因に家畜を挙げています。ホリスティック・マネジメントについて、また、あなたがなぜ家畜を解決策の一環と考えるのか、お話しいただけますか?

A: 家畜は解決策の一環ではありませんが、砂漠化から脱却するためには極めて重要です。その点をご説明しましょう。砂漠化とは、利用できる降雨が著しく非効率的になった状況の最終結果です。程度は様々ですが、砂漠化は世界の広い地域で発生しています。そのような地域ではもともと、降雨が季節性なので大気湿度は不安定です。歴史を通して私たちは砂漠化を、家畜の数が多すぎる過放牧が原因だと考えてきました。この深い思い込みが科学的妥当性の根拠となり、私もそのワナにはまって、今となっては恥ずかしい論文を過去に発表しました。

では、それほど非難された家畜がなぜ砂漠化からの脱却を可能にする唯一の方法であるのか、説明しましょう。砂漠化は、人為的な干ばつ、洪水、貧困、社会の崩壊、暴力、文化的大量殺りく、そして気候変動において非常に重要な役割を果たしています。

広大な牧草地とサバンナ地帯と人為的砂漠は、世界の陸地の中で最も広い面積を占めています。この地域での降雨は季節性なので、乾期や雨の少ない時期が毎年あり、降水量は多いこともあれば少ないこともあります。このような地域とは違って、ヨーロッパの多くの地域や、アメリカの主に沿岸部の一部の地域は、降水量は少ないのに湿度分布はもっと均等です。こうした季節性の気候環境では、多年生の牧草やその枯れ草が土壌のほとんどを覆います。その役割は、降水量がさらに少なくなり土壌を覆う樹木の林冠を保てなくなると、さらに重要となります。牧草はその足元にある土壌や、大きな群れを形成する草食動物と共に進化しました。また草食動物は、群れで狩りをする動物の食料でした。ほとんどの多年生の牧草は、地表近くの安全な部分に成長点を持っています。なぜなら何十億頭もの草食動物と共存してきたからです。

牧草は成長期に勢いよく成長しますが、大気に湿度がなくなると、地上のほとんどの牧草は枯れます。こうした大量の枯れ草が、毎年わずか数ヵ月間のうちに生じますが、牧草が次の成長期に確実に成長し続けるためには、枯れ草が生物学的に急速に腐敗しなくてはなりません。しかし、適度な数の草食動物がいない場合、直立した枯れ草は急速な生物学的腐敗ではなく、酸化と風化によるゆっくりとした分解をたどります。こうした緩慢な分解により、日光が枯れ草に妨げられ、牧草の成長点に届きにくくなり、結果的に多くの牧草が枯れる原因となります。その後の状況は降水量によって様々です。もし降水レベルが十分に高ければ、牧草地は低木や樹木が育つ場所に変わり、一方、降水レベルが低ければ、草木のない、大抵は藻に覆われた土壌や砂漠性の低木のある場所に変わります。

“こうした季節性の気候環境では、多年生の牧草やその枯れ草が土壌のほとんどを覆います。その役割は、降水量がさらに少なくなり土壌を覆う樹木の林冠を保てなくなると、さらに重要となります。牧草はその足元にある土壌や、大きな群れを形成する草食動物と共に進化しました。”

牧草や草木の生える間隔が広く、まばらになり、露出土壌が増えてくると、利用できる降水の効率性が悪くなります。これが砂漠化につながるのです。土壌に染み込んだ雨は数日間で土壌の表面からほとんど蒸発します。あるいは、降水量が多い場合、ほとんどの雨水は流れ去り、それが洪水を起こします。このために、降水量に変化が見られない場所でさえ、干ばつと洪水の両方の頻度と強度が高くなっているのです。こうしたプロセスは降水量が少ない場所でより急速に生じています。

