ブレンダン・バレット
ロイヤルメルボルン工科大学ブレンダン・バレットは、東京にある国連大学サステイナビリティ高等研究所の客員研究員であり、ロイヤルメルボルン工科大学 (RMIT) の特別研究員である。民間部門、大学・研究機関、国際機関での職歴がある。ウェブと情報テクノロジーを駆使し、環境と人間安全保障の問題に関する情報伝達や講義、また研究をおこなっている。RMITに加わる前は、国連機関である国連環境計画と国連大学で、約20年にわたり勤務した。
肉抜き月曜日があってもいいではないか。元ビートルズのポール・マッカートニー氏も、気候変動に関する政府間パネルのラジェンドラ・パチャウリ議長もこれに賛同している。
しかし、どういうわけかこのような提案に対するリアクションは肯定的なものではなく、むしろそのほとんどが批判的だ。我々は肉が大好き。食肉産業も、政治指導者たちもみんな大好きだ。もしかしたら地球保護につながるかもしれない。しかしだからといってみんながベジタリアンになってくれるなんて期待はできない。たとえ週一日であっても。
イギリスのベン・ブラッドショー保健相をはじめ各国の厚生大臣らは、肉の消費が気候変動に大きく影響しているとは思えない、と口をはさむだろう。肉を食べないという選択以外にも、有効な二酸化炭素排出削減の方法はあるはず、という意見もあるかもしれない。一人ひとりに排出削減を意識するよう呼び掛ければ、たいていこのような反論が持ち上がる。飛行機を利用するより、家でエネルギーの節約を。肉を断念する代わりに、飛行機の利用を断念すればいい。いつも誰かしら言い訳をするものだ。
そもそも、肉を食べることが気候に害をもたらすという発想はどこから生まれたのか。よく引き合いに出されるのは国連食糧農業機関が2006年に発表した報告だ。食肉産業が排出する温室効果ガスは、世界中のSUV車、乗用車、トラック、飛行機、船舶から排出されるその量を合計したものよりなお多い、というものだ。
「家畜が及ぼす影響」と題されたこの報告書は、世界全体の温室効果ガス排出量の18%は食肉生産によるもの、と述べている。(詳細は右上のPDFファイルをご参照)
食肉産業の慣行を改め、まずは温室効果に関連するガスの発生源となっている‘家畜の口’から排出削減のための手入れをすることが対応策のひとつではないだろうか(牛が出すメタンガス削減のためにこれまでの餌のやりかたを変える)。つまり私は何一つしなくてもよいことになる。これは非常にいい案だ。
しかしこれは、どれくらいの肉を食べるのかという私とあなた方それぞれの選択の問題であるのかもしれない。肉抜き月曜日から始めて、徐々に食べる肉の量を減らし最終的にベジタリアンになる、という手もある。
さて、あなたの考えは?もう肉を食べるのをやめただろうか?肉の消費を減らしただろうか?それとも、ハンバーガーやステーキを食べ続けることに幸せを感じるだろうか?
翻訳:浜井華子
討論会2.0:肉をとる?気候をとる?さあ決断を! by ブレンダン・バレット is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.
Based on a work at http://ourworld.unu.edu/en/debate-2-0-meat-or-the-climate-pick-one/.