ロブ・ブレイクモア博士は30年間“VermEcology(地虫生態学)”を研究している。生態学、コンピューター、パーマカルチャーで資格を取得。アフリカおよびシュロップシャーのチャールズ・ダーウィンの生誕地近くで育った。ロブのミミズに対する関心は1980年、ダーウィンの著作「ミミズと土」の100周年記念と同時に始まった。その後、オーストラレーシア熱帯地域から南極圏近辺、最近では日本で調査を行い、300の新種の分類群を命名するに至る。
地虫が地球を救うことは可能か?私は可能だと思っている。その論拠を示す前に、まず私の立場を説明させてほしい。私はエコロジストである。熱心にリサイクル活動に励むトレンディーな人という意味でのエコロジストではない。確かに、流行に乗ってグリーンな生活をしているし、たまには肉を食べるベジタリアンであり、可能な限りビール瓶はリサイクルしようと心がけている。だが、私はもう一方のエコロジスト、つまり科学的な生態学者である。
生態学という科学は一般的に、生物とその環境の学問であると定義されている。つまり、すべてだ!しかし、私はもっと範囲を狭めて次のように定義したい。”生物と、生物が生み出す生命体と非生命体、およびその環境”、すなわち前者よりもっと包括的で、化石燃料や人間の活動まで含まれる学問のことだ!
そして生態学者とは、複雑で多様な環境にある自然生態系の全体的な働きを時間の流れを通して考察し、時には生態系を構成要素ごとに分解し、鍵となる部分に着目して実体を統制する人のことだ。それと同時に、ゼネラリストで、多方面に詳しい専門家でもある。
私はイングランドの田園地帯で祖父と暮らして育った。祖父は村の蹄鉄工で、養蜂家で庭師でもあった。私は週末には農家や猟場番人のもとで働いた。そういった経験のおかげで、私は全般的な自然史の世界にどっぷりつかることができた。その後、陸生および水生生物学、そして私にとって命の鍵である土壌生態学の学位を取得した。土壌中の大物といえば、生きた有機体である。その中で頂点に君臨するのが、控えめで隠れた存在、ミミズだ。
ここで私は、シルビア・アール博士のような海洋生物学者たちに対して強く反論せざるを得ない。彼女は2009年TED賞を受賞した後、海は地球の表面の70%を占めており、残りはただの”土”だと指摘したのだ
食糧農業機関(FAO)によれば、私たちが摂取する食べ物と繊維のおよそ99.4%は陸産物で、海とその他の水生生態系の産物はわずか0.6%だという。海産物や淡水魚や水産養殖品から得られるカロリーは、現在人類が摂取している総カロリーの約10~16%でしかない(これらの数字は日本やアイスランドといった海洋諸国では多少異なるが、それでも私たちは栄養の80%以上を陸産物から摂取している)
レオナルド・ダ・ヴィンチが500年前に述べた「我々は足元にある土壌よりも、天体の動きについての方が分かっている」という言葉は、今日でも真実味にあふれている。
さらに、海洋生態系は土壌から流れ出たり吹き出されたりして溶解した栄養分に完全に依存しており、主に陸上の活動による汚染の影響にさらされている。この点にはアール博士も異論はないはずだ。海洋生態系が生き残れるかどうかは、人間と同様に、”ただの土”の部分に懸かっているのだ。
したがって、海洋に関する科学的知識は陸上の生態系に関する知識よりもずっと深遠だという言説は疑わしい。さらに、レオナルド・ダ・ヴィンチが500年前に述べた「我々は足元にある土壌よりも、天体の動きについての方が分かっている」という言葉は、今日でも真実味にあふれている。「サイエンス」誌は、私たちの知識が非常に浅いことを認め、”Soils – The Final Frontier“(土壌-最後のフロンティア)と題した2004年特集号を発表した。
頭上に浮かぶ無用な惑星や、明日も必ず存在するであろう深海の新種をやみくもに発見しようとすることに、なぜ貴重な資金と頭脳をムダに費やすのか?文字通り私たちの足の下に人知れず存在する重要な生命体が恐ろしい速度で姿を消して、私たちを危機的状況に追いやっているのに?