このような環境において、人間が野生の草食動物のほとんどを絶滅させる以前には、降雨の効率性と牧草地の健康は、群れで狩りを行う捕食動物から身を守るために集群行動をとる大型動物の大群(何十億頭)によって維持されていました。群れ自体の移動がない場所でも、集群行動を取る動物は糞尿で汚れた地面を避けて動くため、絶え間なく移動することになります。彼らは土壌や牧草を踏みつけ、草を食べ、糞尿を落とし、結果的に覆土全体と牧草地の健康を維持することにつながるのです。

人間が多くの草食動物を絶滅させ、その代わりに比較的数の少ない家畜を放牧するようになると、野焼きをしなければ牧草地は枯れ始めるということにすぐに気づきました。確かに野焼きは枯れかけた草を取り除けるので、成長した牧草を元気に保ち、牧草地の耐用年数を延ばすことができますが、それと同時に土壌を露出させ、植物の生える間隔がより広くなり、結果的にいずれは砂漠化につながります。

Q: では、この方法が効果を発揮するためには、どのくらいの規模の群れが必要ですか?

A: 規模は特に決まっていませんが、群れが大きければ大きいほど、砂漠化傾向はより早い段階で逆転します。私の知っている人が活用している最大の群れは、羊の1群が2万5000頭で、最初の1年間で土地の生産性が50パーセント向上しました。最も重要なのは、家畜(あらゆるタイプの牛から、ヤギ、ラクダまで)の管理方法です。私が1960年代に昔ながらの野生の群れの行動を真似て家畜を活用できると気づいた頃、どのように管理したらいいのかまだ分かりませんでした。非常に聡明な牧畜民たちがおよそ1万5000年間、常に家畜を移動させてきた放牧が、結果的に広大な人為的砂漠を生む原因の1つとなったことは間違いないようです。そして約100年間、囲いを利用した農場管理(それはローテーション方式などの現代的な放牧システムにつながった)が行われた結果、アメリカなど季節性の降雨量が多い環境でさえ、砂漠化が加速したのです。

問題の本質は、家畜、野生生物、植物、土壌、土壌有機物のニーズに同時に応えるという複雑性に対処する方法を見いだすことでした。放牧システムとは、この複雑性を分かりやすく単純化するために設計されたものでした。ですから、このシステムを研究実験で再現することも可能だろうと私は考えています。そして牧畜民たちは過放牧を避けるために家畜を移動させる必要性を理解してはいたものの、集団で狩りをする捕食動物から保護された家畜が行動を変えたのに、その複雑性に対処しようとも変化した行動を理解しようともしませんでした。計画段階を通じて複雑性に対処するために、私はまずアンドレ・ヴォアザンの合理的放牧を試しました。

ヴォアザンはフランスの研究者で、過放牧の原因は家畜の数ではなく、牧草が家畜にさらされる時間の長さとその繰り返しにあると立証した最初の人物です。彼はあまりに単純なローテーション方式の放牧が持つ欠点を理解し、それに従って合理的放牧を開発しました。それは考え抜かれた計画的な放牧であり、放牧地を単純に巡回するものではない放牧方法です。合理的放牧は、より湿度の高いヨーロッパの気候と放牧地という比較的単純な環境では、うまくいくことがすでに証明されていました。しかし私は季節性の降雨のある放牧地という、より高度な複雑性に対処する問題にすぐにぶつかりました。そこで、その環境に合わせて、私たちは野生生物を考慮し、非常に不安定な降雨に対処する一方で、社会的および経済的要因も取り入れました。

生態学者や、野生生物や牧畜の科学者たちは、マネジメントにおける複雑性を扱ってきませんでした。そこで私は無駄な労力を費やすのではなく、サンドハースト英国王室陸軍士官学校で教えられている何百年ものヨーロッパの体験と、目の前の戦場に最適だと彼らが認めた計画プロセスを取り入れることにしました。軍事計画の立案者は単純で連続したステップを1つずつ積み重ねることで、いかなる時にも最良の計画を立てるプロセスをすでに確立していました。ですから私は単に、軍事計画では無関係だった変化する側面、すなわち時間、エリア、数、行動という側面を考慮した新たな計画を練る図表を作ればよかったのです。

