CO2排出量は30年間で最大の増加:国連の科学者の報告

1984年以降、2012年から2013年までの間に最も多くの二酸化炭素が大気に排出され、人類を取り返しのつかない地球温暖化へ急速に向かわせていることが、火曜日に発表された国連の気象機関による報告書で明らかになった。

世界気象機関(WMO)の『温室効果ガス年報』 によると、2012年から2013年にかけての大気中のCO2濃度の増加は2.9パーツ・パー・ミリオン(ppm)であり、前年比増加率が30年間で最大だった。この増加によって、大気中のCO2の平均値は396ppmに達した。この数字は、世界中の人々に著しい損害を与えるほどの海面上昇、干ばつ、深刻な天候を引き起こすのに十分だと一部の科学者が考える平均値より、わずか9ppm下回る数字だ。

「昨年、大気中の二酸化炭素濃度は減少するどころか、実際には約30年間で最も速いスピードで増加したことを、『温室効果ガス年報』は示しています」とWMOのミシェル・ジャロー事務局長はステートメントで述べた。「CO2やその他の温室効果ガスの排出量を全面的に削減することによって、この傾向を逆転させなければなりません。私たちには時間がないのです」

気候変動に関する国際交渉では一般的に、世界の平均気温が産業革命以前と比べて2℃を超えるのを避けることが中心に話し合われる。2℃とは、 国連の科学者たちによると、深刻な天候、海面上昇、種の絶滅のリスクが危険なほど高いレベルにまで増加する分岐点である。気温が2℃上昇する状況は、炭素の平均濃度が405 ppmに達した場合だと考える科学者もいれば、 450ppmに近くなった場合と考える科学者もいる。現在の平均値は396ppmだが、気温はすでに0.8℃上昇している

気候変動の問題を解決するには、大気中の炭素濃度を 350ppmで安定させる必要があると、科学者たちはおおむね同意している。つまり、二酸化炭素や、メタン亜酸化窒素 といったより高濃度の温室効果ガスを大気から排除しなくてはならない。

しかしWMOの報告書によると、メタン濃度も上昇傾向にある。2013年の大気中のメタンは過去最高の約1824パーツ・パー・ビリオン(ppb)に達しており、その原因は人間による排出量の増加だと報告書は記している。人間活動に起因するメタン排出量が最も多い分野は天然ガスの生産であり、産業型農業がわずかな差で続いている。

温室効果ガスの大気への排出量は大幅に増加した。ところが、海洋が温室効果ガスを吸収する量はますます増えており、その結果、広い範囲で海洋酸化を引き起こしていると報告書は記している。WMOは海洋の酸含有量の現在のデータを、過去3億年にわたる古代記録と比較し、現在の海洋酸化の速度を「前例のない」と表現した。

海洋酸化に伴う主な問題には、サンゴ、藻類、軟体動物、プランクトンといった石灰化生物の大規模な絶滅、および生物多様性の全般的減少が含まれる。

「地球温暖化がCO2を削減すべき強力な理由ではないとすれば、海洋酸化が十分な理由となるはずです。なぜならその影響はすでに体感されており、今後何十年もの間、影響は増大するからです」と、ユネスコ政府間海洋学委員会のウェンディ・ワトソン・ライト事務局長は語った。「地球の気候を左右する主要機構であり、気候変動を減衰させる働きを持つ海洋を、そろそろ気候変動の議論の中心に置くべきです」

WMOが記しているように、海洋は現在、人間活動に起因するCO2排出量の約4分の1を吸収しており、その結果、観測された大気中の炭素量は減少した。しかし、海洋が炭素を吸収する能力は減退しているため、いずれ大気の温暖化の加速につながると、WMOの報告書は述べている。実際、海洋が炭素を貯留しておく能力は、産業革命初頭のわずか70%でしかない。21世紀末までに、その能力は20%に減退する可能性があるとWMOは述べた。

同時に、海洋は、本来なら大気に貯留される大量の封じ込められた熱も吸収している。この海洋の働きが、気候変動の否定論者たちによる しばしば虚偽を暴かれてきた議論 を長引かせているのだ。否定論者たちは、世界の平均表面温度が上昇していないことを論拠に、地球は「15年間、温暖化していない」と主張している。(それと同時に、海洋の熱容量は急速に増加している

喜ばしいことには、WMOによると、協調的な国際政策を通じて、大気中の炭素量を削減して破滅的な地球温暖化を防ぐための行動はまだ間に合うという。WMOは世界各国の政策決定者に、今回の報告書を「意思決定のための科学的根拠」として活用することを強く要請した。

「私たちには知識があり、気温上昇を2℃未満に抑えるために行動を起こす手段があります。私たちの地球にチャンスを与え、私たちの子供や孫たちに未来を与えるためなのです」とジャロー事務局長は述べた。「知らなかったという言い訳は、行動を起こさない理由にはもはやならないのです」

この Climate Progress(クライメート・プログレス)の記事は、許可を得て転載しています。

翻訳:髙﨑文子

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著者

エミリー・アトキン氏はClimate Progress(クライメート・プログレス)のレポーターである。彼女はニューヨーク州ハドソンバレー出身で、ニューヨーク州立大学ニューパルツ校でジャーナリズムの学士号を修得した。Center for American Progress(センター・フォー・アメリカン・プログレス、クライメート・プログレスの運営母体)に参加する前は、法律関連のニュース配信社Law360(ロー360)で訴訟および政策担当の取材記者やレポーターとして勤務していた。彼女はまた、『ニューヨーク・オブザーバー』紙、『Legislative Gazette(レジスレイティブ・ガゼット)』紙、および調査報道記者のウェイン・バレット氏のもとでインターンシップを経験した。