COP15に期待?

近頃は、COP15やコペンハーゲンという言葉は殆どの人にとって聞き覚えのあるものになりつつある。世界中の何百万もの人々にとって、これらは京都議定書に代わるものが求められている事実と結びつく。

だからこそ、今年12月にコペンハーゲンで開催される国際気候変動第15回締約国会議(COP15)で、今までにないような意欲的な条約が締結されることに世界中の期待が寄せられているのだ。

気候に関する国際会議は1992年にリオデジャネイロで開かれた地球サミットから始まった。その年20年以上もの間、(科学者たちのおかげで)各国で観測されてきた事実に基づき、世界がついに行動を起こしたのだ:国連気候変動枠組条約の合意に向けて交渉が始まった。

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この会議は1994年に発足し、署名国が大気中の温室効果ガス排出量の安定化に向けて取り組むことに合意した。その後、署名各国の継続的実施について話し合う国際会議(COP)が年に一度開催されるようになった。

1997年に日本で開かれたCOP3では京都議定書が採択されたが、十分な数の国々の批准を得られたのは2005年だった。批准には法律的義務が発生し、事実上、契約された取り決めとなっている。今日までに184カ国がこの議定書に批准しており、署名国の中で批准を拒否したのはアメリカだけである。

はけないズボン

効果の出ない京都議定書に対しアメリカの批准拒否を指摘する声が多い中、当初から議定書は不適切な手法だったと主張する人々もいる。

研究者のグウィン・プリンス氏とスティーブ・レイナー氏は論文「The Wrong Trousers」(間違ったズボン)の中で、トップダウン型の政策に基づく市場(京都議定書での二酸化炭素排出量)が成功したことはないと強く主張している。「そのような捏造された市場は、辛く腐敗した慣行を引き起こします」と両氏は指摘する。また、京都議定書は気候変動問題の複雑性を認識しておらず、社会制度に組み込むために必要な理解が欠如しているとしている。

バンダナ・シバ氏をはじめとする環境運動家の中には、不公正さが重大な欠陥であると言う人もいる。著書「Soil Not Oil」(石油ではなく大地を)の中でシバ氏は、京都議定書の仕組みは強国の温室効果ガス排出による破壊行為を抑止できない上に、彼らの経済利益のために「大気の共有権を民営化している」と記している。

「環境上、カーボン・トレードは多くの点で誤った解決策です」とシバ氏は言う。「『トレード』は汚染者間で行われ…、環境汚染をしてこなかった者にその権利は割り当てられません。ですから彼らが売ることもできません。真に持続可能な開発を促進する制度ではありません」

バリ、ボン、その後

その制度の欠陥はどうあれ、京都議定書は国家間の対話を高める重要な一歩であり、その設計概念はコペンハーゲンでの協定の方向づけに役立つだろう。

各国政府は激しさを増す一連の交渉協議を通じて、12月の新たな条約合意に向け努力している。2007年にインドネシアのバリで開かれたCOP13で合意された「バリロードマップ(バリ行動計画)」により、この一連の国際協議が計画された。

この会議は、初めて科学が政治より優位な立場に立ったと考えられる点において「国際的気候環境政策における劇的な転換」の象徴と称された。また、バリ会議の要旨をまとめた説得力あるビデオに見られるように、パプアニューギニアなどの貧しい国々が行動を起こし、アメリカの姿勢に対し反対の声を上げた場でもある。

バリ会議ではまた、新たな協定を継続させるため「長期的協力行動に関するアドホック・ワーキンググループ(AWG-LCA)」が組織された。コペンハーゲンに先立つ5回の協議で提出される意見や提案を基に、グループは交渉用文書を作成している。すでに3月と6月にボンでも数回、事前協議が行われている。

「京都議定書の下での更なる約束に関するアドホック・ワーキンググループ(AWG-KP)」もまた、コペンハーゲンの成功を確実なものとするために重要な役割を担う。「附属書 I:諸国(先進国および市場経済移行国)」の削減義務の合意を図るのはこのグループの仕事である。

グループは難しい仕事を多く抱えている。数週間前に閉幕した第2回ボン協議で、国連気候変動枠組条約のイボ・デ・ボーア事務局長は、協議参加国の提案は地球温暖化による最悪の事態を回避するために科学が提唱する排出量削減値―2020年までに1990年比25~40%削減すること―からはほど遠いと警鐘を鳴らした。

