ちょうど1年前、世界中の政治家、外交官、メディア、環境活動家たちは「世界のラストチャンス」だとばかりに、デンマークの首都で行われた会議に集結したものだ。その目的は、気候変動に対して、世界共通の対応策を見出すことだった。
2010年12月現在、いまや全世界で失敗だったと評されるコペンハーゲンでのCOP15気候変動会議のおかげで、カンクン気候変動会議に対する期待は驚くほど低い。メディアでの取り上げ方が目安となるならば、この会議が主催されていることを知らない人も多いだろう。世界の指導者たちの間でさえ、炭素排出削減によって気候変動を緩和しようという国際的合意に対する切迫感は薄れているようだ。数ある国際議論の中で、気候変動の優先順位が押し下げられているのだ。
一方で、より肯定的な見方をすれば、注目度が低いカンクン会議だけに、代表団は、気候変動に関する争点の低い課題に集中できるともいえる。乗り気でない国家間で公正かつ実質的な排出削減目標を決定することに比べればより効率的に話し合える。それらの課題の内、最も重要なのは気候金融メカニズムについてである。例えば、京都議定書の適応基金のように富裕国が、被害に遭いやすい途上国で気候変動適応プロジェクトに資金を提供するものだ。
2010年最後の「討論会2.0」では、世界が今でも世界変動を重要視しているかどうかについて議論していただきたい。あなたの社会的環境や職場では、気候変動に対する意識は低くなっているだろうか。もしそうなら、どうすれば再びこの問題に人々の関心を集めることができるだろうか。
もっと具体的に言うと、実行が求められている不可避の適応策に集中する代わりに、世界は温室効果ガス排出削減に真剣に取り組むのをあきらめてしまったのだろうか。将来を見据えて優先順位を変えたにすぎないのか、それとも、各国が協力し合い不都合な真実に真っ向から対処することなど不可能だと世界が認めたのだろうか。
翻訳:石原明子