未来のための森林:気候とのつながり

「森林は気候変動の問題の第一線にあります。生態系や生物多様性の豊かさは、気候、気温、降雨パターンの変動に対してますます脆弱になってきています。そのため、私たちは自分たちの森を守り、持続可能な管理が必要不可欠なのです」という今年の国際森林デーに向けた藩基文国連事務総長のメッセージが、私たちに問題を再認識させる。

世界的に森林破壊率が減少していると藩事務総長は言及しているが、年間1,300万ヘクタールもの森林が伐採されている事実は変わらず、常に皆が周知のトップニュースである。

しかし今年のテーマは、気候変動の緩和や適応、持続可能な開発に対して、森林を重点に幅広い解決策を示すことであるため、前向きで希望のあるOur Worldの記事やビデオを共有することとした。以下の「Forests Forward(優先すべき森林問題)」特集にて、そのすばらしい記事や美しい映像を是非ご覧いただきたい。そしてできれば、どこか森林を歩いてみて、藩事務総長の結びの言葉をじっくり考察してみてほしい。

「わたしたち皆にとって、持続可能かつ気候変動に強い未来を築くには、自分たちの森林へ投資する必要があります。ハイレベルの政治的コミットメント、賢明な政策、効果的な法の執行、革新的なパートナーシップおよび資金調達が必要とされます。この国際森林デーにおいて、森林破壊の削減、健康的な森林の維持、気候変動に強い未来を、私たち皆のために築こうではありませんか」

優先すべき森林問題

クラクワット族と気候変動:第7章

The-Tla-o-qui-aht-People-and-Climate-Change-Chapter-7

ミアーズ島。 Photo: Arnaud DG. Creative Commons BY-SA (cropped).

この記事では、国連大学のグレブ・ レイゴロデッツキー氏が、クラクワット族の人々とミアーズ島トライバル公園の原生林との、数千年来の結びつきの一端に触れる。

 

気候変動に強いラモンの木

Maya nut could boost resilience to climate change

Maya Nut Institute.

ラモンの木は、予測されている気候変動に適応できる数少ない樹木の1つとされている。

 

地域住民の管理が森林破壊を食い止める

新たな研究はでは、コミュニティー管理による森林は保護下にある森林に比べ、森林被覆の減少率が低いことが判明した。

 

生物・文化的豊かさを守る神聖な森

Sacred groves sustain bio-cultural richness in Yunnan forest

Photo by Xueli Chen

神聖とされる自然の地域は、保護区域において不可欠な役割を果している。

 

作業道を使って進化する「吉野林業」

Mountain logging roads pave the way for Yoshino forestry

Jiro Akiba

歴史的な吉野林業の地域を保護し、日本の林業を蘇らせるには、丁寧につくられた作業道がカギになるかもしれない。

 

南インドの農業モデルは脆弱な生態系を模倣

South Indian agricultural model mimics fragile ecosystem

Photo: Ryo Murakami.

ワヤナドの部族による伝統的なホームガーデンの衰退は、広範囲に影響する可能性がある。

 

受け継がれる日本の炭焼き

Japan’s charcoal making traditions still alive

Photo: Ryo Murakami.

石川県の炭焼き職人が、森林管理と関わりのある技術の伝統的知識を蘇らせる。

 

しくみ解明:生態系に即した食糧システム

食糧に関して言えば、私たちが農場を生態系の一部と考えておらず、生態系に馴染むように農場を計画しないことが問題となっている。

 

里山からの便り

Greetings from Satoyama

Photo: Ryo Murakami

里山のシステムは、環境的、経済的、文化的、社会的つながりの純粋な融合、つまり人間と自然のつながりを象徴している。この記事は、伝統的知識と科学の進歩の両方を利用し、彼らの生活を支える森林や山の生物多様性を保護する2人の事業家の話である。

 

ダヤック族の禁断の森

Forbidden forest of the Dayak people

Luis Patrón / UNU

ダヤック・ケニャ族は未開のジャングルに住んでいる。ボルネオ島のインドネシア領、東カリマンタンの鬱蒼とした熱帯雨林の奥地で森林破壊と闘うため、彼らは何千年と続く先住民族の知識と、エコツーリズムや排出権取引をうまく結びつける。

 

著者

キャロル・スミスは環境保護に強い関心を寄せるジャーナリスト。グローバル規模の問題に公平かつ持続可能なソリューションを探るうえでより多くの人たちに参加してもらうには、入手しやすい方法で前向きに情報を示すことがカギになると考えている。カナダ、モントリオール出身のキャロルは東京在住中の2008年に国連大学メディアセンターの一員となり、現在はカナダのバンクーバーから引き続き同センターの業務に協力している。