「国際女性の日」に寄せる 国連事務総長メッセージ

今年の「国際女性の日」にあたり、私たちは女性と女児にとっての平等を実現することの重要性を訴えています。それは単に公正さや基本的人権の問題であるだけでなく、その他多くの領域での前進を左右する問題でもあるからです。

ジェンダーの平等が進んでいる国々の経済成長率は、相対的に高くなっています。女性の幹部が多い企業は、より高い業績を上げています。和平合意も、女性が参加して成立した場合のほうが長続きします。女性議員が多い議会のほうが、健康、教育、差別禁止、育児支援など、重要な社会問題に関する法律を多く成立させています。

これらはいずれも、女性にとっての平等がすべての人に前進をもたらすという明らかな証拠です。

私たちは、この単純な事実を中心に据えながら、期限を来年に控えたミレニアム開発目標(MDGs)の実現に向けて前進を加速させ、2015年以降のアジェンダを作り上げていかねばなりません。

女児の初等教育や女性議員の割合改善については、大きな進展が見られます。しかし、前進のペースは不十分かつ不均等なものにとどまっています。

母親がどこに住んでいるかにかかわらず、生まれた女児は今でも、不平等や差別を受けています。私たちには、全世界で3人に1人の女性が苦しんでいる暴力を受けずに暮らし、平等な仕事に対して平等な報酬を受け、経済への参加を阻む差別に苦しむことなく、自分の生活に影響する決定について発言し、子どもを産むかどうか、また、いつ何人の子どもを産むかを決定する権利を女児に確保するという共通の義務があります。

私には、きょう生まれた女児、そして地球上の女性と女児の一人ひとりに送りたいメッセージがあります。それは、人権と平等の実現は夢ではなく、各国政府、国連、そして一人ひとりの人間の義務であるということです。

また、私と同じ男性と男児に対しても、メッセージを送ります。自分たちの義務を果たしましょう。女性と女児、つまり皆さんの母親や姉妹、友人、同僚が実力を十分に発揮できれば、私たち全員の利益となるからです。

貧困をなくし、持続可能な開発を促進する取り組みの一環として、女性の権利とエンパワーメント、ジェンダーの平等の実現に向け、ともに力を合わせようではありませんか。女性にとっての平等は、すべての人にとっての前進となるのですから。

著者

藩 基文

国連事務総長

藩 基文 (パン・ギムン) 国連事務総長