女性も戦っているのだから、平和構築で無視しないで

しばらくの間、アリーナ・ミハイロヴァのインスタは、ヨーロッパの20代女性らしい投稿ばかりだった。大晦日のきらびやかなドレスや休暇中の写真、時にはキーウ市議会議員として活躍する姿も。

しかし、彼女がウクライナ軍の一員として戦争に加わり、自らの体験を写真で綴るようになって、一変した。

民間人として2年間を過ごした後、2022年3月、アリーナは前線に復帰した。砲撃された建物やパトロール中の写真で自らの戦場への復帰を記録し、「戦場でのやや残酷な放浪生活の感覚はすぐに取り戻せた」と伝えている。

アリーナと同じ経験をした人はたくさんいる。多くの女性がウクライナ軍で兵役に就き、あるいはロシアとの戦いに義勇兵として参加している。最近の統計では、ウクライナ軍に占める女性の割合は25パーセントに上る。

国家がいまだ激烈な戦いに苦しんでいる中、武装解除や動員解除について論じるのは時期尚早と思われるかもしれない。しかし、ウクライナの女性が紛争の解決やそれに続く平和構築のプロセスに参加するためには、彼女らの役割やニーズについて、今から明確にしておく必要がある。

そしてこれは、女性が戦闘員として戦い、あるいは、他の形で重要な支援的役割を担っている世界各地の他の紛争においても必要なことである。なぜなら彼女たちの優先課題や願望は、紛争後の移行期において、しばしば置き去りにされるからだ。

画期的な「女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号」が採択されて以降の進展について、先月、国際社会で議論が行われた。持続可能な平和には男女平等を可能にする社会状況や政治状況が必要であることを、私たちは改めて気付かされ、それには政権中枢から地域社会に至るまであらゆるレベルで女性たちが平和構築プロセスに参加することが含まれる。

完全で平等で意味のある参加

紛争後の移行、すなわち武装解除や動員解除、社会復帰、治安部門の改革、そして平和構築に女性がより完全な形で参加できるよう対策を求める各国政府や多国間機関からの声は、近年、ますます高まっている。

移行の取り組みに女性たちがわずかに関りを持つだけの単なる「インクルージョン(包摂・包含)」から、女性たちが平和構築において主体的役割を果たせるよう、完全で平等で意味のある「参加」に向けて前進する必要性を訴える声が強まっている。彼女たちのニーズや優先課題が聞き届けられ、対応が取られなければならない。

これらの設計上の欠陥は、多くの場合、女性たちが最初から移行期のプログラムに参加できていなかったか、あるいは参加できていたとしても、ジェンダーに対応したプログラム設計になっていなかったことを意味する。

こうした主張は希望を与えてくれるが、紛争からの移行にあらゆるジェンダーの人々を参加させるための国際社会の取り組みは、これまで不十分であった。正規軍や武装集団の再編や動員解除の取り組みは、圧倒的に男性を対象に設計されていた。すなわち、女性たちは、そのような取り組みを利用し、それに参加し、あるいは、その恩恵を享受することが難しかったのだ。

また、これまでの取り組みは、紛争中、女性が果たすことの多いより非公式な役割に、焦点を合わせることは少なかった。例えば、調理人や情報提供者、地域の治安組織の一員などの役割である。

これらの設計上の欠陥は、多くの場合、女性たちが最初から移行期のプログラムに参加できていなかったか、あるいは参加できていたとしても、ジェンダーに対応したプログラム設計になっていなかったことを意味する。つまり、女性たちの戦争中の体験と、戦争後のニーズや願望の双方を考慮した内容になっていなかったのだ。

紛争後に元戦闘員を復員して社会復帰させるために国際社会が直接的に支援してきた介入策のほとんどは、政府軍よりむしろ非政府武装集団を対象としたものになりがちであった。これは大きな漏れである。

政府軍の規模の適正化や再編のための取り組みとは異なるものの、それでも、これら非政府武装集団に対する介入について検討することは、民間人としての生活に移行する際の女性特有のニーズや彼女らが直面する障壁について考慮する上で有益である。

過去の動員解除プログラムを検討することで、これまでの取り組みが、女性(および少女)たちに真に開かれたものになっていなかったのみならず、紛争からの移行プロセスにおいて、女性たちを完全な参加者として迎え入れるものになっていなかったことが分かる。

女性特有のニーズを認識する

国連大学政策研究センター(UNU-CPR)および国連軍縮研究所(UNIDIR)の共同事業「武力紛争からの出口管理(MEAC)」の調査では、女性と男性の紛争体験が異なり、動員が解除された際のニーズも異なる可能性があると分かった。

ナイジェリアでは、ボコ・ハラムに関与した女性たちは、扶養すべき子どもが複数いたとしても、多くの場合、ほとんど支援を得られなかった。その一方で、戦士に分類された夫たちには優先して支援が与えられた。

女性の方が男性と比べて経済的な困窮に陥りやすく、さらにはPTSD症状や鬱の度合いが高いことも報告されている。

コロンビアでは、復員プロセスは1990年代かそれ以前から行われているが、MEACの調査では、復員プロセスにジェンダーが十分に考慮されたことを示すエビデンスは、2008年までほとんど見出せなかった。

紛争後、普通の生活に戻ろうとする女性たちが直面する社会的障壁を考えると、こうしたジェンダーに関する考慮不足がいかに大きな問題であるかが分かる。戦争に参加した女性が受けるスティグマや差別は、彼女たちの市民生活への移行を阻み、彼女たちが平和構築プロセスに完全な形で参加することを妨げる。

ナイジェリアでは、自衛軍に協力した女性たちが、単に制服としてズボンを履いたためにスティグマを受けていたことがMEACの調査で分かった。男性がズボンを履いても、同じようなスティグマを受けることはない。

女性の方が男性と比べて経済的な困窮に陥りやすく、さらにはPTSD症状や鬱の度合いが高いことも報告されている。

コロンビアでは、コロンビア革命軍-人民軍(FARC-EP)で指導的役割を果たした女性たちが、紛争後の選択肢が狭められていることに苛立ちを感じている。女性が子供の面倒を見るべきといった、家庭や社会で果たすべき役割についてのジェンダーに関する期待のせいで、和平合意後の政治参加を妨げられているのだ。

この事例は、市民生活への移行に際し女性が遭遇する女性特有の障壁だけでなく、職業人としてや母親としてなど、複数のアイデンティティーの間でバランスを取るという、多くの女性が経験する困難についても明らかにしている。

移行計画の早い時点でこれらのニーズに対処し、他の地域の教訓から学ぶことで、女性は後からの思い付きのように扱われることなく、紛争が終わり次第、復興する社会の形成に平等に関与できるだろう。アリーナのように戦いの真っただ中にいる女性も、そして前線の背後で非公式な役割を担う女性も。

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この記事は最初にThe New Humanitarianに掲載され、同社の許可を得て転載しています。The New Humanitarianウェブサイトに掲載された記事はこちらからご覧ください。

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