人間の今と未来のために、土壌がなし得る具体的な偉業を保護し、残していくことに、労力と貴重な資金を集中させてみてはどうだろうか?”土壌生態学研究所”は一体どこにある?
温室効果ガスや地球温暖化についての議論がなされているが、地球の主要な炭素吸収源として働くのは、海でも木でもなく、岩石圏である。10年ほど前、土壌に含まれる炭素量をさらに30%増やす強い粘着性の有機分子、グロマリンが発見されて以来、岩石圏の働きは特に信憑性を得た。(エネルギー危機も、単に地中の地熱エネルギーを利用することで解決できる。この点についてはOur World 2.0に掲載された「しくみ解明:熱く沸き上がる地熱エネルギー」に詳しく説明されている)
大気中の炭素は植物から土壌を経ておよそ12~20年で再循環するが、そのすべては地虫の腸を通じて処理される。
耕作地や牧草地、森林の土壌を適切に管理することは、有害な副作用なしに大気中の炭素を最も現実的で確実に吸収できる方法だ。大気中の炭素は植物から土壌を経ておよそ12~20年で再循環するが、そのすべては地虫の腸を通じて処理される。有機的なミミズ堆肥や腐植土の再生によって土壌の生物多様性を促進することは、生産性のムダや損失のない自然の閉鎖系改善方法となる。
あらゆる種類の汚物と病気は最終的に必ず土壌に行き着くため、結果的に土壌の生態系はたくましい。しかし、土壌は過度の開発による影響を最も強く受け、浸食や破壊、人工的な化学薬品や導入遺伝子の汚染という最大の脅威に直面している。
土壌の生物多様性は重要であるにもかかわらず、あまり知られていないため、比較的大きな地虫のような目につきやすい生物でさえ、ほとんど分類されていない。私はフィールドトリップに出かけるたびに新種を発見する。そしてすでに学名がついている10,000種(おそらく全種の3分の1以下)のうち、その生態がわずかでも解明されているものは約12種にすぎない。
しかし解明された内容は吉報とは言えない。種の個体数と多様性が過去に例を見ないほど減少し、しかも絶滅の速度が速いため、地球は新たな未知の領域に追いやられているのだ。私たちは即急に今後の行動を決定しなければならない。
例えば研究所に大勢の生態学者たちが大集合し、研究生活のすべてを懸けて地虫だけを研究したとしても、現在のわずかな知識がほんの少し増える程度の進歩しかないだろう。しかし、その成果は正当なものだし、差し迫った環境問題の解決に明白な効果をもたらすだろう。しかし、そういった状況は現実化していない。
土壌生態学の研究は、私たちの生活全般に影響をもたらし、人間とその他すべての陸生生物の差し迫った生死という非常に重要な問題と関連するため、基本的に正当な研究だと言える。ミミズの専門家たちは絶滅の危機にさらされ、急速に減りつつある人種である。その一方で一部の科学者たちは、ただ1つの作物や害虫だけに注目する自分たちの研究を擁護しようとする。そこで私は、地虫がいなければ、健康な土壌はなく、健康な作物は育たないのだ、と声を大にして言いたい。
“失われると地球の生命維持システムに最も大きな破壊力を持つ生命群とは何か?”という問いに対し、私の答えは次のとおりだ。それは魚や鳥やハチ、あるいは人類でもなく、ミミズである。ミミズは食物連鎖の上で鍵となる存在(魚や鳥にとってだけではない)であり、多様な共生生物や寄生生物の宿主や媒介者の役割を果たす。また、主要なとして、土壌の鉱化作用と有機質の再循環を担う。医学の世界を除けば、これほど重要な研究対象を持つ科学者は他にいるだろうか?