最近メキシコで開かれた温暖化対策会議(アメリカ主導の主要経済国フォーラム)では、経済大国が検討している削減目標(17%)を大幅に越える値(45%)を発展途上国が要求したが、アメリカはこれを拒否した。また、カナダ、日本、オーストラリアなどその他の主要排出国の目標設定値も、科学者や貧しい国々が期待する数値からはほど遠いものだった。

最近公表されたデータによると、2008年に初めて発展途上国の二酸化炭素排出量が先進国の排出量を超え50.3%に達した。これで、全ての国々に削減義務を負わせるという論拠が全面的に裏打ちされたわけである。まず富裕国が取り組みに力を入れない限り、インドや中国の理解は得られないであろう。

世界がコペンハーゲンに望むもの

コペンハーゲン会議の事前会議や交渉を通じ、この流れが正しい方向に導かれるだろうとの期待が高まっている。
「コペンハーゲンまでに目標達成への意欲レベルを高めなければなりません。国際社会が協調し行動する機会を捉えることができれば、これは可能である」とデ・ボーア氏は言う。

コペンハーゲンで強固な合意を取り付けるためには、下記の4つの事柄が成されなければならないと同氏は提唱する

1.先進国は二酸化炭素排出量の大幅削減に進んで取り組まなければならない。
2.中国やインドなどの途上国は、二酸化炭素排出量増加の制限措置を自発的に講じなければならない。
3.途上国の二酸化炭素排出量削減や気候変動による被害への対応に対し、どのような経済的支援を行うかについて明確に提示しなければならない。
4.その資金運用に関する綿密な計画を打ち出さなければならない。

「コペンハーゲンでこの4つが成し遂げられたら、嬉しいですね」とデ・ボーア氏は言う。

推進力

目標設定の論争はさておき、ポスト京都が世界の経済大国を交え、より強力なものとなることは明らかだ。その一例として、アメリカが交渉プロセスに積極的に関与し、国内の温暖化政策行動にも取り組んでいることは「本当に喜ばしい」とデ・ボーア氏は言う。

同氏はアメリカが京都議定書を拒否した理由について、条約が主要発展途上国に積極的な活動を要求しなかったこと、またブッシュ政権がアメリカ経済への悪影響を懸念したことを挙げる。しかし今回は、オバマ大統領が中国やインドの参加を促し、次の条約への調印を説得すると期待しているという。

国際社会がようやく真剣に問題解決に取り組む姿勢になった兆しはある。気候変動科学がついに認められ、「科学的不確実性」に基づく議論がもはや通用しなくなった。地球温暖化に異論を唱える人々は数年前には政治の中心的役割を担っていたが、今日では陰謀論者や裏切り者の少数派と捉えられている。

京都議定書が締結された頃に比べ、国際的ビジネスの抵抗が少なくなった今だからこそ、こうした流れが後押しされている。世界中の多くの大企業は今や二酸化炭素排出削減義務を支持しており、意外な企業がエコ産業に投資しているケースもある。(無論、それらの企業の動機がすべて誠実なものではない)

世界的な世論の変化もまた、新たな気候変動条約の締結を確実なものとする後押しをしている。気候変動は各国の政治的アジェンダとなり、一部の地域では選挙結果をも左右するほどの力を持つ。さらに国連環境計画による「Seal the Deal」や「欧州350市」などのキャンペーンはメディアを使い、かつてない政治家への圧力を試みている。

つまり、COP15は未来の低炭素社会につながる歴史的な出来事になりつつある。しかし、成功しなければ我々の努力の不十分さを露呈し、我々を国際批判の的にすることにもなる。よって、より良い将来のために我々は尽力しているのだ。

だからこそ、国連と国際広告協会は6月に「Hopenhagen」を立ち上げ、国際市民のCOP15への参加を働きかけている。「Hopenhagen」またはデンマークの「Climate Thoughts」を訪れ、地球の未来に対する希望について意見交換をしていただきたい。

COPをより楽しむには

この記事を読まれてCOP15へのご興味は沸いたでしょうか?「Adopt a Negotiator」を訪れて「Trackers」の最新情報をご覧ください。「Trackers」は各国の協議団体の交渉を追うブロガーのサイトで、COP15開催までの情報を更新しています。

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COP15に期待? by キャロル・スミス is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.

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著者

キャロル・スミスは環境保護に強い関心を寄せるジャーナリストで、グローバル規模の問題に公平かつ持続可能なソリューションを探るうえでより多くの人たちに参加してもらうには、入手しやすい方法で前向きに情報を示すことがカギになると考えている。カナダ、モントリオール出身のキャロルは東京在住中の2008年に国連大学メディアセンターの一員となり、現在はカナダのバンクーバーから引き続き同センターの業務に協力している。

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