図表での計画作りには他の利点もありました。例えば危機的状況を想定し、そこから時間をさかのぼって放牧を計画することができます。つまり、野生生物、天候、野火、収穫、その他の土地利用に関連する配慮という難しい条件を満たしながら、家畜の移動を計画することができます。さらに、土地の面積ではなく時間を基準に、常に干ばつを考慮に入れた計画を立てることができました。従って干ばつが起こった場合、家畜と土地の両方の生産性は、より伝統的な土地の保全方法よりも高く保たれるのです。

全体的な計画放牧(Holistic planned grazing)として知られるようになった方法は、家畜の数を増やすことで放牧地の健康をすぐに取り戻せました。また1960年代以降、この方法を適用した場所はどこでも成功し続けています。今日、全体的な計画放牧は4つの大陸において、約3000万ヘクタールの放牧地で実践されています。また、ジンバブエに本部を置くAfrica Centre for Holistic Management(アフリカ・センター・フォー・ホリスティック・マネジメント)はナミビア、ケニア、ソマリア、エチオピアの読み書きが苦手な牧畜民や、農業を兼業する牧畜民に、全体的な計画放牧を教えています。

Q: 家畜や有蹄動物の大規模な群れがなくても、長期的に砂漠化の問題を解決することは可能ですか?

A: 残念ながら不可能です。現状はあまりに厳しいため、アフリカの季節性降雨地域にある大きな国立公園でも生物多様性が失われ、砂漠化が進んでいます。もう一度言いますが、私は他の科学者と同罪です。なぜなら、国立公園にいる多数の動物を間引くきっかけを作ったのは私の研究だったからです。国立公園の予定地としてアフリカで最もすばらしい野生生物の生息地域を保護した時、その地域が急速に生物多様性を失い、砂漠化し始めたことに気づきました。私たちは象やアフリカスイギュウなどの数が多すぎると考えたため、私たちの手法に適合し、間引きを推奨するデータは簡単に収集できました。こうした不快な提案は激しい抵抗に遭い、政府は生態学者による調査団を立ち上げて、私の研究を評価させました。調査団は私の意見を支持し、結果的に私たちはジンバブエで約4万頭の象を射殺しましたが、問題はさらに悪化するだけだったのです!私も、私の研究を認めた人々も間違えていたのです。

「自然に任せる」、あるいは休ませるというアプローチは、1年を通してより湿度の高い国立公園では効果的ですが、残念ながらすべての国立公園で成功しているわけではありません。野生生物を保護しつつ砂漠化から脱却しようとするなら、私たちは考え方と管理方法を変える必要があります。全体を考慮に入れた管理をしなければなりません。そして、どんな対策も生物多様性の喪失を防ぐことができない場所では、適切に管理された家畜と野生生物を統合させる方法を検討すべきです。この方法は私たちがすでにジンバブエの実験地で実践しており、希望の持てる結果を生んでいます。その実験地では、観光客が野生生物の観察にやって来ます。さらに私たちは観光客を狩猟旅行に連れていきますが、指摘されなければ、そこに家畜がいることを誰も気づきません。なぜなら、牛や羊やヤギの管理された群れは常に(昼夜を問わず)、1ヘクタール未満の範囲に集まっていて、私たちは野生動物や他の土地利用に影響が出ないように、何カ月も前に群れの居場所を計画しているからです。

Q: ホリスティック・マネジメントを通してあなたが発見した直接的な環境上の恩恵以外で、気候変動への影響についてお話いただけますか?

A: 気候変動への影響は非常に大きいですね。従来どおりのやり方を続けていたら気候変動に対処することは不可能だと、私は命を懸けて断言できます。

農業は、一般的に考えられているような単なる作物生産ではありません。それは世界の土地と水源から食料と繊維を生産することです。今日の農業は、アメリカでさえ、食料よりも土壌浸食を生産していると言えるでしょう。農業によって、世界各地で砂漠化が広まり、何十億ヘクタールもの牧草地が毎年燃やされ、定期的に熱帯の森林も燃やされています。人間の食料となるべき穀物を何十万頭もの牛に与え、人間が食べるべき穀物からエタノールを生産しているのです。率直に言えば、今日の農業がもたらした予想外の結果をすべて集めてみると、それは化石燃料と同等か、もしかしたらそれ以上に気候変動を引き起こしています。それなのにメインストリームにいる代わり映えのしない科学者たちは、農業が気候変動に適応すべきだと提言しているのです!

