COP28は都市と気候移民に成果をもたらすか

気候移民は自国の都市に移住する傾向があり、基準に満たない住居を特徴とする都市スラムに行き着くことが多い。

約33億人から36億人が気候変動に非常に脆弱であるにもかかわらず、気候変動が人々の移動に及ぼす影響についてはいまだ十分に理解されておらず、世界的規模の対応にも至っていない。一般的な認識にとは異なり、気候移民のほとんどは、都市部が提供する雇用、教育や医療の機会に魅力を感じて自国内の都市に移住している。

こうした移住者が増加するに伴い、グローバル・サウスの都市部は、増加に対応する十分な住居、雇用、公共サービスを提供するよう求める圧力が高まっている。

異常気象や環境破壊を理由に移住する人々のほとんどは、都市スラムに住み、不衛生な環境にさらされ、基準に満たない住居での生活を余儀なくされる。

また、資格や経験がない分野の雇用市場での熾烈な競争に直面したり、市民権の制約によって医療や公共サービスの利用が制限されたりするおそれもある。

グローバル・サウスの都市当局は、気候危機の深刻化に伴う新たな移住者の流入を神経質に予測しながら、すでに手狭になっている都市のインフラやサービスへの負担を高めることなくこうした新規移住者を統合する課題に取り組むことになるだろう。

そのヒントを得るために、都市当局はレジリエンス(強靱性)と持続可能性の向上に近年大きな進歩を遂げた他の都市部に目を向ける可能性がある。

私はまた、都市当局が気候移民という課題を負担軽減の機会としてだけでなく、同時に開発目標の追求、経済の活性化、すべての住民にとって安全・安心な生活環境の確保の機会として捉えることができるのではないかとも研究過程で考えてきた。

都市開発の強化

戦略的な政策対応は、都市を将来に備えさせながら現在の課題の軽減へと役立つだろう。都市政府は、都市への移住を効果的な気候変動適応戦略へと転換させ、気候変動に脆弱な農村コミュニティーと移住先の都市の双方に恩恵をもたらす上で、極めて重要な役割を果たす必要がある。

そうすることで、都市政府は気候移民がもたらす課題に積極的に対処しつつ、移民が都市の経済成長とレジリエンス(強靱性)にもたらす潜在的な貢献を活かすこともできる。

人々の流動性を高め、自由な移動の制約をなくすことは、気候変動や環境危機に直面した際の適応能力を強化するだけでなく、都市に必要な雇用の柔軟性をもたらし、農村部の貧困削減にも寄与する。

変化の担い手としての役割を果たす移民は、送金を通じて出身コミュニティーを支援することも多い。労働者の地理的な移動を可能にするダイナミックな労働市場は、必要な時に必要な場所で的確に労働力を供給する上で不可欠である。

都市当局は、移動のパターンと傾向を調査した上で、支援を必要とする都市部やインフラを特定して優先順位をつける必要があるだろう。移民労働者の権利を強化し、安全な労働環境を確保し、搾取からの保護を提供する労働法制など、追加的な立法措置が必要になることもある。

移民の社会的包摂は、雇用見込みを高める教育や訓練、医療へのアクセスや手頃な価格の適切な住居へのアクセスによって確保できる。

しかし、都市政府の役割は、枢要な政策領域のおいて中央政府がどれだけ大きな絵協力を都市当局に与えるかにかかっている。移民を支援し、循環型モビリティ・イニシアチブを通じて移住元と移住先の両方で気候変動に対応した開発を強化するには、異なる統治レベルにまたがる政策連携も鍵となる。

気候変動にレジリエント(強靱)な都市再生を加速する

国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)はこれまで、気候関連移民や都市による適応の取り組みを支援するための政策、資金提供、提言の促進を前進させてきた。COP28では、都市を含む開発途上国への気候変動対策資金を増額するという約束を果たすことが不可欠である。

都市部は世界人口の半数以上が暮らすだけでなく、世界経済と雇用創出の主要な牽引役も担っている。都市を対象とした資金は、世界的なグリーン移行の加速に寄与する。

しかし、COP28では、利用可能な資金の深刻な不足に対処する必要がある。これは国連環境計画が最近発表した「適応ギャップ報告書」が明らかにしたもので、開発途上国はこの10年間で年間2,150億ドルから3,870億ドルの公的適応資金を必要とすると推定されている。

適応資金の減少傾向にあり、2021年には前年より40億ドル少ない210億ドルしか利用できなかったというこの状況に、早急な対処が必要である。

数週間後に控えたCOP28は、気候変動による都市部への移住に関連する課題に取り組むことを目指した長期的な政策支援の必要性を強調する機会である。

COP28の1日を「多国間行動、都市化、建築環境」に割くという決定は、よりレジリエントで持続可能な社会への移行に都市が果たす中心的な役割を浮き彫りにしている。気候移民を予測し、戦略的に対応することは、気候変動に対応可能な都市再生を支援すると同時に、あらゆる人に安全な住居、改善されたサービス、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を提供するだろう。

・・・

この記事は最初にInter Press のウェブサイトに掲載されたものです。Inter Press ウェブサイトに掲載された記事はこちらからご覧ください。

著者

チャン・ジンホは国連大学政策研究センター(UNU-CPR)の研究フェローであり、オックスフォード大学交通研究ユニット(TSU)に所属する研究者です。