IRINは、国連人道問題調整事務所による報道ネットワークであり、人道ニュースおよび分析のサービスを行っている。
8月19日月曜日は世界人道デーです。世界人道デーは、助けを必要とする人々の支援中に命を落とした活動家について知り敬意を払う日であり、また、世界中の人道的救援活動への一般市民の理解を広める機会でもあります。今年の世界人道デーを記念して、国連と人道活動連携機関は「世界がもっと必要としているのは_____」キャンペーンを開始しました。この画期的なキャンペーンは、あなたの意見とアイデアを実際の救援や支援に生かすことのできる試みです。
キャンペーンの詳細と参加については、2013年世界人道デーのウェブサイトをご覧ください。
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人道的活動は進化し続けている。複数の新たな関係者が関与し、情報技術によって情報は絶え間なく大量に発信され、説明責任と協調にますます注目が集まる中、支援活動家の役割や今後必要となるスキルは変化しつつある。
危機マッピングやスマートフォン通信に取り組むボランティアのハイテク技術者集団や、各地に分散した活動グループ、企業、市民などは、最近になって支援活動に参加し始めた人々である。気候変動と紛争とアクセスなどに関する(時にはそれらが結合した)問題の結果として、支援活動はかつてないほど複雑になりつつある。
「地域的であれ、国際的であれ、人道支援に携わる人は、現状下で活動していくために、より優れた言語能力、文化への配慮、政治的な洞察力が必要となるでしょう」とエリザベス・フェリス氏は語った。フェリス氏はワシントンに拠点を置くブルッキングス研究所の上級研究員であり、同研究所とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの国内避難民に関するプロジェクトで共同ディレクターを務める。
将来的に、政府と市民社会組織は、紛争や災害被災地でさらに重要な役割を担うだろう。そして国際的な援助資金に頼る場合、「国際基金の入手方法、モニタリングと評価、調整、『専門用語』や国際システムの仕組みを学習していること」といったスキルが必要であると、フェリス氏は説明した。
彼らの資金源が地域のものである場合、「プロジェクト管理の他に、公的な資金調達と調整」を学ぶ必要がある。
人道支援における関係者の多様性により「調整の問題が今日よりもさらに重要に、かつ難しくなる」と、フェリス氏はIRINに語り、アメリカのハリケーン・サンディによる大災害での例を指摘した。ハリケーン・サンディは2012年の大西洋沿岸でのハリケーンシーズン中で最大の被害をもたらし、非常に多くの支援が寄せられたにもかかわらず、ニュージャージー州政府は支援の調整ができなかった。
「迅速な救援を多く得られた組織もあれば、無視された組織もありました。一部のコミュニティはソーシャルメディアを利用して救援を呼びかけました。赤十字のような伝統的な活動組織は、大事な役割を担ってはいましたが、そのアプローチは遅く、官僚的であるように見受けられました」と彼女は語った。
災害へのよりよい対応のために、国連や国連以外の支援組織はクラスターアプローチを導入した。このアプローチでは、特定の人道的ニーズごとに複数の支援組織が共同的に動く。その結果、救援に携わる人々はさらに特化した役割を担うようになった。
ハーバード大学人道支援イニシアティブのディレクターを務めるマイケル・ヴァン・ルーエン氏は、この数年で、人道的支援に携わる人々の役割と職名が「より特定的になりました」とIRINに語った。「権利擁護、女性の権利、性差別などの問題解決に特化した職位やその他の特殊な職名と役割を担う人材を大規模な組織が求めるようになりました」
その一方で、情報ネットワーク時代は通信手段に革命を起こし、人道支援組織の昔ながらの体制は混乱している。世界中の何十億人もの人々がつながり、極めて大量の情報を共有している。国連人道問題調整事務所(OCHA)は2012年の調査書の中で、2012年、携帯電話の加入契約数は60億台を超え、そのうち10億台がスマートフォンであると発表している。
「さらに多くのアナリストや戦略プランナーや革新技術管理者やリスク管理者が必要になる。我々は基本的な情報技術と通信手段に詳しくなる必要がある」