“皆と違った考えを持つ経済学者たちや、その他の思慮深い人々は、手をつなぎ連携を深めています。しかし、悲しいことに、そういう人の数は、私たちを人類学的自殺に追い込むメインストリームの経済学者よりも少ないのです。”

さらに悪いことに、ついに無害な大量エネルギー資源が開発され、化石燃料に頼らない世界になったとしても、農業が原因で気候変動が存続する可能性があります。そのような明白な事実を、私1人が荒野で叫んでいるような気がするのですが、知識を有する科学者なら誰でもこの単純な現実に異議を唱えることはできないと思います。

私は気候の変化が暴走してしまう可能性は現実的だと考えています。あらゆる悪条件がそろった状況が急速に迫りつつあり、従来どおりのやり方を続けることはできません。10年ごとに、リオ会議のような主要な国際会議が開催されています。会議では毎回、世界的に状況は悪化している事実が嘆かれます。そして毎回、私たちは大きな決意と宣言をし、相変わらず失敗し続ける対策を続けるために何百万ドルもの資金を投入するのです。そして、こうした状況は今年開催されるリオ+20会議でも繰り返されるでしょうし、10年後には同じプロセスを再び繰り返すのです。

混乱を招く意見や圧力が数多くあります。あまりに多くの既得権益(金融界や専門家たちのエゴ)があるため、世界の人々が混乱するのも無理はありません。生物多様性の喪失、砂漠化、気候変動といった問題全体を「戦時体制」に置けばいいのです。つまり、ポール・ギルディング氏が最近の著作『The Great Disruption(大崩壊)』で表現したように、もはや事態は私たちが何をしたいかではなく、何をしなければならないかという段階です。問題を戦時体制に置くことができれば、想像を超えた大災害を回避するという希望をかろうじて持てるのです。だからこそセイボリー研究所は、悲劇を回避するためにできるだけ早く、ホリスティック・マネジメントの枠組みを国際社会の意識に取り入れてもらおうと活動しているのです。

特効薬はないですし、ましてや技術的な特効薬など決してあり得ません。しかし研究機関や農業従事者、漁師、林業者、牧場主、そして牧畜民たちの知識を利用して潮流を変え始めることは可能です。そのためには全体的な管理と、特に全体的な政策作りを始めなければなりません。私たちに欠けているのは知識ではなく、全体を見据えた上で目的を達成する実践的な方法です。洪水は初めから洪水なのではありません。まず、雨のしずくが乾いた大地に当たって、砂埃をはね散らし、土壌を湿らせます。その後、土壌は水浸しになり、雨水が合流し、その結果、洪水になるのです。社会の歯車を回し続ける燃料は経済です。そして経済は始めから洪水として生まれるものではない上に、トップダウン式に設計できるものでもありません。それは1つの決断、1つのプロジェクト、1つの政策を、雨のしずくのように1つずつ変えることから始められるのです。

Q: ホリスティック・マネジメントの基本的な方法は過去にも常に存在していたように思われます。こうした方法を効果的に利用した文化は歴史に記録されていますか?

A: アインシュタインは人類の未来にとって2つの概念が非常に重要になるだろうと述べています。1つは彼自身の相対性理論、もう1つはヤン・スマッツが発展させたホーリズム(全体論)の概念です。私の研究の理論基盤はスマッツから得ています。

