フィオナ・ハーヴェイ氏はガーディアン紙に寄稿するジャーナリストである。
最初はタラが、次にモンツキダラ、そしてメカジキ、さらにアンチョビが、また今度はシーバスが、環境意識の高いディナーパーティーのメニューでは使えない食材のリストに加わる可能性が高くなってきた。International Council for the Exploration of the Seas (ICES)(国際海洋調査評議会)が行った最近の評価によると、食材としてすぐれている魚種の資源は過去20年間で最低の水準にまで落ち込んでいる。
シーバス は養殖も可能な白身魚で、癖もなくあっさりとした身の質で、平たい体で切り身にし易く、他の白身魚の資源減少が懸念されていることから、プロの料理人の間でも、また一般家庭でも人気のある魚である。身が締まっているのでチリソースなどの強烈な香辛料にも合う一方、匂いが強くないのでデリケートな風味のハーブ類とも相性が良く、20年以上にわたってイギリスではレストランのメニューやディナーパーティーではお馴染みの食材になっている。
資源数の激減を受けて、イギリスの海洋保護団体Blue Marine Foundation(ブルーマリン財団)が水曜日に開催した会議に出席した科学者達は、欧州連合のシーバス漁獲制限の大幅な引き下げを強く主張している。イギリス諸島周辺における天然シーバス漁獲量を少なくとも三分の二に減らすだけで、翌年には資源回復が期待できると科学者達は考えており、欧州のその他の海域でも同様の措置を呼びかけている。
ICES 評価に参加したCentre for Environment, Fisheries and Agriculture Science (Cefas)(英水産海洋科学センター)のリサ・レディ氏は、「今年度実施した調査によればシーバス資源数は減少し、過去と比べ20%以上も落ち込んでいます」と述べている。
だが、消費者ではなく漁業者に上記のような制限を課すか否かは、環境食糧農林省の判断に委ねられている。だが同省、シーバス資源数は「容認しがたいほど減少している」と述べる一方で、漁獲制限導入の予定は現在のところないとも述べている
漁獲量を抑えるための最善の方法としては、若い小さい魚は逃がし十分に成長した魚だけを捕獲できるよう漁網の網目サイズを大きくすることや、春の産卵期の産卵域の封鎖、また国際的なシーバス漁獲割当の導入などを、科学者たちは挙げている。
シーバスは今でも海釣り愛好家に人気の魚であることから、環境活動家達はそうした愛好家達に対しても、商業漁業者に対する漁獲制限の導入について政府への働きかけを期待している。だが、漁獲可能な大きさや漁獲時期については愛好家の間でも意見が分かれており、春を禁漁期とすることについてはバスフィッシング愛好家の一部から反対の声があがることが懸念される。
そうしたなか、海洋保護団体Blue Marine Foundation(ブルーマリン財団)の責任者であるチャールズ・クローバー氏は、次のように述べている。「シーバス資源数の明らかな激減は、とくに政府レベルで対応が未だほとんど取られていないこともあり、漁業者や愛好家のいずれもが大いに関心を持つべき問題です。産卵可能な年齢まで漁獲を禁止する必要があるという事態に至っている現在、これまで10年に亘って議論されてきた漁獲可能な大きさに関する議論が再燃しています。今回は、漁業者と愛好家双方が、シーバスの効果的な保護を図るために、力を合わせて積極的に働きかける必要があります」
ブリュッセルのEC本部における一元的な魚種資源管理を見直すことは、加盟各国毎に管理される魚種資源が増えることを意味しているが、水揚げ時期についてはなおEUの規制が存在し、漁獲期間について漁業者が厳格な規制を守らなければならないことには変わりはない。
減少が懸念されている魚種リストにバスが加わることは、魚を選ぶ際にタラなどの絶滅危惧種は避けようとしている心ある消費者にとってはショックであろう。タラに関しては、近年北海において資源回復の兆しが見られるが、絶滅危惧種リストからの完全な除外にはさらに注視していく必要があり、カレイ目魚類やガンギエイまた英語ではrockやhussといった別名もあるツノザメについても同様である。
英国では、多くのレストランで使われているシーバスが養殖であるか天然かの記載は見られない。またそうした表示を義務づける法律も存在しない。養殖魚は、魚飼料としての大量の魚粉の使用や、混雑した環境での飼育による薬投与の問題があり、天然物よりも大きな影響を環境に及ぼす可能性がある。
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本稿はガーディアン紙に掲載されたものです。
翻訳:日本コンベンションサービス
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