「さらに多様でボトムアップ的な形式での意志決定が必要である。それは、ほとんどの政府や人道支援組織には従来的に不向きなことである」と同調査書は記している。
「組織の階層間で上下方向に情報をやりとりするために構築されたシステムは、新たな現実に直面している。その現実においては、情報は誰でも発信でき、誰とでも共有でき、誰でもその情報に関して行動を起こすことが可能だ」
OCHAは、ネットワーク化された世界における大量の情報は、それが分析された時に限り有意義であり、情報と通信は基本的ニーズとして見なされるべきだと考えている。それには、情報の利用に関するしっかりとしたガイドラインの他、よりよい情報の共有、データの管理と分析が必要である。言語、コンピューター、統計学におけるスキルは鍵となるだろう。
ヴァン・ルーエン氏は次のように語った。「データ管理およびデータ共有のための技術的プラットフォームがますます重要になり、データの活用と共有が不可欠なスキルになるでしょう」
「職業技能には、技術部門に基づいた知識のコンビネーションが必要になります。つまり、マネジメント、財務、リーダーシップといった基本的スキルに加え、権利やアクセスや保護などといった担当地域に特異的な知識も必要です」と彼は語った。
将来的に「さらに多くのアナリストや戦略プランナーや革新技術管理者やリスク管理者が必要になります。我々は基本的な情報技術と通信手段に詳しくなる必要があるでしょう」と、ニューヨークのOCHAで人道問題担当官を務めるAndy Thow(アンディ・ソウ)氏は語った。
しかし、OCHAのCommunications with Communities Global Coordinator(コミュニティとの通信担当グローバル調整官)のイモージェン・ウォール氏は「新しい技術は伝統的スキルと一致協力しながら前進します。通信、交渉、コミュニティの参加、報道スキルや言語スキルはいずれも同等に重要なものになるでしょう」と論じた。
人道行動における説明責任および実績のための行動的学習ネットワークは、2012年の調査において、非政府組織(NGO)と国連機関のスタッフには被災地域や被災国の言語や地域背景を反映した知識が欠けていると認識されていることが、評価内で一貫して示されていたことを見出した。
情報技術がより多くの関係者を人道支援に引き寄せる一方で、赤十字国際委員会や国連などのような従来の関係機関は、救援物資の配達を向上するために新たな支援者とのパートナーシップを構築する必要が生じるだろう。また、世界はますますつながり、より多くの情報が伝達されるので、救援の受け取り手による説明責任がさらに求められるようになると、観測筋は語った。
「現在の人道支援のモデルは、指揮管理系統によるものです。ネットワーク時代の顕著な特徴の1つは、1対多数の組織から、多数対多数の組織への転換です」とウォール氏は語った。「私たちは各地に分散した活動グループとの協力関係と共に、民間部門、特に国内の民間部門とのよりよい協力関係を学ぶ必要があります」
彼女は、人道的介入の成功例にコミュニティが気づき始めていると指摘する。そして、そのような「コミュニティの渉外スキルと、被災したコミュニティと救援対応者の間の緊密な関係に関する全てが、さらに重要になるでしょう」と論じた。
コミュニティが災害を乗り越えるための支援モデルと最良の実践方法を理解し、取り入れること、また経済復興への投資、地域のパートナーや政府や市民社会との協調は、変化し続ける人道活動の分野において支援組織が今日的な意義を持ち続けるために極めて重要である。
「地域の労働力を効果的かつ知的な方法で構築することは、活動を持続的に行う上で重要な鍵となるでしょう」と、ヴァン・ルーエン氏は語った。
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本稿は「人道活動の未来」と題したシリーズの一環としてIRINの許可を得て掲載されました。IRINは国連人道問題調整事務所の人道問題に関するニュース配信と分析サービスです。著作権© IRIN 2013.
翻訳:髙﨑文子
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