トニー・オラフリン。オーストラリアを拠点に活動するジャーナリスト。ガーディアン紙ライター。
地球上に存在する種の数は190万にのぼることが科学者によって確認された。世界で最も包括的な動植物一覧にまとめられた報告だ。
一覧は3年前にオーストラリア人研究者によって作成され、それ以降新たに発見された114,000種が加わり、全体として6.3%の増加となった。
動植物学者デイビッド・アッテンボロー卿はこの報告について「次の世代のために地球を守る活動をするすべての人々にとって、非常に重要な参考基準となる」と称賛する。報告書の推定では1,100万種が地球上に生息すると見積もっている。
しかし、研究者によるとそのうちの多くが発見されるのを待たずに消滅してしまうという。「新しい種が発見されている間に絶滅危惧種のリストアップが大きく遅れをとっているため、その数は過小評価される傾向にある」と報告書は伝える。
種の絶滅率が最も高い国の一つであるオーストラリアでは世界で唯一、絶滅危惧種の総合リストを保管している。科学者がオーストラリア政府に対して作成した「地球に生息する種の数に関する報告書」によると、このような動植物の総覧はどの国をみてもこの報告書以外には無いという。
報告書が最初に発表された2006年に続き、オーストラリアの科学者が種の生息を確認するための綿密な調査を行ったのはこれが2度目。種の数は当時から6.3%増加し、現在では190万が確認されている。
それでも、地球上に生息する種の総数は実際もっと多いのではと推測されている。科学者の試算は300万から1億と幅があるが、報告書では1,100万種に近いとされる。
「懸念の対象となる生物を正確に特定できなければ、その生物を守ることもできない。種を一覧にまとめることは、その大切なプロセスの第一歩である」 報告書に添えた文書でアッテンボロー卿はそう語る。
オーストラリアでは、147,579の動植物の生息が確認されているが、さらに500,000近い種がまだ存在すると科学者は予測する。彼らは最初の報告書が発表されてからの3年間にオーストラリア国内で新たな種を発見しているのだ。爬虫類48種、カエル8種、哺乳類8種、顕花植物1,184種、クモ・ダニ・サソリ904種。しかもそのうち、爬虫類の93%、哺乳類の87%にものぼる数がオーストラリア以外の大陸には存在しない種なのである。
しかし、この生物多様性の宝庫も脅威にさらされている。オーストラリアで発見された388種の哺乳類のうち78種が絶滅危急種、もしくは飼育状態でのみ生存している種とされ、おおよそ14%の両生類、5%の爬虫類、6%の鳥類が絶滅の危機にある。
オーストラリアのピーター・ギャレット環境相は言う。「外来種、生息地喪失、気候変動の危機に備え、生物多様性をしっかり維持していくためにもこのような情報が極めて重要なのです」
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この記事は2009年9月29日 イギリス時間15時53分にガーディアン紙のウェブサイトにて掲載されたものです。
翻訳:浜井華子
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