ホリスティック・マネジメントは2つの新しい概念と関係しています。1つは、私たちが究極的に砂漠化や気候変動に対処するのに不可欠なツールとして、家畜を取り入れたことです。家畜は常に存在していましたが、世界の全体論的な特性や牧草地で自然を模倣する必要性をより深く理解するまで、私たちは家畜を正しく利用することができませんでした。昔の人々は健康な土地と動物の影響力の関連性をたびたび観察していましたが、それに徹底的に従うことはありませんでした。昔のスコットランドの羊飼いは、飼っている羊の役割について「金色のひづめ」として語っています。アメリカ先住民族のナバホ族のリーダーは、飼っている羊と土地の健康の関連性を観察していました。しかし彼らの観察結果は牧畜学者たちに無視され、アメリカ政府は砂漠化を食い止めるためにナバホ族の羊5万頭を射殺しました。その結果、羊は少なくなったのに砂漠化はさらに進んだのです。拡大しつつあったカルー砂漠をマッピングした南アフリカの植物学者ジョン・エイコックスは、南アフリカが「過放牧」されているが「家畜の数が足りない」と書き記しましたが、あざ笑われただけでした。今日では彼の正当性は明らかです。

私も含め、こうした観察力を持つ人々は当局に嘲笑されました。砂漠化が進んだ何千年もの間、他の人たちが同じような観察をしなかったとは信じがたいことですが、もし観察していたとしても恐らく同じように嘲笑されたでしょう。

ホリスティック・マネジメントの2番目に大きな概念は、家庭から政府や国際機関に至るまであらゆるレベルでの実践的な複雑性に取り組むものという、まったく新しい概念です。文化の中にはこの概念に近似したものもあります。例えば、あらゆる決定を7世代先まで想定して行おうとした一部のアメリカ先住民族などです。しかし、政策やプロジェクトの設計において意図しない結果を避ける鍵は、全体論的コンテクストという新しい概念にあります。この概念を見いだし発展させるのは非常に困難でした。なぜなら私たちは何を探しているのか分からなかったし、どんな宗教や科学や哲学の支流にも、この概念にわずかでも似ているものさえ存在していなかったからです。

Q: 今年6月、地球サミットは20周年を迎え、いわゆるリオ+20会議がリオデジャネイロで開催されます。ホリスティック・マネジメントはグリーン経済への転換において役割を果たせるでしょうか?

A: リオ+20会議では、過去のすべての環境会議と同じように、残念ながら無駄な労力が費やされるでしょう。あらゆるレベル、すなわち農業従事者、農場労働者、林業者、漁師、牧畜業者から主要な非政府組織(NGO)や政府や国際機関にいたるすべてのレベルにおいて、全体を見据えた資源の管理が行われなければ、本当のグリーン経済が実現する可能性はごくわずかです。私たちが全体を見据えて資源を管理し、開発プロジェクトと政策を作ることができた時に、初めて本当の希望が持てるのだと私は思います。

西洋文明について意見を求められたガンジーは「それが本当に存在するなら、すばらしいと思いますよ」と答えました。この返答を私は思い出しました。つまり、グリーン経済はいいアイデアですが、私たちが全体を見据えた管理をできるようになるまでは、単なるいいアイデアでしかないのです。安定した経済の唯一の基盤とは光合成の過程です。それは端的に言えば、常に再生し続ける土壌に緑の植物が育つということです。人口が増加し続け、私たちが食料を生産するよりも土壌浸食を生み出し続けるかぎり、安定した経済は決して実現されません。そして私たちは世界中の農地や放牧地で資源を使い尽くすだけでなく、海洋でも生物を破壊しつづけているのです。

幸運にも、違った考えを持つ経済学者もいて、中には私の活動を長年にわたって支持してくれる人もいます。そういう人たちや、その他の思慮深い人々は、手をつなぎ連携を深めています。悲しいことに、そういう人の数は、私たちを人類学的自殺に追い込むメインストリームの経済学者よりも少ないのです。

翻訳:髙﨑文子

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家畜を活用した砂漠化対策 by ロバート・ブラジアック is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.

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著者

ロバート・ブラジアック氏は、東京大学大学院農学生命科学研究科のリサーチ・フェローで、持続可能な漁業の管理における国際協力の可能性について研究している。現在、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)のFUKUSHIMAグローバル広報事業に関わっており、また以前は同大学のSATOYAMAイニシアティブにも取り組んでいた。

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