国際社会は地球上の人類の増加がもたらす影響を以前から知っていた。1989年、総合的な開発との関連における人口問題の緊急性と重要性に関心を集めるために、国連開発計画の管理理事会は7月11日を世界人口デーとして国際社会の記念日に定めるように勧告した。
今日、10歳から24歳までの若者は世界人口の4分の1を占める。18億人の若者の野心や成功は明らかに未来を形作っていくだろう。しかし国連によれば、あまりに多くの若者がいまだに貧困や不平等や人権侵害と格闘しており、この状況によって若者が各自の能力や集団的な能力を発揮することが妨げられている。従って2014年世界人口デーのテーマとして、「若者への投資」は実に的を射たスローガンだ。
「健康で、教育を受け、生産的で、非常に積極的な若者は、世代間で引き継がれる貧困の悪循環を打ち破ることができ、また個人的および社会的な課題に直面した場合にもより柔軟に適応できるということが分かっています」と国連人口基金(UNFPA)事務局長のババトゥンデ・オショティメイン博士 はステートメントで語った。「技術を持ち、知識のある市民として、若者は各自の地域社会や国にさらなる貢献をなし得ます」。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、15歳から24歳の青年や若者のうち、推計5億1500万人は1日2ドル未満で生活しており、さらに数百万人が性差別やその他の社会的排除に直面している。
青年期から成人期へ向かう安全で健康な暮らしは、すべての子どもの権利である。この権利を全うするために、家庭や社会は、青年や若者が生産的で充足感のある生活を送るために必要な知識や技能を身につけさせる必要がある。
しかし、今年発表された国際人口開発会議(ICPD)のGlobal Review Report(グローバル・レビュー・レポート)によると、若者の過半数は低所得国で成長しており、そうした国々では教育や医療サービスは必ずしも確保されていない。あまりに多くの若者にとって、リプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関するヘルスケア)を利用するのは困難であり、雇用は限られている。
とはいえ、間違いなく情報通信技術(ICT)の拡散が寄与した結果として、以前の世代と比べると今日の若者は高い期待を抱いており、権利への理解は深く、自身が達成できることに関する明確な展望を持っている。ただし適切な手段と機会に恵まれた場合に限る。
この世代への投資は世界的な優先事項でなくてはならない、とICPDの報告書は記している。優先事項には、人権の保護、質の高い教育、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスケアを含む医療へのアクセスの確保が含まれる。さらに、適正な雇用機会へのアクセスの確保も含まれる。
この投資は、投資される側にも、投資する側にも有利である。なぜなら若者自身の生活を向上するだけではなく、未来の世代の生活も向上する手段を若者に与えるからだ。
青年期は可能性を伸ばす時期であるべきだが、若者はますます多くの脆弱性に直面しつつある。
ユネスコが発表した最近の統計によると、2012年、世界の6300万人の青年が初等教育あるいは中等教育機関に入学していなかった。さらに2013年には、15歳から24歳の若者は成人の約3倍の確率で失業していることが、国際労働機関の報告書で示唆されている。
多くの地域で、少女と若い女性が教育と雇用の面だけではなく人権の面でも、最も悪い状況に置かれている。極めて多くの少女たちが結婚のために学校をやめさせられている。これは、幼児婚、青年期の妊娠、出産時の負傷や死亡のリスク増加を含む、虐待サイクルの一環である。
「世界中の数百万人の若者にとって、思春期(青年期の生物学的なスタート)は、体の変化を経験するだけではなく、特にセクシュアリティ、結婚、出産といった領域での人権侵害から新たに影響を受けやすくなる時期です」とオショティメイン博士は語った。
UNFPAは、政府、市民社会、国連機関といったパートナーと共同し、若者を支援する政策を推進している。UNFPAのプログラムは、若い人々が包括的なセクシュアリティの教育と、任意の家族計画を含む質の高いセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスサービスを利用する機会を促進している。
「セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスへの重要な初期投資が、若い人々の生活と彼らが暮らす社会の福祉を強化できることを私たちは目の当たりにしています」とオショティメイン博士は語った。
「持続可能な未来は順応性に富む国民がいるか否かに掛かっています。そして若い人々への投資なしには実現できません」と彼は付け加えた。
若者に影響を及ぼす決定において彼ら自身が意見を言える状況を実現するために、UNFPAは若者のリーダーシップ育成や参加を促すイニシアチブも支援している。
「私は影響力を持つすべての人々に対して、開発計画において若者を優先し、若者が主導する組織とのパートナーシップを強化し、若者に影響を及ぼすあらゆる決定に若い人々を関与させることを求めます」とパン・ギムン国連事務総長は語った。「今日の若者のエンパワーメントを促進することで、未来の世代のためにより持続可能な未来の土台を築けます」
若者も自分たちのために声を上げている、とパン氏は語り、1000を越える若者の組織がグローバル・ユース・コールを支持している状況に言及した。グローバル・ユース・コールとは、ミレニアム開発目標の期限である2015年以降に開始される持続可能な開発議題に、若者に的を絞った目標やターゲットを盛り込むように提言する取り組みである。
翻訳:髙﨑文子
世界人口デー:なぜ若者が重要なのか by キャロル・スミス is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International License.