UN Photo/Eskinder Debebe

気候

サミットを終えて

キャロル スミス 2009年09月23日

ニューヨークで開催された気候変動サミットで昨日世界の指導者達が行った宣言が世界の注目を集めている。

世界最大規模の温室効果ガス排出国である中国、アメリカの真剣な誓いが新聞のヘッドラインをにぎわせている。発展途上国を支援する国際的な融資メカニズムを求める日本の声やフランス大統領ニコラス・サルコジ氏がアフリカを支持した際に起こったスタンディングオベーション(拍手喝采)が熱心な読者達に向けて新聞に掲載された。

潘基文国連事務総長は皮肉まじりにこう語った。「温暖化交渉は遅々として進みません。世界の氷河は人類の氷河保護活動の進展より速く溶けています。氷河の保護とは人類自身を保護することなのです」

しかしながらサミットの閉会時、潘事務総長と12月の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)を主催するデンマークのラース・ロッケ・ラスムセン首相は未来に希望をもつことができたと語った。ラスムセン首相は次のように語った「政治的な勢いをとても強く感じました」

しかし、真に何が達成されたのかを解明するのは困難である。気候変動サミットのテーマが「緑の発展を、地球の保護を」にも関わらず、ある重要な目標が達成されなかったのは明らかだ。その目標とは、同サミットが指導者達の「エネルギー革命をどのように始めるか決定する」場になることであった。しかし、どうやら従来の簡単な(科学的に求められる基準以下の)目標のみが掲げられたようだ。

一般市民は何を感じただろうか? 切迫感の欠如や傍観を続ける必要性? それとも個人のカーボンフットプリント削減方法を見つけること、また12月にコペンハーゲンで何が起こるか静観することや署名した嘆願書が奇跡的に政治家達に影響を与えると望むことだろうか?

自身に課す排出量制限

より具体的な結果や、政府に煮え切らない態度をとる余地を与えずに実行できる何かがあれば、私たちは希望をもてるかもしれない。

最近公開された映画「エイジ・オブ・ステューピッド」(愚かな時代)で、簡潔に紹介されたグローバル・キャップは最も公平で効率的な解決策である。映画の中ではシンプルだが人を引き付けるアニメーション(ビデオご参照)を用いて各国1人当たりの二酸化炭素排出量を青い人間の形で表している。

このグローバル・キャップ計画は、地球上の全ての人々は同量のカーボンフットプリントを得る権利をもつという概念に基づいている。それ故に、二酸化炭素の「世界排出量」は各国の人口に基づき割り振られなければならない。

今月上旬に発表した報告書の中で、ドイツ連邦政府地球気候変動諮問委員会は平均気温の上昇を2℃に抑えるための最善の方法としてグローバル・キャップを提案している。平均気温の上昇を2℃に抑えることは、気候システムが破壊されないための必須条件として広く認識されている。

もちろん、そのような計画の下で先進国に求められる排出削減の速度や規模は、各国政府が現在発表している公約を遥かに上回っている。

以下に表示されているビデオの中でニュー・サイエンティストはキャップ計画を「思考実験」と主張する。商取引の側面(先進国が「カーボンクレジット」を排出量が少ない国から購入すること)を考慮しない場合に「排出量」がどの様に見えるかをグラフで表示しながら、ナレーターは1人当たりの排出量を基準にするとほとんどの先進工業国が「排出量破産」の状態であり、これ以上の排出は許されないと主張している(大幅な削減をするべき先進国が排出を継続するため、もちろんキャップ計画には商取引的側面が含まれている)

ドイツ連邦政府地球気候変動諮問委員会は効果的な気候政策には「低炭素世界経済を形成するための改革」が必要だと主張する。改革にはキャップ計画と各国の脱炭素化行程表の監視を行う世界気候銀行の設立が含まれている。委員会は自らが主張する「排出量の取り組み」がコペンハーゲンでの交渉成功につながると語る。

それは議題に入っているのだろうか?

ジャパンスピレーション

一方で、気候変動サミットには刺激的な一面も見られた。在任6日目の鳩山由紀夫日本総理大臣は「政治的に大胆で極めて時限的な公約」を発表し自らを印象づけた。公約には2020年までに温室効果ガス排出量を25%削減するだけでなく、国内排出量取引システムや再生可能エネルギーへの関税の導入、そして地球温暖化税の検討も含まれている。

日本が気候変動政治の舞台で国際的なリーダーシップを初めて発揮した一方で、公約は日本の企業部門や懐疑論者を含む多くの心配の種となっている。あるブロガーは、立派な目標だが新政権は目標をどう達成するかの目途がついていないと語る。

皮肉はさておき、このような意欲的な目標は人々の関心を集め、その力を結集させ改革の推進力となる。日本の科学者は既に多くの研究を行なっており、目標は達成可能だと自信を見せる。

是非、目標が達成されることを祈る。希望を込めて、潘事務総長がサミット閉会時に残した言葉をここに引用する。

「あなたの言葉を世界中が聞いた。次はあなたの行動を見せる番です」

筆者について

キャロル・スミスは約13年前にジャーナリズム論で学士号を取得し、その後コミュニケーションに関わる職をいくつか経験している。彼女の故郷であるモントリオールにて環境協力委員会(CEC)の編集部の主任もその仕事の一つだった。夫の東京転勤に伴い、彼女は国連大学メディアスタジオに職を得、持続可能な生活の推進の手助けをするという長年の願いをかなえようと意欲的だ。
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