中国のごみ輸入禁止令、日本の政策見直しのチャンスに

海をイメージするとき、頭に何が浮かぶだろう。おそらく、波打つ海岸、マグロの大群、太陽の光に照らされた海藻の森などだろう。ほとんどの人がイメージしないのは、プラスチックだ。2050年までに世界中の海にあるプラスチックごみの重量は、魚の重量を上回るだろうと推計されている。軽量なプラスチックの性質から考えると、驚くべき事実だ。

プラスチックごみが世界各地の河川や運河の水路を漂い、野生動物に絡まり、バリからハワイに至るまで人気の高いビーチを襲っているという話や写真は、主流メディアで日常的に取り上げられている。世界で最もプラスチックごみが集まった海域「太平洋ごみベルト」は、アラスカよりも面積が大きいことはよく知られている。こうしたプラスチックが荒い海流に砕かれて微細なプラスチック粒子となり、魚がそれらを飲み込み、人間が摂取する。この問題が非常に問題視されるようになったため、今年6月8日の世界海洋デーに国連は、「海をきれいにする」最善の方法は何か、について重点的に取り組む。

プラスチックごみの問題が関心を集める中、中国政府は年初に、密輸取り締まりプロジェクト「国門利剣(ナショナルソード)」政策の一環として24種類の廃棄物(プラスチックを含む)の輸入禁止令を施行した。中国は1980年代以来、世界のリサイクル素材の主要な到達地となってきた。2006年から2012年の間にプラスチックごみの輸入量は6百万トンから9百万トンに増加し、そのうち18%は日本からで、米国に次ぐ2番目の輸入量である。

国内のプラスチックごみをリサイクルする代替手段を見出そうと日本政府が急いでいた矢先、中国の禁止令の発令は日本で混乱を巻き起こした。日本では、3R(reduce、reuse、recycle:ゴミの減量、再利用、リサイクル)政策が国内のリサイクル推進において大きな成功を収めた一方、国内のプラスチックリサイクル産業の減少を招いた。リサイクル活動への参加は高水準にもかかわらず、プラスチック製品の使用を減らす取り組みはうまくいっていない。

中国のごみ輸入禁止令は非常に頭の痛い問題のようである一方、日本政府が国民、企業、そして海のためになるような政策を再考するチャンスでもある。

中国のごみ輸入禁止令は非常に頭の痛い問題のようである一方、日本政府が国民、企業、そして海のためになるような政策を再考するチャンスでもある。リサイクル活動の先導国である日本は、主に3つ方策により、この土台を生かせる。

一つ目に、レジ袋、コップ、飲料用ストローなどの使い捨てプラスチックの販売禁止または有料化により、プラスチック製品の使用規制を導入する必要がある。2002年にアイルランドは世界で初めてレジ袋税を導入し、10億枚以上に相当する90%のレジ袋削減に成功した。ここから得た税収は、環境プロジェクトを支援する緑化基金に使われた。また2008年にルワンダは、レジ袋の販売、製造、使用、輸入の禁止令を導入した。この禁止令により、各都市でごみが減って清潔になり、プラスチックごみによる環境被害も軽減され、観光客が増加した。

二つ目は、企業と業界に対する、プラスチック製品の再設計・再製造、代用品、あるいは段階的な削減の目標設定である。2017年に英国の大手小売企業が、プラスチックの微粒子を含んだすべての製品を店頭から撤去し、レジ袋を廃止してリユーザブルバッグ(エコバッグなど)に替えた。カナダでは、リユーザブルバッグを取り入れにより消費者の行動に変化が表れ、レジ袋の使用が大幅に減少した。

2020年の東京オリンピックの準備を進める日本にとって、このような成功例はとくに重要だ。各業界に対して、オリンピックに関連した全商品に過剰包装の削減が求められている。また、プラスチックごみが効果的に制限された2016年のリオデジャネイロ・オリンピックから教訓を得ながら、生分解性(自然環境に廃棄した際に、微生物によって分解される性質)の代替品も検討されている。

三つ目に、環境に優しいごみ習慣を身につける方法について、国内の消費者および企業を教育するキャンペーンを展開する必要がある。このようなキャンペーンは北欧諸国で大成功を収めた。これらの地域では、国際廃棄物協会(ISWA)が、メーカー、デザイナー、ごみの管理者を一同に集め、プラスチックによる包装の削減、製造サイクルへのリサイクル可能・再利用可能な素材の取り入れ、責任ある買い物をするよう顧客に対して教育する方法の戦略を練ったのである。その結果、どのような国にも適用可能な責任ある資源管理について、画期的な成果が次々と報告された。

世界のプラスチックの生産量は2014年に3億1,100万トンに達し、2050年までに約4倍になると見込まれている。このうち、現在リサイクルされているのは5%にすぎず、40%は海や埋め立て地に向かっている。

中国のプラスチック輸入禁止令は、日本がプラスチック製品の製造、使用、処分を再考するための重要なきっかけだ。日本は、次の「容易な解決策」を探すのではなく、プラスチックの積み上げを防ぐ確固たる資源管理の原則を採用するチャンスを得ている。

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この記事はジャパンタイムズで最初に公表されたものであり、許可を得て転載しています。
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