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台風ハイエンがフィリピンにもたらした壊滅的被害によりその緊急性がよりいっそう増すなか、気候変動交渉のちょうど折り返し地点にあたるこの時期に、気候に大きな影響を及ぼす温室効果ガスの排出削減に向けた新たな協定の締結を目指す第19回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP19)が、ポーランドのワルシャワにおいて2013年11月11日に開幕した。
「ワルシャワにおけるこの機会を、是非とも成功につなげなければなりません」と、気候変動枠組み条約(UNFCCC)のクリスティアーナ・フィゲレス事務局長は、COP19の出席者に対して語った。
環境のためだけでなく、安全保障、エネルギー、経済、ガバナンスという理由からも、気候変動緩和に向けた進展を「世界は期待しており」、また世論も高まっているとフィゲレス事務局長は指摘した。
そして種々の機関や開発銀行、投資家、地方政府からもそうした期待が寄せられているとして、「新しい国際的な気候協定の締結まであと一歩のところまできています」と述べるとともに、次のように強調した。
「各締約国には、変化への流れをリードし、2015年の合意実現に向け協力することが期待されます」
UNFCCCは、地球温暖化の緩和のために何ができるか、また気温の上昇が避けられないとしてもそれに対処するためにどのような対策が可能かを検討するための国際条約である。
気候変動への取り組みに対する世論の高まりは、環境のためだけでなく、安全保障、エネルギー、経済、ガバナンスがその理由としてあげられるが、これは世界が協定の締結を待ち望んでいることの表れであるとUNFCCCのクリスティアーナ・フィゲレス事務局長は述べた。
ポーランドの首都にあるナショナルスタジアムで11月22日の金曜日まで2週間にわたって開催される同会議には、1997年の京都議定書の出発点であるUNFCCCの締約国195カ国が参加している。
今後2週間にわたり、各国代表団は、国連が支持する気候変動に関する世界条約について、2020年の発効を目指した2015年までの締結に向けて、議論を交わすことになる。
フィゲレス事務局長は、スピーチのなかで、COP19において進展が期待される主な分野を強調した。
「世界全体で低炭素開発に向けた取り組みが可能になるよう、財源の明確化を図る必要があります。資金力の乏しい人々を支援し、気候変動の予期せぬ影響への対応を可能にするメカニズムの構築に取りかからなければなりません」と述べた。
また初日の開会式のスピーチでは、新たにCOP19議長に選出されたポーランドのマルチン・コロレツ環境大臣が、気候は世界的な課題であり、世界全体で取り組むべき問題であるとともに、世界全体にとってチャンスでもあると 強調し、「各国が協力して取り組むための機会となります。一国だけでは、またひとつのグループだけでも、変化を生みだすことは困難です。しかし、本会議のように各国が協力して取り組むことで、変化を実現することが可能です」と述べた。
今回の会議は、国連世界食糧計画(UNFP)が死者1万人と推定する台風ハイエンによる壊滅的な被害を背景に、開催されることになった。
「ハイエンのような超巨大台風とその被害は、気候変動への取り組みを引き延ばす余裕などないということを、国際社会に強く訴えています」と、フィリピン代表団のイェブ・サノ氏は述べた。
フィリピン政府代表団のイェブ・サニョ氏はこの異常な気象現象を「狂気」と表し、国際社会の行動を強く促し次のように述べた。
「私たちにはこの狂気を止めることができます。今ここワルシャワでそれが可能です。ハイエンのような台風とその被害は、気候変動への取り組みを引き延ばす余裕などないということを、国際社会に強く訴えています」
またサニョ氏は、「自然災害」という考え方に対して異議を唱え、国連国際防災戦略事務局のニュースリリースにおいて「貧困根絶や開発のために人々が懸命に努力し続けるなかで、モンスター台風の猛威によって何もかもが破壊されてしまった状況は、自然とはいえない」と訴えた。
フィゲレス事務局長、コロレツ議長、その他参加者は、台風の被害を受けた東南アジアの人々、とくにフィリピンやベトナムの国民に思いを寄せるとともに祈りを捧げた。
またフィゲレスUNFCCC事務局長は「私たちは、CO2濃度が400ppmまで上昇した空気を呼吸する最初の人類なのです」と、空気中の二酸化炭素濃度が少なくとも300万年で最高レベルに達した状況を強調した。
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