ポスト工業化時代への革命的な移行期になされた主な予測の1つで、非常に楽観的なもの(詳細はアルビン・トフラーの「第三の波」をご覧ください)に、遺伝子工学が新たな生産方法を生み、未来の発展に著しい影響を与えるだろうという予測があった。多くの意味でこの予測は、遺伝子組み換え生物(GMO)の医学的な利用や微生物の”製造”によって立証されている。遺伝子組み換え生物は高額ではあるものの、潜在的に有用で、ある種の目的を果たすことができる。
しかし同時に大きなリスクも生じる。明白なことだが、生命の主な特徴とは繁殖と消散である。遺伝子組み換えのトウモロコシ、綿花、大豆、小麦、米、ジャガイモの設計者たちは、過去に有毒な化学物質を生産していた会社の人々(あるいは少なくとも利益追求型思考の持ち主)であり、今度は自社の新たな遺伝子組み換え技術が化学物質に取って代わるのだと主張しているのだ。かつて化学エンジニアたちが、あらゆる問題の解決法を約束したように。
驚くべきことに、そして恥ずべきことには、非実用的な流行であると簡単に切り捨てられる有機農業の選択肢”の研究には、ほとんど資金が寄せられていない。
1962年レイチェル・カーソン氏の「沈黙の春」は、化学農薬の汚染の危険性に初めて警鐘を鳴らした。農薬の汚染は(特にミミズのような無脊椎動物の)体組織に生物蓄積することでさらに悪化し、食物連鎖の上部へ行くほど生物濃縮が進んでいく。しかし化学薬品は、いかなる問題があるにせよ、生産をやめさえすれば次第に消散し効力を失っていく。
ところが生物学では、その逆もあり得るのだ。除草剤や害虫への耐性を持つように設計された植物は、他花受粉や遺伝的浮動(集団の遺伝子頻度が自然淘汰とは無関係に変化すること)によって、おのずと数を増やし広まっていく。その一例が、遺伝子組み換えにより除草剤への耐性を強化した野生のセイヨウアブラナ(Brassica napus)の日本における異常な逸出であり、同じような惨禍と同様に今後も制御不能な勢いで広まり続けるだろう。
科学の研究資金のほとんどは、切迫した環境問題そのものに当てられるのではなく、主に工業的農業のための非常に高額な分子研究、あるいは有毒な生命破壊剤の効果的な用法を調べる農業実験に割かれている。ほとんどの場合、こういった研究は情報を持つ消費者や農業従事者の要請によるものではなく、農業従事者たちは、しばしば産業界から資金を得ている”専門家たち”と農業相談員(広告主でないことを願う)のアドバイスに頼らざるを得ない。
驚くべきことに、そして恥ずべきことには、非実用的な流行であると簡単に切り捨てられる有機農業の”選択肢”の研究には、ほとんど資金が寄せられていない。しかし10,000年前に農業革命が始まって以来、私たちを今日まで導いてきたのは、その選択肢に他ならないのだ。
表土は、文明が頼りにする最も貴重な資源である。表土の消失は、土壌の栄養と健康の衰えと共に、現在懸念されている重要な問題である。
表土はどのくらい重要か?肥沃な表土がなければ、基本的に植物は育たないし、地上に生物は存在しなくなる。表土の消失はどれほど大きな問題なのか?1991年、国連の支援を受けたGlobal Survey of Human-Induced Soil Degradation Report(人間による土壌劣化の地球規模影響評価)によれば、文字どおり世界のすべての地域において顕著な問題があるという。国連による2005年のミレニアム生態系評価(MEA)によると、地球の陸地のうち、耕作されているのはわずか11%で、農地全体のおよそ40%で深刻な土壌劣化が見られた。
表土の消失は、砂漠化、塩化、浸食、汚染、都市や道路などの開発活動が組み合わさった原因で引き起こされてきた。アメリカ合衆国だけでも、年間で約1,250億ドルの損失だと推定されている。MEAは”土壌システム”を単独指標にする予定ではなかったにもかかわらず、土壌劣化を世界で最も重大な環境問題としてランク付けし、土壌劣化には社会を不安定にしたり、食糧安全保障を揺るがしたり、貧困を増加させたりする危険性があるとしている。最も土壌劣化が進んだ地域には、土地の75%が不毛である中央アメリカや、陸地の5分の1が劣化しているアフリカ、11%の土地が農業に適さないアジアがある。
