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開発

「気候変動に迅速かつ適切に対応する」世界への移行

キャロル スミス 2009年09月16日

地球温暖化による気温上昇は2℃が許容の最大限度である。それを超えると、我々の住む惑星は取り返しのつかないダメージを被る。これが世界開発報告WDR 2010の明確なメッセージである。発表されたばかりの今回の報告書では気候変動問題を中心に扱っている。

世界銀行の公式見解は「開発の観点からは、2℃を大きく上回る気温上昇は、明白に許容不可能である」というものである。

それは地球規模での排出量を450ppm CO2e(二酸化炭素換算で450パーティクル・パー・ミリオン)に抑えることを意味し、その実現のためには、少なくとも今年12月コペンハーゲンで開催されるCOP15において、極めて野心的な目標への合意が必要である。

「気温上昇を2℃に抑えるためには、ライフスタイルの大きな変革、真のエネルギー革命、そして土地・森林の利用法の転換が必要となる」と報告書は警告する。

この上限を超えないために、我々は2020年までに排出量を70%削減する必要がある。しかしながら、現段階の交渉の場において議論の対象となっている数値はこの値からかけ離れている。

報告書のもう一つの主要な結論は、貧困緩和が気候変動への対応と両立し得るというものである。

今日、発展途上国の極貧者数は30年前の半分ほどであるが、経済成長と貧困緩和は現在なおもこれらの国々における重要な優先事項である。ここに気候変動の影響が加わり、問題はさらに困難なものになろうとしている。気候変動の影響はすでに出始めており、近い将来さらに深刻化することは間違いなく、実質的な適応策が必要である。

だが発展途上国は、当然のことながら豊かさの追及をやめたくない。そして富裕国には、それを阻止する権利はない。なぜならば高所得国は、はるか昔に排出削減を始めるべきであったにもかかわらず、いまなお温室効果ガスを「共有財としての大気」へ不当な割合で排出し続けているのだから。

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この包括的な報告書の中で世界銀行が示唆するのは、気候変動の問題は、高成長かつ高炭素の社会か、あるいは低成長かつ低炭素の社会かという二者択一によっては解決されないということだ。むしろ現在の非効率をいかに是正するかという問題であり、またようやく緩和策を採用するにあたって、コストを上回る副次的便益を実現できるかという問題である。これは「気候変動に迅速かつ適切に対応する」世界への最初のステップとなるだろう。

この報告書で力説されるのは、かつては富と繁栄が「多量な温室効果ガス排出と本質的に結びついていた」が、現代ではむしろ「ある特定の消費・生産パターンが排出と結びつく」点である。この点を明確に示すために、報告書の筆者(持続可能な開発ネットワーク(SDN)のチーフエコノミストであるマリアン・フェイ女史と、アメリカ有数の環境政策専門家であるロジーナ・ビアバウム女史)は、富裕国における一人当たり排出量は、スイスの7トンからオーストラリアの27トンまで、国によって著しく異なると指摘する。

このようなパターンの変更は政治的にも科学的にもたやすいことではない。しかし我々は過去の行動を変える能力を持っていると世界銀行は主張する。また迅速な行動の必要性を理解する知的能力をも持っているはずだと主張する。(世界銀行が自らの言葉に耳を傾けることを我々は期待したい)

コペンハーゲンの会議が目前に迫った現在、次のことは広く知られている。発展途上国は確かに低炭素化社会への移行を望ましいものと考えているが、一方で、富める国々に対して財政的・技術的援助を(彼らにとって当然の権利として)要求している。発展途上国が必要とする気候変動への適応策についても同様の要求がある。このような公平性の観点こそ、気候変動の問題への取り組みの鍵となる、と筆者たちは言う。

我々の眼前には諸々の難題が高く立ちはだかっており、世界はいわば突然のヘッドライトに身をすくませた動物のように、動きが取れなくなっている。だが報告書が説くのは、これらの問題はすべて解決可能だということである。必要なのは単に、これまでの惰性を認識し、それにストップをかけることである。そしてまた、我々の創意工夫を活用しながら、公平性を早急かつ真剣に追及することである。

取り組むべき問題は途方もないものであり(これに関しては報告書の中で十分に記述されている)我々が現在までに行ってしまったことを元に戻すのは今や不可能である。しかしながら、二酸化炭素問題に賢明に対処する未来へいたる道は、確かに存在する。世界銀行によるこの報告書はその未来へといたるロードマップを示唆してくれる。

世界銀行は多岐多数にわたる提案を行っており、その中には次のものがある。:

→ 既存の低炭素技術とベストプラクティス(最善の慣行)の利用により、エネルギー消費量を大幅に削減することができる。(同時に費用節減にもつながる)これにより、例えば工業と電力部門においてエネルギー消費を20~30%削減でき、経済成長を妨げることなくカーボン・フットプリントの削減が可能になる。

→ 排出量削減の諸方策に伴う付加価値を評価すべきである。例えば森林破壊を回避すると、森林が炭素吸収源として効果的に機能すると同時に、森林流域が保全され、生物多様性の保護に結びつく。

→ 世界のエネルギーシステムの転換が求められている(またそれは達成可能である)。研究開発には、年間約1000億ドルから7000億ドルの投資が必要であろう。現在の額は、公的資金がわずかに130億ドル、民間資金は400億ドルから600億ドルであり、大幅な投資増加が必要である。

しかしながら報告書は疑いの余地なき明確さでこうも述べている。我々は今すぐ行動を開始する必要があり、進路を変更するためのタイムリミットはおよそ10年であると。

筆者について

キャロル・スミスは約13年前にジャーナリズム論で学士号を取得し、その後コミュニケーションに関わる職をいくつか経験している。彼女の故郷であるモントリオールにて環境協力委員会(CEC)の編集部の主任もその仕事の一つだった。夫の東京転勤に伴い、彼女は国連大学メディアスタジオに職を得、持続可能な生活の推進の手助けをするという長年の願いをかなえようと意欲的だ。
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