特集:洞爺湖サミット首脳を追う

2008年07月08日 ブレンダン・バレット ロイヤルメルボルン工科大学

G8首脳らは北海道の洞爺湖に集い、食料および石油の高騰、気候変動、経済、アフリカ開発を主要議題として現在、議論を行っている。サミット開催期間は2008年7月7日から9日までの3日間だ。

洞爺湖サミット開催の1年前から日本各地で事前協議が行われてきた。 3月から6月にかけて京都、沖縄、大阪、東京、青森、横浜、神戸、新潟、千葉で計9回の会議が開催された。

これらの会議で議論された様々な議題の主な決定事項は、報告書としてまとめられ、洞爺湖サミットに提出された。G8首脳らはこれらのメッセージを熟慮し、政策の枠組み作りと実践計画の策定という大きな課題に取り組んでいる。

G8サミットで協議される議題の概要は、トロント大学(カナダ)のG8リサーチ・グループにより準備された。金融引き締め、原油及び食糧の高騰などの世界経済動向が、サミットの最優先課題になることは間違いないだろう。

カギは気候変動

しかし、食料、原油、財務についての議題が、その他の緊急議題を押しやってしまうのではないかという懸念の声も上がっている。中でも、2012年の京都議定書・第1約束期間後の目標検討は早急に議論しなければならない議題だ。

この1年間、2050年までに二酸化炭素排出量を半減させるなどの、具体的長期目標に合意すべく準備が行われてきた。しかし必ずしもG8サミットで目標合意を取り付けられるとは限らない。また、短中期間目標の必要性も、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長により提唱されている。「2050年ではすでに遅すぎだ。真に改革を求めるのなら、今すぐ着手し、2020年までの達成目標を決めなければならない。」

2008年7月4日国連大学では、世界の気候科学者や政策専門家を一堂に会し、イノベーションと気候変動についてのシンポジウムを開催し、気候変動のデータベースや政策の選択肢などについて議論した。NASA(米航空宇宙局)ゴダード宇宙科学研究所の所長のジェームズ・E・ハンセン博士は、二酸化炭素吸収が可能な場合を除く、石炭の一時停止と段階的廃止をG8首脳に訴えた。

ロンドンスクール・オブ・エコノミクスのグゥイン・プリンス教授は、京都議定書は基本的に欠点のある議定書であり、G8首脳らは福田首相が提案するクールアース推進構想を支援すべきだと指摘している。

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著者

ブレンダン・バレット

ロイヤルメルボルン工科大学

ブレンダン・バレットは、東京にある国連大学サステイナビリティ高等研究所の客員研究員であり、ロイヤルメルボルン工科大学 (RMIT) の特別研究員である。民間部門、大学・研究機関、国際機関での職歴がある。ウェブと情報テクノロジーを駆使し、環境と人間安全保障の問題に関する情報伝達や講義、また研究をおこなっている。RMITに加わる前は、国連機関である国連環境計画と国連大学で、約20年にわたり勤務した。