分かち合える家族ばんざい:公平な幸福のためのレシピ

国際家族デーを記念して、サポートと幸福を公平に分かち合うために家族を再設計する画期的なアイデアを掲載します。

 

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スカートの丈と同じように、親業のあり方は時代と共に変化する。同様に「母親」「父親」「子供」という役割の定義も変わる。かつて、家庭を切り盛りしていたのはお母さんで、その労働分担を誰も疑問に思わなかった。現在、多くの母親はフルタイムやパートタイムで働いており、親たちは「家事戦争」に突入した。やらなければならない家事をやり遂げるために誰が一番貢献したのかをめぐって口論になるのだ。昔、子供は面倒を見る対象であって、意見を聞く対象ではなかった。今では、世界の多くの地域で、子供たちはあまりにも注目され、耳を傾けられているため、親たちは自分自身や夫婦のための時間をほとんど持てない。

これは「Dear Family Whisperer(家族を上手にあやしてくれる人へ)」という相談コラムを担当するメリンダ・ブラウ氏の見解だ。15冊の著書を持つブラウ氏は、時代後れで恐らく機能していないモデルに代わる、より健全な選択肢を提案する。それが分かち合える家族だ。これは家族の意味を再検討する試みであり、家族全員(お母さんだけではない)に家庭を「切り盛りする」責任があると考える。「父親」「娘」「息子」であることは、「母親」であることと同じくらい重要なのだ。

分かち合える家族になるにはどうしたらいいか? 部分ではなく全体を見ることから始めよう、とブラウ氏は言う。トップダウン型の伝統的なヒエラルキーをむやみに受け入れるのではなく、相互関係を活用する。つまり、大人と子供がお互いに与え、お互いから学ぶという家族を目指すのだ。そうするためには、「私たち、家族」をデザインするために役立つ、たった4つの約束をすることが必要だとブラウ氏は言う。

  1. 私たちは全員、家族を大事にします。あなたの家族を協同組合だと想像してください。親として、あなたはまだ「責任者」、つまり方針を決定する監督者ですが、家族全員が「ステークホルダー」です。協同組合をよりよいものにするために、誰もが力を貸し、誰もがその恩恵を享受します。あなたの家族がどれくらい子供主体の環境であるかによっては、これは難しい転換かもしれません。次の質問を自問してみましょう。私は子供の将来を心配するあまり、息子あるいは娘がすでに持っている能力が見えなくなっていないか? また、私が今、機会を作ってやらないとしたら、娘はボタンの付け方や食器洗浄機の使い方や野球グローブの手入れの仕方をいつ学ぶのか? 計画を立て、気づき、優先事項を見極め、協力や共同作業をし、不満や失望や失敗に対する忍耐力を持つことを、息子はいつ覚えるのか?
  2. 私たちは公平になります。より多くの時間やお金やエネルギーを魔法のように作り出すことはできません。でも、こうした重要な家族の資源の「使い方」について、意識的な決断を下すことは可能です。家庭での雑事を処理し、役割分担を決めるために、週に1回、「見直し」をしてみましょう。個人の貢献は称賛し(「ありがとう、ジョン。今週はスポットの面倒をよく見てくれたね」)、家族がやり遂げたことを喜びましょう。問題についてブレーンストーミングをし(「朝の慌ただしさを改善するには、何ができる?」)、必要なら方向転換を図りましょう(「今年の休暇にはお金を掛けないようにしよう」)。
  3. 私たちは、家族の一人一人が重要な存在であることを忘れません。家族の中には「私」がいます。実際のところ、家族とは「私」の集まりです。強い「私たち」は、団結が固いだけではなく、個人としての家族を高く評価します。一人一人の「私」は尊重され、欠くことのできない家族全体の一部として受け入れられます。他の家族のメンバーが行った良いことは認識され、感謝され、言葉で評価されます。一人一人の「私」にとって何が大切で、何が必要なのかを理解するために時間を割きましょう。家族がそばにいなくて寂しい時は、それを伝えましょう。その見返りは大きなものです。自分は大切にされていると感じれば、一人一人の「私」は「私たち」を支えるためにもっと自発的に行動し、もっと寛大になるのです。
  4. 私たちは家族を愛し、称賛します。思い出(大きな出来事の思い出も、家族とのつながりを感じる日々のふとした瞬間の思い出も)を「並べて」みれば、家族との一体感が強まるでしょう。日常的な習慣、儀式的な慣習や伝統があると、家庭は帰ってきたくなる場所になります。昔の写真や思い出の品を見直してみると、幸せな時代を味わい、忘れずにいることができ、また、大変な時期を乗り越えられたことを誇りに思えるでしょう。お祝いごとや休暇を家族というレンズを通して見てみましょう。

ブラウ氏が提案する「私たち、家族」の約束が個人の協力し合う能力を高めてくれることを理解するのは難しくない。さらに、この考え方は家族に限定されたものではない。両親を亡くしていたり、兄弟姉妹がいなかったりする人にとっては、家族以外の社会単位に容易に応用することが可能だ。「分かち合える」という考え方を学び、そうすることで高まる幸せを体験すれば、結果的に家族以外の社会的絆がより強固になる可能性が高い。相互に結びついている感覚や相互的責任感を高めることは、持続可能な世界を創造するために個人が各自の役割を理解する鍵になり得る。

翻訳:髙﨑文子

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分かち合える家族ばんざい:公平な幸福のためのレシピ by キャロル・スミス is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International License.
Based on a work at Shareable.

著者

キャロル・スミスは環境保護に強い関心を寄せるジャーナリスト。グローバル規模の問題に公平かつ持続可能なソリューションを探るうえでより多くの人たちに参加してもらうには、入手しやすい方法で前向きに情報を示すことがカギになると考えている。カナダ、モントリオール出身のキャロルは東京在住中の2008年に国連大学メディアセンターの一員となり、現在はカナダのバンクーバーから引き続き同センターの業務に協力している。