「民主主義は、人々が自らの政治的、経済的、文化的システムを決定するために自由に表明した意志と、自らの生活のあらゆる側面への完全な参加に基づくものである」
ウィーン宣言及び行動計画、第8項
2007年の国連総会は各国政府に対し、民主主義の促進と強化に特化した国家プログラムの強化を奨励し、毎年9月15日を国際民主主義デーとすることを決定した
今年のテーマは「Strengthening Voices for Democracy(民主主義を求める声を強化する)」だ。テーマに込められたメッセージは、直接的にも、選ばれた代表者を通じてでも、人々が意見を表明し、自らの政治を決定できることが民主主義の根幹であるということだ。このことは、今日の政治、経済、開発、環境、技術に関する議論にも当てはまると、国連は語る。
国際民主主義デーを迎える直前、告発者を含む市民社会のメンバーに十分な保護を提供し、意志決定過程における透明性を確保することを、国連の独立専門家が各国政府に要請した。
「市民社会の参加者が脅迫、嫌がらせ、暴力にさらされ続け、個人が公共の活動に参加する権利を否定されている限り、民主的で公平な国際秩序は実現されません」と、民主的で公平な国際秩序の促進担当の国連独立専門家、アルフレド・デ・ザヤス氏は語った。
「人権擁護者と告発者に対して特定の保護を与えなければなりません。彼らは一部の状況下では非愛国的であるとして非難されていますが、現実には、自国のために、また自国民が人権を享受するために、民主的活動を遂行しているのです」
デ・ザヤス氏は、無料のマスメディアを含む多様な情報源から信頼できる真実の情報を入手することが人々にとって不可欠であると強調した。そうすることによって人々は自身の意見を形成し、公共の活動への積極的な参加を効果的に行うことができると強調した。
「民主主義を口先では称賛しているにもかかわらず、民主主義において主権を有するのは国民であることを、あまりに多くの政府が忘れているような状況に私はがく然としております」と彼は語った。デ・ザヤス氏はシンクタンクや国立の人権組織や他の報告者による分析を総合し、多くの国の政府は自国民の願望よりも特別利益団体に共鳴しやすく、その結果、多大な社会的および経済的不平等が生まれていることを明らかにした。
特にデ・ザヤス氏は、政府の「一部の状況下で見られる、自国民の利益ではなく軍産複合体制や金融業者や多国籍企業の利益に従う傾向と、その結果生じる国内外の混乱」に懸念を示した。
「権力と国民の間の断絶は改善されなければなりません」と彼は続けた。
実際、デ・ザヤス氏は現状に対する鋭い批判を避けようとはしない。例えば国連の役割に関するある側面についても批判的である。国連人権理事会に提出された最近の報告書の中で、デ・ザヤス氏は次のように記している。
「民主的で公平な国際秩序に関して、そのような国際秩序は国家の主権平等性、国民自決の権利、国際的連帯の精神に即して地球の恵みを共有する公約に基づいていることは明らかである」
「自決は民主主義の概念と緊密に関連しているが、国際的な意志決定への参加はいまだに平等とは程遠く、公平でさえない。実際、国連安全保障理事会は民主的ではなく、ブレトン・ウッズ機関も同様である。構造や手続きが民主的ではない組織は他にもあり、特定のエリート主義的な組織が含まれる。例えば、日米欧三極委員会、大西洋評議会、ビルダーバーグ会議のほか、主要カ国首脳会議、主要20カ国・地域首脳会議、世界経済フォーラムなどの著名な会議や、北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟だ」
「一方、多国籍企業は、国際的な意志決定への影響力を増しており、主権国家の選択や人権の享受に影響を及ぼしている。企業(多国籍であるか否かにかかわらず)は民主的原則に基づいて運営されているのではなく、主として利益を追求する。また企業の決定は国際秩序に影響を及ぼす。特に平和維持、環境、貿易関係、人類共通の財産に関する世界的な意志決定に大小の国家が公平に参加するために、改革が必要である」
報告書の中で、デ・ザヤス氏は数々の提言を行っている。それらの提言は、社会から無視された人々の意見を守り、政治的プロセスへのすべての人の参加を後押しする上で大いに役立つかもしれない。
「国連体制の改革には安全保障理事会、ブレトン・ウッズ機関、世界貿易機関の改革も含まれます。より民主的かつ公正な国際秩序に向かって前進するために、それらの改革が必要です」と今週、デ・ザヤス氏は述べた。
「世界各地で起こっている最近の大衆運動によって、国内外の意志決定への直接参加がいかに必要であり、直接請求権や議決権を含む直接民主主義の方法がなぜ人々をますます引きつけているのかが明らかになっています」と彼は語った。
「より民主的で公平な国際秩序は空想上のものではありません」とデ・ザヤス氏は結論付けた。「政府と市民社会が力を合わせ、現在と未来の世代のために、国連憲章の目的と原則を現実にすれば、それは実現可能であり、実現するのです」
翻訳:髙﨑文子
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