MEAは土壌劣化を世界で最も重大な環境問題としてランク付けし、土壌劣化には社会を不安定にしたり、食糧安全保障を揺るがしたり、貧困を増加させたりする危険性があるとしている。
生命破壊剤や肥料から出る、よく知られた汚染物質の他にも、汚染の原因は数多く存在する。例えば集中的な家畜生産に用いられる抗生物質、そして薬物や溶剤、避妊用ピルに含まれる合成ホルモンといった、人間が作り出した汚染物質の”カクテル”が、私たちに予測できない無限の組み合わせとなり、環境に流れ出ていくのである。
土壌の衰えと農作物の生産に関する改善策として、遺伝子組み換え作物やその他のハイテク技術の利用が提案されている。なぜなら表土の形成は何世紀もかかるプロセスであり、基本的に再生不可能なので、消失した表土はもう永遠に失われてしまったのだという仮定がなされているからだ。この考え方は間違っており、農地に肥沃な表土を再生するのに利用できそうな方法が幾つか挙げることができる。しかもそれらの方法は、ほんの数年のうちに結果を出せるのだ。
「”表土を作ることができるか”という問いへの答えは”イエス”である。次に”どうやって?”と聞かれたら、その答えはこうだ”ミミズにエサをあげればいい”」レディー・イヴ・バルファーはトーマス・J・バレット氏の著作「Harnessing the Earthworm」(ミミズ活用法)の序文で記している。
確かに、健康な土壌を保全したり再生したりしている有機農場は世界中に数多く存在する。有機農法には多くのアプローチがあり、例えばルドルフ・シュタイナーのバイオダイナミック農法はその一例だ。そういった方法はすべて、ビル・モリソンの定義によればパーマカルチャーという広義の分類ができるという。一般的な条件下で、効率がよく効果的な生産と快適な暮らしのために自然環境をデザインするというこの哲学と試みは、世界中の国や地域、個人によって広く採用されている。
ウィリアム・ブレイクは「1粒の砂に世界を、1輪の野の花に天国を見よ」と勧めている。地中のミミズの個体数と多様性に関する土壌調査は、自然の肥沃さを測るよい方法になるだろう。なぜならミミズは土壌の健康を監視し仲介するものだからだ。尊敬すべき先達の中にはミミズの役割を高く評価する者がいた。その証拠に”ミミズ”を表わす中国語を”地中の天使”と訳した例がある。古代の世界では、生物学の父アリストテレスはミミズを土壌の内臓と呼び、クレオパトラはミミズを聖なるものと定めたと記録されている
鋤で掘り起こされた地虫が鳥に食べられるのを見たシッダールタ王子(ゴータマ・ブッダ)は、輪廻転生の理解へ至る思索の道を歩き始めた。古代の世界では、”生物学の父”アリストテレスはミミズを”土壌の内臓”と呼び、クレオパトラはミミズを聖なるものと定めたと記録されている。
イギリスの博物学者で進化論の父であるチャールズ・ダーウィンもミミズに関心があった。亡くなる前年の1881年、彼は40年に及ぶ研究の集大成として「ミミズと土」を発表した。土壌生態学の創始者でもある彼は、ミミズが土壌や植物の成長、ひいては人間の生存に有益な効果をもたらすという、初期の文明から引き継がれた伝統の知恵に対し、初めて信憑性を与えた科学者の一人である。
ダーウィンはミミズの研究が自身の最も重要な貢献の一つであると信じ、次のように述べた。
「この未分類の生き物などより、世界の歴史の中で重要な役割を担ってきた生き物は他にたくさんいるのではないかという疑問が湧くかもしれない…」
「マントのように陸の表面を覆う植物性の腐植土は、彼らの体内を何度も通過してきたのだ」
そうであり続けることを願ってやまない。
1981年、ダーウィンの独創的な研究の100周年を記念して、私はレディー・イヴ・バルファーのホーリー実験農場の調査を行った。その結果、有機的農法が健康な土壌とミミズの数を促進することが分かった。土壌の温度と湿度と有機質をかなり高く維持することによって、地中の炭素量が倍になったのだ。この方法を利用すれば、上昇の一途をたどる大気中の二酸化炭素の問題を難なく解決できるだろう。さらに、有機的および非有機的な管理方法を比べると、化学物質や環境の劣化に伴う費用の損失を要因として差し引かなくても、作物の生産量は同等だった。(詳細はこちらをご覧ください)
