急速な都市化が持続可能な開発を脅かす

7月2日に発表された国際連合の報告によると、急速な都市化への斬新な対応策を講じなければ、衛生施設や電気や医療といった基本的なインフラストラクチャーとサービスを利用できないスラムに暮らす人々の数は、2050年までに現在の10億人から30億人に急増する。

この警告は、「UN World Economic and Social Survey 2013(国連世界経済社会調査2013年版)」が鳴らした複数の警鐘の1つだ。本日、ジュネーブで発表された今年の調査は、持続可能な開発と、それが経済や社会や環境といった側面に及ぼす問題に主眼を置いている。

調査によると、経済と社会の福祉を促進しつつ、環境を守るという目標は達成されていない。その原因は、開発協力における不平等や隔たりや欠陥が拡大していることや、急速な人口増加、気候変動、環境劣化だ。

「不平等の拡大、食料や燃料や金融の危機、地球システムの境界の侵害によって明らかになったのは、2015年以降の持続可能な開発を実現するためには現行の戦略を単に続けるだけでは十分ではないということだ」と調査は記している。さらに、ミレニアム開発目標(MDGs)として知られる貧困削減を目指す8つの目標を2015年の達成期限までに果たすためにも、現行の施策は不十分だとしている。

国連経済社会局(DESA)によって作成されたこの調査は、持続可能な開発にとって主要な3つの課題、すなわち持続可能な都市、食料および栄養の安全保障、エネルギー転換を検証している。この3点は、昨年ブラジルで開催され、リオ+20として知られる歴史的な国連持続可能な開発会議での中心的テーマにも含まれていた。

「リオ+20は持続可能な開発への取り組みを再確認し、行動と包括的な継続管理のための枠組みを採用しました」と、潘基文国連事務総長は調査の序文に記している。彼は同調査を、リオ+20の成果を具体的行動に移すための「貴重な資源」であると記した。

同調査によると、都市部の持続可能な開発には、統合と協調、さまざまな問題に対処するための投資が必要だという。対処すべき問題とは、土地利用の問題、食料安全保障、雇用の創出、輸送基盤の開発、生物多様性の保護、水の保全、再生可能エネルギーの調達、廃棄物とリサイクルの管理、教育や医療や住宅の提供などである。

経済と社会問題を担当する国連の呉紅波事務次長は、世界の都市を含む持続可能な開発を促進するためには革新的戦略と投資が必要だと語った。「都市の利点を強化する一方で、持続可能な開発に対する脅威を低減する行動を今、起こさなければなりません」

例えば、物品とサービスの価格を、現在や今後の物不足の状況をより密接に反映させた価格に変更することや、消費者や生産者が資源集約的ではない再生可能な製品へ転換するように促進することなどだ。

食料は世界で32パーセントが廃棄されていると予測されており、その無駄を節約するためには、食料生産と消費を変革しなければならないだろう。また、2050年までにさらに23億人が増えると予測される世界人口に食料を供給するためには、生産を70パーセント増やさなくてはならない。

「しかし中心となる課題は、環境への負荷を最低限に抑え、天然資源の利用の効率性を高めつつ食料生産を増大させることである」と調査は記している。また、食料需要が畜産や酪農といった資源集約的な農産物に移行しているため、土地や水や生物多様性の資源への負荷は、むしろさらに高まるという。

調査は食料と栄養の安全保障と共に、将来を見据えたエネルギー対策を促進する創造的なメカニズムを見いだす必要性を強調している。例えば国連事務総長が掲げた全ての人のための持続可能なエネルギー・イニシアティブのようなエネルギー対策だ。このイニシアティブは関連性を持つ3つの世界的目標、すなわち現代的なエネルギーサービスの普遍的アクセス、エネルギー効率性の倍増、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合の倍増という3つの目標を、2030年までに達成することを目指している。

翻訳:髙﨑文子

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