貧困問題におけるサミットの役割

グローバルサミットにおける首脳陣らの行動に対する落胆は、経済開発への落胆よりはるかに大きい。平均的なG20には800人以上のジャーナリストが参加する。そして、首脳陣が世界経済を立て直すため自らが決定した義務すら守れないさまにスポットライトを当てるのだ。

このような落胆は今に始まったことではないし、今回が特殊というわけではない。この落胆は多国間協議のプロセスには付き物の弱点からくるものであり、ほとんどすべての国際交渉の場で勢力関係の変化が見られるようになってからはこの傾向は悪化している。

12月にドーハで開催されたCOP18の気候変動会議では、NGOが歓迎すべきことはほとんどなかった。ここ数年のG8とG20も似たような結果だ。6月のリオ+20サミットは特にひどかった。5万人の代表団と活動家が参加する中、新たな世界目標を策定することに同意したほかは、意義ある新たなコミットメント(約束)は1つもなされなかった。その世界目標については厳しい交渉の後、30カ国の政府間委員会で策定することが合意された。それから6カ月後の現在、進展は何もない。なぜなら、どの国がその委員会に参加すべきが同意ができていないからである。

では、世界の貧困問題とグローバルサミットはいったいどんな関わりがあるのか。

サミットは世界目標と政策を交渉するためのものであり、それが有用かどうかの判断は目的が果たされるか否かにかかっている。意味のあるコミットメントはどんどん少なくなりつつあるが、まれに現れることもある。昨年韓国の釜山では、メキシコのような新たな参加国と協力し、援助を効果的なものにする方法について合意が得られた。これに続き今年は、開発援助を世界的にモニタリングする枠組みの指標にも合意ができた。さらに土地保有に関する新たな自発的ガイドラインが食料保障委員会によって決定された。これらの前向きな進展は、市民社会からの絶えることのないプレッシャーがあってのことだった。

そして、いつものことだが、この成功の陰には何カ月にも及ぶ影響力のある交渉があり、サミットの最終議論はメディアのスポットライトを浴びながら終わった。だが、このように前進する例は非常にまれである。オックスファムは最近、G20が食料に関し文書が積もるばかりで実質的進歩がなかったこの4年間の記録をまとめた。

だが、サミットは公式声明よりはるかに重大なものである。時に文書は会議の現実問題と長期的な会議の重要さをあいまいにしてしまう。サミットが重要である理由は他に3点ある。第一に、サミットは各国の努力に影響を及ぼす機会だからだ。ほとんどの主催国政府はサミットを利用して自国の問題を世界に発信するのだが、それによって国内からの圧力を受けやすくなる。ブラジルの市民社会はリオ+20を大いに利用し、ジルマ・ルセフ大統領にブラジルの森林法を適応するよう圧力をかけた。来年イギリスで開催されるG8に向けたキャンペーンは、デービッド・キャメロン政権が国民総所得のうち0.7%を援助に費やすというコミットメントを守らせる大々的な支持を集めるものとなるだろう。

第二にサミットは、抗議運動の論点を統一させ、抗議団体らと市民社会運動の関係を強化し、新たな運動を生み出す機会となる。この統一的論点はリオ+20 にあわせて開催された人民サミットにおける最重要課題であり、ラテンアメリカでの社会運動を進めるにあたって重要な機会だった。

第三は最も重要な点だが、国際イベントにおける市民社会の声は必要不可欠である。それにより、人々は首脳陣が国民に語ろうとしている説明と比較し、実際の進捗と必要な行動について自国に伝えることができるからである。市民社会の活性化とメディアの活動は、例えば世界的規模の飢餓の真の原因や債務救済の不備に関して、議題を変えることができる。

国際的交渉プロセスへの労力を増やすべきか、減らすべきか。もし市民社会がこのような交渉プロセスを気にかけなくなってしまったらどうなるだろうか。そうすれば当然、相当量の資源や労力を国内のキャンペーンに投入することができる。だがそうなると首脳陣は勝手に国際的な約束をし、その利点を吹聴するだろう。実際に必要な行動の規模や緊急性を説明する声も、首脳陣の行動(または怠慢)に向ける市民社会の厳しい目もなくなるからだ。また国内レベルでの進歩も制限されるおそれがある。なぜなら、女性の権利や軍事交渉などは国際レベルでの進捗(または挫折)に大いに影響を受けるからだ。

まだあきらめるべきではない。だがもっと賢明に進むべきだ。断固として優先順位を主張し、何を達成しようとしているのかを明確にすべきである。かつては国際イベントの場で本当の変革など起こる可能性が限りなく低い時こそアドボカシー(政策提言)の場として考えられたものだ。例えばロシアでのG20はここ最近のG20より変革の可能性は低い。同様に国際合意が不可欠な問題に関しては長期的な国内外の提携関係を築かねばならない。

気候変動交渉の2015年の期限が大事なチャンスである。国民の態度と政治的コミットメントを改めるだけの時間はある。ドーハの会議には確かに落胆させられたが、その一方で様々な団体が違いを乗り越え、気候変動対策として必要な真に国際的な転換を可能にしようと協力しあう新たなコミットメントが見られた。

この記事は2012年12月27日のguardian.co.ukで公表されたものです。

翻訳:石原明子

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著者

スティーブン・ヘイル氏はオックスファム・インターナショナルのadvocacy and campaigns(弁護運動、反対運動、選挙運動など)に関する副ディレクターである。