私の論点は次のとおりである。主に人間の活動が引き起こす大規模な種の絶滅、人間による過剰な炭素排出に起因する地球温暖化、人口増加により切迫した資源や食糧の不足が引き起こす社会的および政治的機能不全という3つの連結した要素が地球に影響を及ぼしているが、そういった問題はすべて、土壌の健康と豊かさを取り戻す方法を人々(そして政治家たち!)に教えれば解決できるということだ。手始めに、有機的な”ゴミ”をミミズを使って再加工し、自然な堆肥を作るのも1つの方法だ。
土壌環境を賢く適切に利用することは、人的資源を保障し、地球温暖化を改善してくれるだろう。そして最も重要なことだが、結局のところ相互に依存しているすべての種の豊かさを守ることにつながるのだ。
社会がますますテクノロジーに依存する傾向は、新たなリスクとチャンスを生む。今日のようなバイオ・サイバーテクノロジーの時代(衛星による常時監視システム、瞬時のコミュニケーション、そして統合的な害虫管理、輸送やロジスティックといった活動を分析し、推奨/実施するためのコンピューターネットワークの利用)への移行がもたらす最良かつ有益な部分を採用し改作する必要がある。そうすれば、増え続ける人口を十分支えるようなケースバイケースの効率的かつ持続可能な農業や開発事業を行えるのだ。
土壌環境を賢く適切に利用することは、人的資源を保障し、地球温暖化を改善してくれるだろう。そして最も重要なことだが、結局のところ相互に依存しているすべての種の豊かさを守ることにつながるのだ。
しかし、危険で不必要な新技術や社会構造は阻止する必要もある。したがって、宇宙や海洋にコロニーを作るというような破天荒なアイデアは、大規模な遺伝子組み換え農業と同様に、却下するか、少なくとも延期すればいい。
現実的で実用的な選択肢がある場合にのみ、システムに異論を唱えるべきだ。この観点から言えば、健康的な有機農法に異議を唱える理由を、私は個人的にほとんど見いだせなかった。工業的農業が化石燃料と貴重な水資源の両方を使い、世界中で汚染と自然資源の減耗を引き起こしているだけでなく、農村の人々が仕事に就けず都市に押し寄せる状況を生んでいるのだから、なおさらである。工業的農業は、限りのある石油に依存した生産システムであり、その存続は長くはない。
私たちは資源を100%使い切らずに、残しておくことが必要だ。パーマカルチャーには過剰に生産されたものを自然に戻すか寄贈するという発想がある。税金と同様に、昆虫や鳥や哺乳類が私たちの作物の一部を食べ、ヒル(ミミズの嫌われ者の親類)が私たちの血を吸うのは、自然が私たちからのわずかな献金を受け取るようなものなのだ。
毛むくじゃらの動物や羽根に覆われた動物ほどのカリスマはないし、海や宇宙の代理人のようなPR効果もないが、ミミズにはもっと繊細で控えめな魅力がある。
パーマカルチャーの実用的な哲学に替わって、そのうち賢明な組織の新たな構造とシステムが台頭するかもしれない。願わくばその組織が、政治と経済の釣鐘曲線の末端にある失策よりもマシな結果を生んでくれるといい。
私が個人的にお勧めする解決法は、ミミズについてよく考え、再評価することだ。毛むくじゃらの動物や羽根に覆われた動物ほどのカリスマはないし、海や宇宙の代理人のようなPR効果もないが、ミミズにはもっと繊細で控えめな魅力がある。それを確認したければ、”土壌探検家”になって裏庭へ遠征に出かけてみるといい。
結論として、私たちは謙虚なミミズについてよく考えてみるべきだ。アリストテレス、釈迦、クレオパトラ、ダーウィンなどが認識していたように、ミミズは夜も昼も絶え間なく、人知れず、ほとんど感謝もされずに、私たちのために働き続けている。だからこそ”人間(human)”と”腐植土(humus)”が同じ語源を持つのは適切だし、すばらしい地虫が住む土壌(earth)にちなんで、この惑星が”地球(Earth)”と名付けられたのだとしても不思議ではないのだ。
翻訳:髙﨑文子
ミミズが地球を救う by ロブ・J ブレイクモア is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.