エコウェディングにしませんか?

結婚式は、私たちの家族や友達が一堂に集う、人生で数少ない貴重な機会だ。新郎新婦がスポットライトを浴びながら、二人のライフスタイルや価値観を参加者たちに披露する絶好のチャンスでもある。
そのため、環境保護に熱心な人たちにとっては、従来の結婚式の代わりに、「エコウェディング」で自らの門出を祝うことを意味する。

先日、東京在住の小森繫さんと星野智子さんは環境への負荷を極力抑えて、自らの結婚式をステキに演出した。環境保護に熱心な二人に共通の「エコ哲学」を結婚式に生かし、自身の在り方や価値観を真に反映したものとなった。

要するに、結婚披露宴は、温暖化ガスの排出を抑え、社会的責任を持った、エネルギー効果の高い、4R(reuse再使用, reduce削減, recycleリサイクル, repair修理)を尊重したものになりうるのだ。これらのこだわりをすべて取り入れたとしても、生涯心に残るすばらしい結婚式にすることは可能だろう。

しかし、私たちが住んでいる国や地域によって事情は変わってくるので、口で言うほど簡単ではない。エコウェディングをしたいと言ったら、業者や両親、参加者などは呆然とするかもしれない。ほとんどの文化では、結婚式は手の込んだ、華やかな祝いの席を意味するからだ。

ギリシアでは、結婚式に300-500人が参加するし、中国では、ロブスターや子ブタ、また問題となっているフカヒレスープなどの高級珍味のビュッフェで客人をもてなす。インドの結婚式は4-5日間続き、村中の人々が参列する(何千人も!)風習がある。

途上国だけでなく世界各地で、この若いインド人夫婦が示すように、大規模で、温暖化に拍車をかけるような、さらには大金のかかる結婚式を挙げ続けている。結婚式の慣習を変えるのは容易でないが、倫理的また経済的な理由からも、これからは環境の持続可能性を考慮して、親戚の中で最初にエコウェディングを挙げる先駆者になるのも良い考えかもしれない。

アメリカの平均的な結婚式は、2万6千ドル以上の費用がかかり、イギリスではカップルの5組に1組が式後に借金を抱えて新婚生活をスタートしている。何の疑いも持たない婚約者たちは、“きちんとした”挙式をするためには、多額の費用がかかるものだと結婚産業複合体に思い込まされているのだ。

次のビデオにあるように、日本の結婚プランナーたちも、結婚式が与える環境負荷に気づきはじめている。

先に紹介した小林さんと星野さんは、伝統的なブラダルサロンや派手なもてなし、お決まりのパックプランはやめて、独自のエコウェディングを楽しみながら見事に演出した。

エコウェディングのコンセプトは、日本ではまだ新しいため(世界的にみても新しいコンセプトだ)、二人は想像力を働かせ、様々な工夫をこらした。例えば、地元産の季節の有機食材を、食べ残しを少なくするためビュッフェスタイルでサービスした。また、披露宴の出欠は電子メールで問い合わせ、出席予定の人たちにだけリサイクル紙で招待状を送り、紙の無駄を省いた。

自分たちの結婚式は手作り感があり、かつエレガントでシンプルだった、と感じている二人。参加者たちも同意見だ。

「日々のエコ意識を結婚式にも応用したところは、非常に感心しました。食事もおいしかったですし、スタイルも自然でよかったです」、と友人は語った。

大規模な集会などと同様に、会場選びや交通手段が「結婚式のグリーン度」に深くかかわってくる。参加者が式場まで、個別に車で来なくてもいいように、バスや電車、あるいは徒歩で来られるように配慮されているだろうか。

国際結婚や“海外挙式”の場合、参加者は相当な距離を移動することになる。特に空の旅は、1人当たりのCO2排出量が他のどの活動よりも多いので、これから結婚するカップルは、その辺のところを考慮し、しっかり計画を立てたい。

カーボンオフセット、つまり排出した温暖化ガスを環境保護事業などにより間接的に相殺する活動には、賛否両論がある。自分たちが排出した温暖化ガスを相殺すれば責任を逃れられることから、そのような行為は一部の人たちの目には、甘やかしの行為と映る。

しかし、カーボンオフセットは管理が行き届いた信頼のおける炭素緩和策であり、これに貢献したり、例えば自分で植林をしたりするのは、“挙式をしない”という選択肢以外では、結婚式の環境負荷を削減するもっとも有力な方法だろう。

それでは、なぜわざわざグリーン結婚式をやろうという人がいるのだろうか?ここに、エコウェディングの人気の動機を4つ上げてみた。

  1. 流行; 「エコシック」という新語ができ、英語で“eco-wedding(エコウェディング)”を検索すると、エコウェディングの手順やプロデュース方法のサイト、ブログ、本、ポッドキャスト、ボッドキャストが出てくる。しかし、多くの人々が景気のよい結婚産業における最新のニッチ市場に参入しようとエコな動きに便乗しているので、“グリーンウォッシング”(環境配慮をしているように装い誤魔化すこと)には気をつけなければならない。
  2. 節約; 世界金融危機が連日のようにトップニュースに上がっているが、中古のウエディングドレスや、ゲストの数を減らす(例えば150人から50人に)のも魅力的なアイデアだ。
  3. 偶然; 斬新なウェディングコーディネーターまたはスタイリストが、倫理的で、内戦とは無関係なダイアモンドの指輪、地元で育てられた花々、エコギフト登録などの選択肢があることを教えてくれた。
  4. 環境意識の高まり; もしあなたが、数年前にアル・ゴアの『不都合な真実』を見たことがきっかけで、自分のライフスタイルを変えていたとする。当然、あなたの結婚式は、家族や友人に個人レベルでの努力の大切さに気づいてもらうために、日々のエコ生活を有言実行したエコウェディングになるだろう。

結婚式とは、あなたとパートナーが愛し合い、生涯支え合うという公約である。エコウェディングは準備が大変な面もあるが、その分、あなたのような幸せなカップルにとって格別なものとなり、これからの世代にとっても有益なものとなるのだ。

リンク:

グリーン・ブライド・ガイド
グリーンユニオン
倫理的ウェディング
LADIRB (日本語)
実際に結婚式にエコなアイデアを取り入れたカナダ人夫婦のサイト。

Creative Commons License
エコウェディングにしませんか? by ジョアンナ・ ストラットン is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 3.0 Unported License.

著者

ジョアンナ・ストラットンは国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)のアカデミックプログラムアソシエート。近々、ニュージランドで挙式する予定で、現在、エコウェディングの準備を楽しみながら進めている。