アフリカにおける経済成長のためのデータアクセス

サハラ以南アフリカには、豊富な天然資源と推定人口12億人の大きな市場がある。2043年までには人口が80%近く増加し、約20億人に達すると見込まれている。この人口増加とともに経済拡大が並行して進み、年間経済生産高は今後20年間で11兆8,500億米ドル、一人当たりGDPは5,996米ドルに達すると予測されている。しかし、アフリカの多くの国々は、経済的なチャンスが広がっているにもかかわらず、その潜在能力を全面的に実現し活用するには至っていない。

技術的進歩、グローバルな市場ダイナミクスの変化、消費者行動の変化、効果的な経済政策など、さまざまな基礎的要素が、経済成長を引き出す上で不可欠な役割を果たす。地域経済の可能性を高め得る行動はいくつかあるが、中でも特に興味深い選択肢の一つは、行政データへのアクセシビリティとその活用度を高めることである。この選択肢は取り組みやすく、さらに効果的で効率的な政策に貢献できるので、特に注目に値する。

データの経済効果を引き出すための課題

いくつかの専門分野や経済的論議の領域では、データ共有を拡大し、データエコシステム内の信頼を確立することが、経済効果を引き出す最大の可能性を秘めており、GDPに0.7%から2%寄与すると信じられている。特に、大規模な(行政)データへのアクセスとその有効利用は、効率性と生産性の向上を可能にする。この見通しは有望ではあるが、行政データセットへの広範なアクセスを達成することは容易ではないため、その道のりには細やかな配慮が必要である。行政データの潜在的可能性がほとんど活用されないままである低中所得国では、とりわけその必要がある。

官民を問わず、組織はそれぞれの内部意思決定のために行政データを定期的に収集している。このように体系的にデータを収集しているにもかかわらず、多くの組織では、積極的に集計・分析するための組織内の能力が不足している。組織がデータ分析に取り組む場合でも、プログラムサイクルの短いタイムラインと厳しい予算によって、データ分析の範囲が制限されることが多い。その他の課題には、標準化された手続きや法的義務がないため、効果的なデータ共有がしばしば妨げられることなどがある。自動化、戦略的なID管理、公共財の登録サービスの実施などが果たし得る役割も見落とされがちだ。これらの要素を組み込むことでプロセスが合理化され、データ共有能力が強化される。さまざまなステークホルダーが、学校、病院、公共サービスなどの公共機関全体に単一IDシステムを採用するよう訴えれば、なおのことである。統一IDシステムは、シームレスなデータ交換を促進するだけでなく、経済を成長させるビッグデータの可能性を最大限に引き出すだろう。標準化された相互運用可能な枠組みを確立することが効果的な協働を阻む障壁の克服を支援し、さまざまなステークホルダーが情報に基づいた意思決定を行うための包括的なデータの力を活用できるようになる。

しかし、何から始めようか?

アフリカ諸国の政府がとるべき最初のステップには、データへのアクセスと利用を当事者に認める取り組みを正式に確立することが含まれ得る。一部のアフリカ諸国はこの重要性を認識し、積極的にこのような取り組みを実施しているが、その他の多くの国々は、地域のデータアクセスと透明性の進展を妨げないようにキャッチアップする必要がある。しばしば「新しい石油」と呼ばれるデータは、政府に力を与え、より良い政策決定に影響を与える可能性を秘めている。この可能性を示す主な例が、国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)の「南部アフリカ-包摂的な経済開発に向かって(SA-TIED)」というプログラムと国内資金動員プログラム(Domestic Revenue Mobilization)によって明らかになっている。これらは、政策立案に参画する研究者や政策アナリストが行政データにアクセスできるようにすることで、政策立案を改善することを目的としている。両イニシアチブとも、国の行政税務データからデータセットを蓄積することに目に見える進歩を遂げた。

また、政策研究に応用するための行政データの取り扱いと保護を向上させるために、アプローチや共同視点を改善する機会もある。この機会は、最近開催されたイベント「行政データアクセスの舵取り:戦略、理由、パートナーの視点」において明らかになった。これは英国国家統計局(UK-ONS)が推進し、UNU-WIDER、南アフリカ財務省、南アフリカ空間経済活動データ(Spatial Economic Activity Data South Africa)、SA-TIEDプログラム、その他の主要なステークホルダーが主催した能力開発イニシアチブである。

未来を描く

このイベントで、南アフリカ、ザンビア、ウガンダ、モザンビーク、タンザニア、ルワンダの100人を超える政府高官と交流したことにより、アフリカ大陸全体の社会経済的進歩を推進する上で、行政データが果たす不可欠な役割に対する貴重な洞察が得られた。この基礎的なデータは、エビデンスに基づく政策や的を絞った介入策の基盤を形成するだけでなく、資源の最適な割り当ても保証する。がこの能力開発に関するイベントで発表したように、アフリカ大陸全体の社会経済的進歩を推進するための行政データの効果的な利用と統合という目標を達成するには、多面的なアプローチが必要である。データのプライバシーを守り、データセンターが効率的に機能することを保証するためのトレーニングは、極めて重要なステップとして際立っている。透明性が確保される形でデータとプライバシーを保護し、データ供給者と一般市民の間に信頼と信用を醸成することに重点を置くことは、もう一つのステップである。同時に、多様なデータアクセス方法に対する認識を高め、研究者がデータにアクセスする安全な環境を確立する必要もある。これは、エビデンスに基づく政策立案のためのデータアクセシビリティの向上を支援し、私たちの経済の潜在的な可能性を引き出し、市民の利益になる変革を促進する触媒として機能するだろう。

アフリカ諸国の政府は、まだ行政データを広範に活用できていない。現在進行している私たちの経済的な取り組みの調整と監視を強化するためには、より広範な国々で行政データに容易にアクセスできるようにすることが賢明であろう。そのような動きによって地域間の格差が浮き彫りになり、政策立案者が必要な政策に的を絞ることができるようになると、私たちは信じている。

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本記事は国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)のウェブサイトに最初に掲載されたものです。元の記事(英語)はこちらからご覧ください。

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