変化の物語

2007年、アニー・レナード氏とフリー・レンジ・ストゥディオスは 「モノの物語」というタイトルのショートフィルムを製作して、私たちはどのように「モノ」(製造品)を作り、使い、捨てているかを示した。このフィルムは大成功を収め、オンラインで視聴数1500万回を記録した。その後、アニー・レナード氏は非営利プロジェクトを設立、同じテーマでショートフィルムの製作を続けている。 「変化の物語」はシリーズ最新作で、以下の記事で同氏はフィルムを製作した動機とそこに込められた主要なメッセージについて語っている。さらに詳しいことを知るには、「モノの物語プロジェクト」のウェブサイトを参照するほか、すでに16万6千人のメンバーがいるフェイスブックの「モノの物語コミュニティ」 に参加することもできる。

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かつて私は、真実が私たちを自由にすると考えていた。環境について懸念する多くの人たちと同じように、私は情報が変化を起こすと信じて、長い年月を過ごしてきた。だからこそ私は論文を書き、講演を行い、議会で証言さえしたのである。

いくつか変わったことはある。しかし、悲しいことに、全体の構図は変わらなかった。

長い間、私にはその理由がわからなかった。だが、徐々に気づいたことがある。私たちは問題の渦中にいるのだが、それを伝えるデータや白書や専門家が不足しているわけではない。問題は、変化を起こすには何が必要かを忘れていたことにある。

私は新しいショートフィルム「変化の物語」で、その理由のひとつとして、私たちが消費者モードにはまりすぎていたことを指摘している。

私は、人には2種類の部分があると思うようになった。2種類の筋肉のようなものだ。「消費者筋」と「市民筋」と呼べばいいだろうか。「消費者筋」は常に栄養を与えられ、鍛えられて、たくましくなっている。あまりにも強靭になったので、「消費者」は私たちの第一のアイデンティティや存在理由になっているほどだ。よく言われることだが、私たちは今や「消費国」の国民なので、メディアが「消費者」と「人」を同じ意味で使っても驚くことさえない。

一方、「市民筋」は次第にたるんできている。市民として関わることを思い出させるマーケティングキャンペーンなどない。それどころか、自分の習慣を変えたり、苦労したりせずに、地球を救うために簡単にできること、簡単に買えるものがひっきりなしに提示される。

気分が滅入るような問題を目の前にして、なかなか変わらない現実に落胆すれば、本能的に自分たちが知っている唯一の方法、つまり消費者として反応してしまうのも無理はない。プラスティックごみが海にあふれている? では、買い物にはマイバッグを持っていこう。ベビーシャンプーにホルムアルデヒドが入っている? それなら、環境保護マークがついているブランドの商品を買おう。地球温暖化が私たちの当たり前の生活を脅かしている? なるほど、だったら電球を変えよう。(アレゲニー大学で環境政治学を教えるマイケル・マニエイツ教授は「これほど多くの人が何もしないでよかったことは過去に例がない」と言っている)

こういった行動はいずれもやって良いことだ。たとえば、買い物をする時は、有害な化学物質が入っていないもの、無駄な包装をしていないもの、社員を大切にする地元企業が作ったものを選ぶのがいい。しかし、私たちの真の力は、限られたメニューに載せられた品目から選ぶことにあるのではない。私たちの力は、そこに何をメニューに載せるかを決めることにおいて発揮される。有害で、気候に悪影響を及ぼす製品は、安全で、健康的で、かつ一部の人々ではなく、誰にでも手が届く代替品に変えなければならない。その方法は、市民として関わることだ。市民として力を合わせて、個々の消費者にできることにとどまらず、より大規模で大胆な変化を起こすのだ。

過去の成功事例を振り返ってみよう。市民権、反アパルトヘイト、初期の環境問題における勝利などがある。そうすると、私たちが今日必要としているスケールの変化を起こすには、3つの事柄が必要であることがわかる。

第一に、どのように状況を良くするかについて、壮大な構想が必要だ。その構想は、道徳的に説得力があり、環境面で持続可能で、社会的に公平で、一部の人たちの状況がわずかに良くなるものではなく、すべての人の状況が大きく改善するものでなければならない。世界では何百万人もの人がすでにそのような構想を持っている。それは企業の利益ではなく、人々と地球のニーズに基づく経済だ。

第二に、力を合わせることに対する積極的な姿勢が必要だ。歴史上、最も社会が大きく変わった運動では、人々は「私は自分で決めた日々の仕事をきっちりやります」ではなく、「私たちは問題が解決するまで力を合わせます」と言ったものだ。いまでは、オンラインそしてオフラインで、力を合わせるのはこれまで以上に簡単だ。

最後に、壮大な構想を共有する私たち全員が活動を起こす必要がある。私たちは懸念とフラストレーションと恐怖に囲まれている今のステージから、市民が積極的に関与するステージに移動しなければならない。そうすれば、真の変化を起こす力を築くことができる。

私たちは高い目標を掲げ、力を合わせ、大胆に行動しなければならない。それは単純なことではない。簡単ではない。しかし、歴史が味方だ。立ち上がって然るべき変化を起こそう。私たちはそれが可能だと知っているのだから。

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この記事は thestoryofstuff.orgで発表されたものです。

翻訳:ユニカルインターナショナル

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著者

アニー・レナード氏はモノの物語プロジェクト で共同責任者を務めている。同氏は20年近くにわたり、環境医学および環境正義の問題に関する調査や活動に献身的に取り組んできた。2007年12月にモノの物語 を製作・発表するまでは、Funders Workgroup for Sustainable Production and Consumption(持続可能な生産・消費を目指す基金ワークグループ)、GAIA (Global Alliance for Incinerator Alternatives:脱焼却グローバル連合)、Health Care Without Harm(痛みのない医療)、Essential Action (エッセンシャル・アクション)およびグリーンピース・インターナショナルに協力してきた。現在はGAIAおよびPublic Citizen(パブリック・シチズン)の理事を務めている。それ以前にはパブリック.シチズン、Grassroots Recycling Network(グラスルーツ・リサイクリング・ネットワーク)、Environmental Health Fund(環境医学ファンド)、Global Greengrants India(グローバル・グリーングランツ・インディア)、グリーンピース・インディアの理事会に名を連ねていた。最初の著書『モノの物語』は2010年3月に出版された。