原子力週間を締めくくるにあたり、今回の討論会2.0ではタイトルの質問を投げかけてみたい。
原子力とウランの問題を取材してイラクと日本を巡った映画監督、鎌仲ひとみ氏に関する記事を西倉めぐみが執筆し先日Our World 2.0で掲載した。
映画「ミツバチの羽音と地球の回転」で、鎌仲氏は地域レベルの反核活動に対して同情的見解を示している。核兵器による唯一の被爆国日本には、原子力への否定的な感情が今も根強く残る。
人々が原子力施設のそばで暮らすことを望まなかったり、核廃棄物による健康被害を恐れたりするのは当然のこととして、その一方で原子力についての議論は、エネルギー確保という広い視野の中で常に行われてきている。大量なエネルギー消費国の中でも、とりわけフランスは今でも原子力に大きく依存している。
Our World 2.0の編集者でもあるブレンダン・バレットは今週の記事(英文記事は先週)で、日本のエネルギー政策において原子力という選択肢が前向きに検討される時期にきたのかもしれないと述べた。これは約1年前にアメリカのオバマ大統領が、同産業に対し巨額の助成金を投じ、新原子炉建設にゴーサインを出したことによるものだ。しかしその莫大な財政投資は、政府のエネルギー計画担当者たちが、世界財政危機の中で増え続ける財政赤字に頭を抱えている時期に行われた。また、新たな原子炉を建設するには数十年もかかるため原子力を選択することに懐疑的な人も多い。
それでも、気候変動とピークオイルに対する世界中の懸念がある中、再生可能エネルギー資源はほんのわずかしか増加していないことを考えれば、今後もエネルギーに関する議論には必ず原子力という選択肢が登場するに違いない。
今週の討論会2.0の皆さんへの質問は「原子力が今後のエネルギーであるべきか、否か」である。たとえ原子力エネルギーが安全で、クリーンで、気候に優しいとしても、経済的に採算が取れるだろうか。あるいは、たとえ健康、安全、環境、そして経済的に問題がないとしても、近所に原子炉ができても構わない、と思えるだろうか?